【完結】冷徹宰相と淫紋Hで死亡フラグを『神』回避!? ~鬱エロゲー溺愛ルート開発~

愛染乃唯

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 押した。押してしまった。
 全部は押さなかったけど、半押しくらいは押してしまった……!

「くっ」

 背中を丸めるヴィンセント。
 私は真っ青になって彼の裾を掴んだ。

「ごめんなさい……!」

「なぜ謝る。今、また、体が……」

 うなるヴィンセントの額には深い皺が刻まれている。
 初めてのときより多少余裕はありそうだけれど、それって半押しだからだろうか。
 私はおそるおそる彼の下腹部をうかがった。たっぷりした衣の下はよく見えないけれど、うっすらと光が透けている。

「発動しちゃってますね……」

「……これくらいなら、どうにかなる。気持ち悪いだろう、すまん」

 小声で言いながら、呼吸を整えようとするヴィンセント。
 私は申し訳なさでいっぱいだ。とにかく首を横に振った。

「全然、まったく、ちっとも気持ち悪くはないです」

「そうか……?」

 怪訝そうな彼の瞳が、私を見る。
 私は控えめに笑って見せて、そっと彼の衣を掴んだ。

「あなたですから。あの。よければ、責任取って、お手伝いを……しても?」

 こういうことのお手伝いなんて初めてだが、本当に、完璧に私のせいなので。
 手伝いくらいさせて欲しいし、多分ヴィンセント相手ならできる――気がする。

 緊張して返事を待っていると、ヴィンセントの眉間の皺がぎゅうっと深くなる。
 悩んでいるのだろうな、と思いつつ、私はそっと彼の下半身に手を伸ばした。幸い淫紋が光っているので、場所を間違うことはない。
 衣の上から、彼自身らしき場所に、そっと触れてみる。

「あ……」

 途端にそれが頭をもたげた気がして、思わず声を出してしまった。
 顔がぽわんと熱くなり、私の指は戸惑う。
 思ったより大分力強い反応で、驚きはしたけれど……嫌じゃない。
 しばらく戸惑ったのち、私は手を彼の衣の間から滑りこませた。
 下履きの上から彼自身の形を確かめて、びくりとした。
 指がきちんと回る気がしない。
 これ、こんなものが、私に……?

「……止せ」

 低い、切羽詰まったつぶやき。
 ヴィンセントは私の腕をつかんで引き寄せ、ひょいと膝の上に引っ張り上げる。
 ベッドがきしみ、ヴィンセントの険しい顔が間近に迫った。
 ヴィンセントは険しい顔で私を見つめると、かすかなため息を吐く。
 そして、私の耳元に、顔を寄せて囁いた。

「お前に甘えるが……最後まではしない。信じてくれ」

 欲にかすれた声で言われたのは、そんなことで。

「はい」

 言葉が耳に落ちるだけで、痺れるような快感が私の全身を撫でさすった。
 あなたのかたくなな言葉が、好きだ。
 すぐそこにある体が温かい。生きているひとの温度だ。
 ハーブの香りに果実の香りが混じりはじめ、鼻先で柔らかく香る。
 どれだけ近づいても、顔も香りもきれいなばかりなんだな、と思っていると、唇が重なった。

「ん……」

 キス。
 優しく重ねられたそれがとんでもなく甘く感じられて、目の前がきらきらした。
 嬉しい。甘い。触れたい――。
 私は彼にしがみつき、自分から彼の唇をちろりと舐めた。
 やっぱり、甘い気がする。私がおかしくなっているんだろうか。きっと、そう。
 ためらう私の舌を、彼の舌がたやすくからめとってしまう。

「……っ!」

 粘膜と粘膜のふれあいは思った以上に刺激的で、優しい快感が口の中に満ちていく。
 彼の舌の感触ばかりが大きくなっていって、私は少しも動けなくなる。
 ちゅ、ちゅ、と濡れた音が頭に響いて、なんだかぼうっとしてくる。
 そうしているうちに、ヴィンセントの舌がていねいに私の歯列をなぞった。

「ひゃふ……!」

 びりっ、と快感が頭に突き抜ける。
 嘘。こんなところが、そんなに気持ちいいの……?
 頭の中は混乱したまま、私の体は勝手に彼の膝から跳び上がり、どこかへ逃げようとする。
 ヴィンセントの腕は、すかさず私の腰を抱き留めた。
 舌がほどけて、ようやく私たちの唇はそれぞれのものになる。

「は、あ……」

 吐いた息がすっかり熱くなっているのを感じた。
 まだ唇が快感で痺れている間に、ヴィンセントの指がガウンの前にすべりこむ。
 下着もつけていない私の胸は、すぐに彼のてのひらに包まれてしまった。

「ヴィンセント、さま……」

「痛くはしない。……嫌か?」

 問いを投げてくれるヴィンセントの息も、熱い。
 苦しいだろうに、そんなふうに言われたら、嫌だなんて言えるわけがない。
 私はぶんぶんと首を横に振った。
 ヴィンセントは少し表情を緩め、やわやわと私の胸をこねる。大きくて温かな手のひら全体を使って、自在に胸の形を変えていく。
 胸なんて、普段はただそこにあるだけだ。
 なのに彼が触れると、あっという間に感覚が集まってくる。
 じぃん、という、痛みに近い快感が降り積もってくる。
 触れられるたびに淡い快感の波が生まれ、さざ波に翻弄されるようになってしまう。

「ぁ……んっ!」

 思わず声を立ててしまう私。
 ヴィンセントは耐えるようなため息を吐き、すぐに手をゆるめてくれた。

「痛かったら、すぐに言え」

「いた、痛くは、ないです……きもちぃ……」

 舌っ足らずに囁くと、ヴィンセントは黙りこむ。
 次に、胸の上にキスが落ちてきた。白い双丘を食むような、念入りな、甘いキス。

「ひゃっ! やっ、いや、うそ、やじゃないです、うー……」

 甘くくすぐったい唇の感触に、私の腰は浮きあがる。
 ヴィンセントは私の白い胸に何度も、何度もキスをした。手の動きも再び始まり、さっきよりさらに派手に胸の形を変えてこね続ける。
 私は悲鳴を上げそうになり、必死に自分の口を塞いだ。

「なんでも、嫌ではない?」

 ヴィンセントがつぶやく。
 ほんの少しだけ、面白そうな声。
 今、彼はどんな顔をしているんだろう。
 私は、快感で閉じていた目を、うっすらと開ける。
 同時に彼は、手でしぼりだした私の胸のてっぺんに、キスをした。

「っっっ……!!」

 彼の唇が赤い蕾に触れて、覆って、かぷり、と、軽く歯が当たる。
 ほんのちょっとした刺激のはずなのに、胸の蕾に、快感の針で貫かれたみたいな電撃が走った。目の前にぱっと白い光が飛び、背中が勝手に突っ張って、のけぞる。

 うそ。なに。
 何……これ。

「おい。息をしろ」

 とんとん、と鎖骨の下を指で叩かれ、うながされた。

「は、あ……」

 それでやっと息ができて、今、自分が息を止めていたと気づいた。
 はあ、はあと苦しい息を繰り返している私を、ヴィンセントが自分にすがりつかせる。
 うながされるまま彼の首にすがっていると、下半身が濡れた音を立て始めた。

「んぅ……?」

 ぼうっとしながら自分を見下ろす。
 私の中心に、ヴィンセントの指が触れる。

「んっ!」

 緊張で腰が揺れた。私の体はまだ、昨日の痛みを覚えている。
 けれど、身構えたような痛みは襲ってこなかった。
 秘裂の浅いところを確かめるように触れるだけで、とろんと蜜のこぼれる感覚がある。
 骨張った指は丁寧に蜜を掻きだし、私を濡らしていく。
 私の秘裂はやわやわとした快感を覚え始めるけれど、彼は肝心のところには触れてくれない。
 感覚が凝った場所も、唇の中も避けて、ただなぞるように、確かめる。
 もどかしい。痺れる。
 早く――。

「これなら、大丈夫だろう」

 ヴィンセントはやっと納得したらしく、私から指を離した。
 そして、指よりよっぽど大きなものが、するりと私の足の間にわりこんでくる。

「あ……」

「待て」

 くすぐったさに逃げかけた私の尻を、ぎゅっとヴィンセントの手が掴んだ。
 いつの間にか私のガウンはすっかり寝台の上に落ちてしまって、私は一糸まとわぬ姿でヴィンセントの膝に乗っている。

「膝を立てて」

「はい……」

 ヴィンセントの誘導に従って、寝台の上に膝立ちになる。
 ヴィンセントが自分の着衣の前を開くと、淡く光る淫紋があらわになった。
 浴室で見たときとは違い、今はうっすらと紫色の光を帯びている。彼の白い肌に紫色がよく映えて、なんというか……ものすごく、いやらしいな、と思う。

 その下で勃ちあがった彼のものは、やっぱり、太い、気がする。
 一瞬どきりとしてしまうほどに、太い。
 長さはよくわからない。というのは、彼のものはほとんどが私の腿と腿の間に隠れていたからだ。彼のもの、妙に濡れているな……と思ってから、ぼんっと顔が熱くなる。

 これ、私だ。
 私の蜜が腿を伝って、彼まで濡らしているんだ。

「……ごめんなさい……!」

 思わず謝ってしまうと、ヴィンセントがかすかに笑った。
 え……? 笑った?
 笑った。確かに、笑った。唇に笑いを含んだレベルだけれど、笑った!
 彼はそのまま、私の背中に手を回して抱き寄せる。

「なぜ、謝る」

 耳元で低い声が囁く。その声は耳から入って私の背骨を痺れさせた。
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