【完結】冷徹宰相と淫紋Hで死亡フラグを『神』回避!? ~鬱エロゲー溺愛ルート開発~

愛染乃唯

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12☆-2

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 カパスの実。知らない名前だ。
 私はそれをまじまじと見る。
 見た目は大きなピーナッツだった。いくらかの蔓がくっついたままの緑色の実で、サイズは細いピーマンくらい。形状と表面のでこぼこはピーナッツそのもの、という代物。あまり美味しそうには見えないが、まがまがしいというほどでもない。

「くださるんですか? ありがとうございます」

 毒か、薬か。私が観察していると、リリアはいきなり私を突き飛ばした。

「わっ!?」

 不意を突かれた私は、部屋の隅の診察台に倒れこむ。私はすぐに立ち上がろうとするものの、リリアは素早く同じ寝台に上がってきた。

「ちょっとごめんねぇ~」

 リリアはそのまま、手際よく私のベルトを外す。いきなりのことに対処できないでいると、軍服のズボンが、ずるん、と下着ごと下ろされる。

「ひゃ!? ま、待ってください、なんで!?」

 悲鳴を上げて体をかばおうとするものの、リリアはするんと無邪気な指をすべりこませてきた。無邪気な指が秘裂に触れてきたので、私は寝台の上でびくんと硬直する。

「きゃぅ、だ、ダメですって!」

 やっと驚きが薄れ、代わりに羞恥心と恐怖と戸惑いがない交ぜになって襲ってきた。私はリリアの両肩を掴んで押しのけようとするが、リリアはすでに私の秘裂を何度も擦り上げ、とろり、とろりとこぼれてくる蜜に指を浸していた。

「ひ、ひゃ、あんっ!」

 痺れるような感覚に、甘い声が出てしまう。
 リリアはうっとりと目を細める。

「かぁわいい。大丈夫、痛くしないわよぉ」

 蕩けるような声で言われ、羞恥で息が詰まった。おそらく私のそこは、ヴィンセントと仕事をしている間にすっかり用意ができてしまっていたのだ。
 加えて、リリアの指が巧みすぎる。手入れされた指先はなめらかで、力の入れ方も優しくて、強く触られても少しも痛くない。ヴィンセントの指を受け入れたときとはまったく違う、柔らかな快感がさざ波のように広がってくる。
 私が思わずぼうっとした、次の瞬間。秘所に何か堅いものが触れた。

「これなら入るねぇ」

 至極普通のテンションで言い、リリアが何かを私に押し当てる。ぎょっとして見ると、深く折り曲げられた両足の間に、緑の何か――カパスの実が、見えた。
 あれを、私に、入れる気だ。
 わかった瞬間、ざわっと全身総毛立つ。

「だ、ダメダメダメ! なんで? なんでそんなもの入れるんですか!」

 慌てて腰を揺らした。いくら処女ではなくなったとはいえ、あんな、得体の知れないものは入れられたくない。大きさだって、男性のものより一回り小さい程度だ。さっき触った限りでは、堅くて、でこぼこしていて――とにかく、絶対に嫌!
 必死に抵抗していると、リリアがあきれた声を出す。

「ひょっとして、本当に知らないのぉ?」

「え……?」

 この反応、どういうことなんだろう。
 私は抵抗を緩め、リリアの様子をうかがった。
 私の足を押さえつけるリリアの顔は、酔ってはいるが案外冷静というか、普通だ。
 情欲にまみれているわけではない。むしろ少し心配そうに私を見ている。

「ヴィンセント様のご趣味だったら、余計なお世話なのかもしれないけどぉ……今の宮廷で身ごもるのは、ちょーっと大変だと思うわよぉ。避妊はちゃんとしときましょ?」

「ひに……ふぁっ!!」

 言われたことを呑みこむ前に、私の中に奇妙な実が押しこまれる。
 ちゅぷん、と中に入ってくるそれ。なんの抵抗もなく――と言いたかったけれど、そうはいかなかった。表面のでこぼこが内部を擦っていくのが、わかってしまう。
 私の中、男性のものはすぐに通り過ぎていくだけだった、入り口近くの場所。
 そこにでこぼこが擦り付けられると、私の体は大きくしなった。

「ひっ……! あっ……!」

「ここ、気持ちいいわよねぇ。もうちょっと奥に入れるから、楽になるわ」

 遠くでリリアの声が響いているのがわかる。私は今まで感じたのとは違う、尖った快感にびくびくと震えながら、必死に呼吸を繰り返すだけだった。

「いい~? 知らないようだから、始めから教えるわよぉ。これは女性用の避妊薬。蔓を外に出して挿入して。挿入後、大体五十から百数えると粘液が出てきて、そこに避妊の成分が入ってるのね。一回の避妊だけなら百数えて出せばいいし、一日もたせたいなら、外まで少し滴ってくるくらいまで待って……聞こえてるかしらぁ?」

「き、聞こえて、ま、す……」

 かすれた声を絞り出し、私はリリアを押しのけた。
 リリアは寝台から降り、少し心配そうに私を見ている、ようだ。

「大丈夫ぅ? エレナ」

「大丈夫れす……大丈夫、なので、もう、戻りますね……仕事が、あるので」

 舌がもつれている。頭の中ももつれている。喋りながらズボンを上げられただけで、自分を褒めてあげたい気分だ。
 寝台から降りようと体をよじると、体内の実が、ぞろり、と中を擦った。

「ひ……っ」

 寝台に伏せて快感をやり過ごしながら、私は、必死にヴィンセントを思い出す。
 ヴィンセント。ヴィンセント。あなたの名前。
 ヴィンセント。あなたの美しくも険しい顔。
 あなたの大きな手。触られたときの熱。
 体の奥が熱くなった瞬間から、ヴィンセントの全てが思考を覆い尽くしていく。

「仕事って、その顔で? ひとりで帰れるぅ? もうちょっとここにいたほうが……」

 リリアの声が追ってくるのにも、もう、答えることができない。
 私は最低限の身なりだけを整え、癒やし処から飛び出した。

「はあ……はぁ」

 荒い息を吐いて、薄暗い廊下を進んでいく。
 つかつかと足早に歩こうとすればするほど、体内の実が私をいじめてきた。今すぐに出したいけれど、これがこの世界の避妊薬ならばもらっておくに越したことはない。
 ヴィンセントとエレナの子どもはかわいいだろうけれど……私はエレナの体を持った別人だし。いや、待って。そもそも私、今後もヴィンセントと関係するんだろうか?

 上着のポケットに手を突っ込むと、指先に堅い感触――♥ボタンが触れる。
 もう、めったなことでは押さないと決めたはず。ダメだ。絶対にダメ。
 わかっている。わかっているけど、私、今、ものすごくヴィンセントに会いたい。
 すがりたい。視線をからめて、見つめて。強く抱きしめて。触って欲しい。
 ヴィンセントのあの手で、どこもかしこも、触ってほしい。
 特に、熱くなっている、体の奥を。
 気持ちいい、って気づかされてしまった、私の中を。

 あなたにだけ――。

「おい、どうした? 怪我でもしたのか」

 不意に声をかけられ、私ははっとした。
 立ち止まって廊下の先を見る。ロウソクでぼんやり照らし出された先に、人影があった。私と色違いの、漆黒の軍服を着た人影が、二つ。
 黒は、この宮廷では皇帝の色だ。
 つまり彼らは、皇帝の近衛兵……。
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