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僕だけをみて
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「蛍好きだよ」
僕を後ろから抱きしめながら囁いているのは高校から付き合っている恋人、黒尾さんだ。
「馬鹿みたいなこと言ってないで離してください。暑苦しいです。」
僕は可愛くない言葉を返し抱き着いている黒尾さんを引き剥がす。
「ちぇ、蛍もちょっとは俺に好きって言ってくれない?」
引き離された黒尾さんが後ろで文句を言っているが関係ない。黒尾さんのことは好きだし愛している、しかし素直でない僕が好きだの愛してるだのそんな恥ずかしい言葉言えるわけない。
「はぁ、蛍ちゃーん、お願い!一回でいいから好きって言って?蛍は俺のこと好きじゃない?」
いつもはすんなりと引き下がる黒尾さんが今日は引き下がらない。いつもの僕なら適当にあしらっているが今日の僕は、大学の課題やレポートに追われていて余裕がなかった。
「黒尾さんしつこいです。僕は今忙しいので後にしてください。」
「後ってあとどのくらい?待ってたら好きって言ってくれる?」
「あー!もううるさいな!僕は忙しいって言ってますよね?あなたのくだらない戯れに付き合っている暇はないんです!!」
言ってしまってからしまったと思った…
「ふーん、わかった、、いつも俺ばっかり好きって言ってるし、蛍は俺の気持ちくだらないって思ってたんだな。もういいよ。」
そういうと黒尾さんは出て行ってしまった。
はぁ、どうしよう。怒らせてしまった、、、
とりあえず帰ってきたら謝ればいいと思い課題を進めた。
時計の針が12に差し掛かりそうになっている黒尾さんはまだ帰ってこない。携帯も繋がらない…どうしよう…
僕が焦っていると
ガチャ
黒尾さんが帰ってきた急いで玄関まで駆けつけるとそこには女の香水が漂う黒尾さんが立っていた。
「…黒尾さん……どこ行ってたんですか…?」
「お前には関係ねぇよ」
「浮気ですか?女の人の香水の匂いすごいですよ。」
「浮気も何もお前俺のこと好きじゃねぇんだろ?好きってどんだけ言っても返してくれねぇもんな?ほんと可愛くねぇやつ…本当に好きなら好きくらい言えるもんな?」
「…っ……」
涙が溢れ出そうだった。
黒尾さん、僕黒尾さんのこと好きです。愛してます。他の女の人のとこなんかいったら嫌です。
思っているのに口には出せない。こんな時ですら僕は素直になれない。くそ、自分が嫌になる…
「はぁ、もう別れよう。俺はお前にたくさん気持ち伝えたつもりだったけどお前はそれをくだらないって思うんだろ?俺だって毎日毎日適当にあしらわれていい気だってしない。もうやっていけない」
黒尾さんはそういうと僕に背をむけた
「しばらくは友達の家に泊まらせてもらうよ、お前がいない時に荷物はまとめて近いうちに出ていくから」
やだ、いかないで…好きです。愛してます。あなたともっと一緒にいたい…
僕以外の人に優しくしないで、僕以外の匂いをつけてこないで、僕以外を抱かないで…
やだ…いやです。黒尾さん…
心のなかでは素直に言えるのに…
「じゃあな」
「待ってください!!!!」
僕は勢いよく黒尾さんに抱きついた
「ごめんなさい。僕が悪かったです…好きです。愛してます。他の人のところに行かないで…お願いします…これからはちゃんと言葉にします…悪いとこもちゃんと治します、だからお願いします…僕を捨てないでください…」
僕は泣きながら謝った。こんな恥ずかしいこと普段ならしないけど、黒尾さんがいなくなるのだけは嫌だ。お願い黒尾さん。行かないで…
「はぁ…」
ビク
ため息に体が震える。許してもらえない…どうしよう…
「蛍、こっち向いて」
黒尾さんの優しい声が聞こえて顔を上げる。
「蛍、俺もごめんな…意地張った。俺だけが蛍のこと好きだと思って焦ってた。でも、これからは少しでもいいから好きっていってもらえると安心する。」
「はい、うまく言えないかもしれないですけど言えるように頑張ります…」
「ありがとう、蛍愛してるよ」
「はい、僕も愛してます。黒尾さん」
そういうと黒尾さんは嬉しそうに笑って僕を抱きしめた
しばらくそうしていだが僕には気になることがある。
「黒尾さん、、、聞きたいことがあるんです。」
「ん?どーしたの?」
「黒尾さんについている女の香水って誰のですか?どこまでやったんですか…」
聞きたくはないが気になってしまうものはしょうがない。
意を決して聞いてみると予想外な言葉が返ってきた。
「あー、これね?実はこれ友達のうちにあったやつ零しちまって…」
香水は友達が飲み会のビンゴ景品でもらってきた女物の香水だったらしい。安心していると
「蛍ちゃん嫉妬してくれたの?笑」
黒尾さんがニヤけた顔で聞いてくる。前までの僕だったらそんなことないと可愛くない返事をしていたが今回の僕は
「はい、とっても嫉妬しましたし、不安でした。黒尾さんに僕以外抱いてほしくないです。」
素直な気持ちを言ってみると黒尾さんは耳まで真っ赤にしてあたふたしていた。
こんな黒尾さんみたことなかったので素直になることも悪くないと思った。
END
僕を後ろから抱きしめながら囁いているのは高校から付き合っている恋人、黒尾さんだ。
「馬鹿みたいなこと言ってないで離してください。暑苦しいです。」
僕は可愛くない言葉を返し抱き着いている黒尾さんを引き剥がす。
「ちぇ、蛍もちょっとは俺に好きって言ってくれない?」
引き離された黒尾さんが後ろで文句を言っているが関係ない。黒尾さんのことは好きだし愛している、しかし素直でない僕が好きだの愛してるだのそんな恥ずかしい言葉言えるわけない。
「はぁ、蛍ちゃーん、お願い!一回でいいから好きって言って?蛍は俺のこと好きじゃない?」
いつもはすんなりと引き下がる黒尾さんが今日は引き下がらない。いつもの僕なら適当にあしらっているが今日の僕は、大学の課題やレポートに追われていて余裕がなかった。
「黒尾さんしつこいです。僕は今忙しいので後にしてください。」
「後ってあとどのくらい?待ってたら好きって言ってくれる?」
「あー!もううるさいな!僕は忙しいって言ってますよね?あなたのくだらない戯れに付き合っている暇はないんです!!」
言ってしまってからしまったと思った…
「ふーん、わかった、、いつも俺ばっかり好きって言ってるし、蛍は俺の気持ちくだらないって思ってたんだな。もういいよ。」
そういうと黒尾さんは出て行ってしまった。
はぁ、どうしよう。怒らせてしまった、、、
とりあえず帰ってきたら謝ればいいと思い課題を進めた。
時計の針が12に差し掛かりそうになっている黒尾さんはまだ帰ってこない。携帯も繋がらない…どうしよう…
僕が焦っていると
ガチャ
黒尾さんが帰ってきた急いで玄関まで駆けつけるとそこには女の香水が漂う黒尾さんが立っていた。
「…黒尾さん……どこ行ってたんですか…?」
「お前には関係ねぇよ」
「浮気ですか?女の人の香水の匂いすごいですよ。」
「浮気も何もお前俺のこと好きじゃねぇんだろ?好きってどんだけ言っても返してくれねぇもんな?ほんと可愛くねぇやつ…本当に好きなら好きくらい言えるもんな?」
「…っ……」
涙が溢れ出そうだった。
黒尾さん、僕黒尾さんのこと好きです。愛してます。他の女の人のとこなんかいったら嫌です。
思っているのに口には出せない。こんな時ですら僕は素直になれない。くそ、自分が嫌になる…
「はぁ、もう別れよう。俺はお前にたくさん気持ち伝えたつもりだったけどお前はそれをくだらないって思うんだろ?俺だって毎日毎日適当にあしらわれていい気だってしない。もうやっていけない」
黒尾さんはそういうと僕に背をむけた
「しばらくは友達の家に泊まらせてもらうよ、お前がいない時に荷物はまとめて近いうちに出ていくから」
やだ、いかないで…好きです。愛してます。あなたともっと一緒にいたい…
僕以外の人に優しくしないで、僕以外の匂いをつけてこないで、僕以外を抱かないで…
やだ…いやです。黒尾さん…
心のなかでは素直に言えるのに…
「じゃあな」
「待ってください!!!!」
僕は勢いよく黒尾さんに抱きついた
「ごめんなさい。僕が悪かったです…好きです。愛してます。他の人のところに行かないで…お願いします…これからはちゃんと言葉にします…悪いとこもちゃんと治します、だからお願いします…僕を捨てないでください…」
僕は泣きながら謝った。こんな恥ずかしいこと普段ならしないけど、黒尾さんがいなくなるのだけは嫌だ。お願い黒尾さん。行かないで…
「はぁ…」
ビク
ため息に体が震える。許してもらえない…どうしよう…
「蛍、こっち向いて」
黒尾さんの優しい声が聞こえて顔を上げる。
「蛍、俺もごめんな…意地張った。俺だけが蛍のこと好きだと思って焦ってた。でも、これからは少しでもいいから好きっていってもらえると安心する。」
「はい、うまく言えないかもしれないですけど言えるように頑張ります…」
「ありがとう、蛍愛してるよ」
「はい、僕も愛してます。黒尾さん」
そういうと黒尾さんは嬉しそうに笑って僕を抱きしめた
しばらくそうしていだが僕には気になることがある。
「黒尾さん、、、聞きたいことがあるんです。」
「ん?どーしたの?」
「黒尾さんについている女の香水って誰のですか?どこまでやったんですか…」
聞きたくはないが気になってしまうものはしょうがない。
意を決して聞いてみると予想外な言葉が返ってきた。
「あー、これね?実はこれ友達のうちにあったやつ零しちまって…」
香水は友達が飲み会のビンゴ景品でもらってきた女物の香水だったらしい。安心していると
「蛍ちゃん嫉妬してくれたの?笑」
黒尾さんがニヤけた顔で聞いてくる。前までの僕だったらそんなことないと可愛くない返事をしていたが今回の僕は
「はい、とっても嫉妬しましたし、不安でした。黒尾さんに僕以外抱いてほしくないです。」
素直な気持ちを言ってみると黒尾さんは耳まで真っ赤にしてあたふたしていた。
こんな黒尾さんみたことなかったので素直になることも悪くないと思った。
END
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黒尾さんカワイイですね(^^)
他にも作品見たいと思ったのでお気に入り登録させてもらいました(^o^)
良かったら私の作品も観てくださいね(^^)/