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「だから、なぜ謝る」
「そこは説明しづらいんですが、私は酷い女だなと思いまして……」
あはは、と無理に笑って言うと、ヴィンセントはますます難しい顔になった。
「いや、だから、どこがだ? どう考えても酷いのはこちらだろう」
また彼を困らせている。私は慌てて頭を下げる。
とにかく、これ以上彼を困らせたくない。
「すみません。ありがとうございます。エレナを、私を、大事にしてくださって」
「…………」
黙りこくって、私を見下ろすヴィンセント。
どこか悲しそうなその目を見上げ、私は懸命に続ける。
「私も、私を、なるべく大事にします」
ヴィンセントが大事にしているエレナを、私も大事にしなくちゃいけない。
そのうえで、ヴィンセントを死亡フラグから助けていく。
難しそうだけれど、頑張ろう、と私は思う。
が、ヴィンセントはなぜか浮かない顔になった。
「そのことに関してなのだが……」
「はい?」
珍しく、ヴィンセントが言いよどんでいる。
なんだろう、と見つめると、彼は諦めたように言った。
「お前を元の部屋に戻すわけにはいかない」
「え。お引っ越しですか」
「宮廷中が荒れているのだ。お前が女だと知れてしまった今、事故が起こりかねん」
「あ、なるほど」
私はうなずいた。
どれだけリアルな現実に見えたとしても、ここは鬱エロゲー『カタストロフ・エンジェル』の世界。
プレイヤーである新皇帝を迎えた時点で宮廷の治安は最低になり、あっちやこっちで無理矢理の性行が行われているに違いない。ヴィンセントはそれに勘づいている。
ヴィンセントは苦悩をにじませながら続ける。
「本来なら、お前はリリアの癒やし処に預かってもらうつもりだったのだ。あそこは女所帯だし、独自の権力があって皇帝陛下であろうとも自由にはできない。しかしさっきの様子では……リリアは新皇帝に屈したようだな」
「です、かね……」
私は曖昧な返事を返しながら、カタエンの設定を思い起こす。
ヴィンセントの言っていることは正しい。リリアの癒やし処は、闇落ちした宮廷の中でも、一定の権力を保ち続ける。さっきの様子からして、リリアはもう皇帝に惚れた後ではある、けれど――。
私が考えていると、ヴィンセントがつぶやいた。
「私の従者になって、控えの間に住むように言えたら楽だったのだが」
ヴィンセントの従者! ヴィンセントのすぐ側に住めるポジションは嬉しい。
嬉しいけれど、一応私は探りを入れる。
「従者は、同性のほうが楽かもですよね」
「違う! お前に、身の危険が迫ると言っている」
がば、と体を起こしてヴィンセントが主張した。
私は目をぱちぱちさせる。
「え? あ、ああ……」
「その、いんも……」
言いづらそうにして、下腹を指で押さえるヴィンセント。
私は慌てて飛び起き、ぶんぶんと両手を振った。
「おっしゃらなくて大丈夫です……! わかりました。私、ヴィンセント様の従者になります!」
「何もわかっていないな!? 私は、お前を二度も襲った男だぞ!!」
ムキになって言うヴィンセントは、いつもより少し幼く見える。
ちょっと顔を緩ませながら、私は言い返した。
「今度は、きちんと拒否しますので!」
「拒否……!?」
「はい。あなたに抱かれるのは基本的に歓迎ですが、私が嫌なときはきちんと拒否します! アクションは正直苦手ですけど、知識だけはあります!」
寝台の上に正座して言いつのる私。
「…………」
ヴィンセントは難しい顔で私を見るが、私も負けずにヴィンセントを見つめる。
彼を守るためにも、ここは退かないぞ、の心だ。
しばしの沈黙の後、ヴィンセントは寝台から降りた。
「知識だけではどうにもならない。いざとなったら、これを使え」
ヴィンセントは陶器をはめこんだ美しい戸棚の中から何かを取り出し、私に差し出す。
受け取ってみると、ずっしりと重かった。
ビロードの袋に包まれた、華麗な装飾つきの短剣だ。
「きれいな短剣」
素直な感想が口からこぼれる。
鞘や柄の装飾もすごいが、鞘から出てきた刃もすごい。
青光りとでもいうのだろうか、いかにも切れそうな輝きを宿した美しいしろものだ。
「お前の父の、遺品だ」
ぽつりと言われて、私はヴィンセントを見た。
ヴィンセントは濃紺のガウンを身につけ、私に背中を見せている。
相変わらず広くて、たくましくて、でも、今は少しさみしそうに見える背中だった。
「ヴィンセント様。これをくださるということは、私はあなたの従者になってもいい、ということでしょうか」
声をかけてみても、ヴィンセントはこちらを向かない。
戸棚と向き合って、ことさら淡々と言う。
「お前の荷物なら、他の部下に言いつけて持ってこさせる。ひとりでは宮殿内を歩くな」
これは、『従者になってもいい』ということなのだろう。
「はい、わかりました」
大声にならないくらいに、はっきりと答える。
嬉しい気持ちがわき上がるのと同時に、気合いが入った。
これからは、ヴィンセントの隣でヴィンセントを守るのが、私の役目だ。
ヴィンセントがつらくないよう、何より、死なないように、頑張って立ち回る。
できるかぎり、♥のまぐわえボタンなしで……!
――でも、大丈夫かな。
少し冷静になると、不安もわき上がってくる。
私が転生のときにもらったチート能力はボタンだけだ。
他にあるものといったら、エレナの健康な体と、社畜慣れしたメンタルくらい。
他に役に立ちそうなものといったら、カタエン世界の知識だろうか。
それだけで、本当にヴィンセントを救える……?
しばらく考えてから、私はふと、あることを思いついた。
目の前がすっと明るくなった気がして、自分もガウンを引っかける。
そのまま寝台から降り、短剣を抱いてヴィンセントに声をかけた。
「あの、私、リリア様と改めて、お話ししてみます」
「なぜだ。リリアは新皇帝側だと言っただろう」
ヴィンセントが振り返って言う。
彼に心配はかけたくないけれど、私は少し強い調子で続けた。
「確かに今のリリア様は新皇帝に心酔しておられる様子でした。でも、直接誰かに乱暴を働いたら、リリア様は癒やしの力をなくしてしまいますよね?」
「それはそうだが」
言葉を濁すヴィンセント。
私はたたみかけた。
「だから、直接的な危険は少ないと思うんです。私、どうにかしてリリア様と仲良くなります。宮廷内でも独自の権力を持つ癒やし処を味方につけられたら、この宮廷を少しでもましにできるかもしれない」
「宮廷を、ましに、か」
ヴィンセントのつぶやきには、少し意外そうな響きがあった。
私は深くうなずく。
「はい。ここは地獄になってしまいましたけど、地獄の中で、みんな生きているので。生きているかぎりは、少しでもこの世界をましにしてあげたい」
ヴィンセントは黙りこむ。
けれど、私には確信があった。
ヴィンセントは私の申し出を受け入れてくれる。
だってカタストロフ・エンジェルのヴィンセントは、地獄の宮廷の中でもいつでも民や国のことを考えていたから。
信じて見つめていると、ヴィンセントは長く深いため息を吐いた。
「……考えておく」
眉間の皺を長い指でのばしながら、ヴィンセントは言う。
「やった!」
私は拳を突きあげる。
頑張ろう。頑張れる。
今の私には、淡いけれど勝算がある。
私は、地獄の嫉妬マシーン、リリアを使って、このゲームをどうにか生き抜く方法を思いついたのだ。
「そこは説明しづらいんですが、私は酷い女だなと思いまして……」
あはは、と無理に笑って言うと、ヴィンセントはますます難しい顔になった。
「いや、だから、どこがだ? どう考えても酷いのはこちらだろう」
また彼を困らせている。私は慌てて頭を下げる。
とにかく、これ以上彼を困らせたくない。
「すみません。ありがとうございます。エレナを、私を、大事にしてくださって」
「…………」
黙りこくって、私を見下ろすヴィンセント。
どこか悲しそうなその目を見上げ、私は懸命に続ける。
「私も、私を、なるべく大事にします」
ヴィンセントが大事にしているエレナを、私も大事にしなくちゃいけない。
そのうえで、ヴィンセントを死亡フラグから助けていく。
難しそうだけれど、頑張ろう、と私は思う。
が、ヴィンセントはなぜか浮かない顔になった。
「そのことに関してなのだが……」
「はい?」
珍しく、ヴィンセントが言いよどんでいる。
なんだろう、と見つめると、彼は諦めたように言った。
「お前を元の部屋に戻すわけにはいかない」
「え。お引っ越しですか」
「宮廷中が荒れているのだ。お前が女だと知れてしまった今、事故が起こりかねん」
「あ、なるほど」
私はうなずいた。
どれだけリアルな現実に見えたとしても、ここは鬱エロゲー『カタストロフ・エンジェル』の世界。
プレイヤーである新皇帝を迎えた時点で宮廷の治安は最低になり、あっちやこっちで無理矢理の性行が行われているに違いない。ヴィンセントはそれに勘づいている。
ヴィンセントは苦悩をにじませながら続ける。
「本来なら、お前はリリアの癒やし処に預かってもらうつもりだったのだ。あそこは女所帯だし、独自の権力があって皇帝陛下であろうとも自由にはできない。しかしさっきの様子では……リリアは新皇帝に屈したようだな」
「です、かね……」
私は曖昧な返事を返しながら、カタエンの設定を思い起こす。
ヴィンセントの言っていることは正しい。リリアの癒やし処は、闇落ちした宮廷の中でも、一定の権力を保ち続ける。さっきの様子からして、リリアはもう皇帝に惚れた後ではある、けれど――。
私が考えていると、ヴィンセントがつぶやいた。
「私の従者になって、控えの間に住むように言えたら楽だったのだが」
ヴィンセントの従者! ヴィンセントのすぐ側に住めるポジションは嬉しい。
嬉しいけれど、一応私は探りを入れる。
「従者は、同性のほうが楽かもですよね」
「違う! お前に、身の危険が迫ると言っている」
がば、と体を起こしてヴィンセントが主張した。
私は目をぱちぱちさせる。
「え? あ、ああ……」
「その、いんも……」
言いづらそうにして、下腹を指で押さえるヴィンセント。
私は慌てて飛び起き、ぶんぶんと両手を振った。
「おっしゃらなくて大丈夫です……! わかりました。私、ヴィンセント様の従者になります!」
「何もわかっていないな!? 私は、お前を二度も襲った男だぞ!!」
ムキになって言うヴィンセントは、いつもより少し幼く見える。
ちょっと顔を緩ませながら、私は言い返した。
「今度は、きちんと拒否しますので!」
「拒否……!?」
「はい。あなたに抱かれるのは基本的に歓迎ですが、私が嫌なときはきちんと拒否します! アクションは正直苦手ですけど、知識だけはあります!」
寝台の上に正座して言いつのる私。
「…………」
ヴィンセントは難しい顔で私を見るが、私も負けずにヴィンセントを見つめる。
彼を守るためにも、ここは退かないぞ、の心だ。
しばしの沈黙の後、ヴィンセントは寝台から降りた。
「知識だけではどうにもならない。いざとなったら、これを使え」
ヴィンセントは陶器をはめこんだ美しい戸棚の中から何かを取り出し、私に差し出す。
受け取ってみると、ずっしりと重かった。
ビロードの袋に包まれた、華麗な装飾つきの短剣だ。
「きれいな短剣」
素直な感想が口からこぼれる。
鞘や柄の装飾もすごいが、鞘から出てきた刃もすごい。
青光りとでもいうのだろうか、いかにも切れそうな輝きを宿した美しいしろものだ。
「お前の父の、遺品だ」
ぽつりと言われて、私はヴィンセントを見た。
ヴィンセントは濃紺のガウンを身につけ、私に背中を見せている。
相変わらず広くて、たくましくて、でも、今は少しさみしそうに見える背中だった。
「ヴィンセント様。これをくださるということは、私はあなたの従者になってもいい、ということでしょうか」
声をかけてみても、ヴィンセントはこちらを向かない。
戸棚と向き合って、ことさら淡々と言う。
「お前の荷物なら、他の部下に言いつけて持ってこさせる。ひとりでは宮殿内を歩くな」
これは、『従者になってもいい』ということなのだろう。
「はい、わかりました」
大声にならないくらいに、はっきりと答える。
嬉しい気持ちがわき上がるのと同時に、気合いが入った。
これからは、ヴィンセントの隣でヴィンセントを守るのが、私の役目だ。
ヴィンセントがつらくないよう、何より、死なないように、頑張って立ち回る。
できるかぎり、♥のまぐわえボタンなしで……!
――でも、大丈夫かな。
少し冷静になると、不安もわき上がってくる。
私が転生のときにもらったチート能力はボタンだけだ。
他にあるものといったら、エレナの健康な体と、社畜慣れしたメンタルくらい。
他に役に立ちそうなものといったら、カタエン世界の知識だろうか。
それだけで、本当にヴィンセントを救える……?
しばらく考えてから、私はふと、あることを思いついた。
目の前がすっと明るくなった気がして、自分もガウンを引っかける。
そのまま寝台から降り、短剣を抱いてヴィンセントに声をかけた。
「あの、私、リリア様と改めて、お話ししてみます」
「なぜだ。リリアは新皇帝側だと言っただろう」
ヴィンセントが振り返って言う。
彼に心配はかけたくないけれど、私は少し強い調子で続けた。
「確かに今のリリア様は新皇帝に心酔しておられる様子でした。でも、直接誰かに乱暴を働いたら、リリア様は癒やしの力をなくしてしまいますよね?」
「それはそうだが」
言葉を濁すヴィンセント。
私はたたみかけた。
「だから、直接的な危険は少ないと思うんです。私、どうにかしてリリア様と仲良くなります。宮廷内でも独自の権力を持つ癒やし処を味方につけられたら、この宮廷を少しでもましにできるかもしれない」
「宮廷を、ましに、か」
ヴィンセントのつぶやきには、少し意外そうな響きがあった。
私は深くうなずく。
「はい。ここは地獄になってしまいましたけど、地獄の中で、みんな生きているので。生きているかぎりは、少しでもこの世界をましにしてあげたい」
ヴィンセントは黙りこむ。
けれど、私には確信があった。
ヴィンセントは私の申し出を受け入れてくれる。
だってカタストロフ・エンジェルのヴィンセントは、地獄の宮廷の中でもいつでも民や国のことを考えていたから。
信じて見つめていると、ヴィンセントは長く深いため息を吐いた。
「……考えておく」
眉間の皺を長い指でのばしながら、ヴィンセントは言う。
「やった!」
私は拳を突きあげる。
頑張ろう。頑張れる。
今の私には、淡いけれど勝算がある。
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