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第4章:イソロク王

第7話:馬子にも衣装

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 セツラは巫女装束をベースにしたドレスにすれば良いので、そんなにはマグナ親子のおもちゃにされることはなかった。だが、問題はエーリカとブルース、そしてアベルの3人組だ。こちらは3人セットで考えねばならぬゆえに、服飾のセンスが良いと自負しているマグナ親子でも難儀してしまうことになる。

「まだまだ暑い日が続くゆえに、清涼感を出しつつ、それでも軽く見られないようにっと。うん。エーリカ姐さんはこれでいいんじゃねえか?」

「そうだな。肌の露出と隠れている部分のバランスが取れている。威厳を出し過ぎず、それでいて健康的な美少女というテーマはこれで実現できそうだ」

「よぉし。エーリカ姐さんの分は終わったな。あとはブルースとアベルがエーリカの額縁になるようにコーディネートしようかっ!」

 結局のところ、エーリカを華に見立て、両脇に控える双璧の騎士は彼女を皆の目により深く印象づけるための額縁として居てもらおうと考えたマグナ親子であった。ブルースは黒と蒼を基調とした軍服。アベルは黒と朱を基調とした軍服となる。服飾が決まったエーリカたちを横に並ばせる。マグナ親子はうんうんと満足そうにうなずくのであった。

「馬子にも衣装とはまさにこのことだろう。これで貴女たちを田舎者だと揶揄する者はいなくなるはずだ」

「ありがとうございます、カズマ殿。でも、お腹周りがかなり窮屈かも。会合が終わった後は立食会もあるのに、これじゃぁ、あんまりたくさん食べれなそう」

 エーリカは選んでもらった服飾自体には文句は言わなかったが、コルセットによりギュウギュウにお腹を固められているために、お腹に違和感を感じまくっていた。出るとこ出てない身体付きであるエーリカではあるが、コルセットのおかげで腰から尻にかけてのラインが美しくなっている。

 そんなエーリカに対して、ブルースたちは眼福眼福とばかりにエーリカの腰から尻周りをにこやかな表情で見ることになる。エーリカを端的に表現すれば、元気いっぱいの年頃の娘になる。だが、今のエーリカは蕾から今まさに華が咲こうとしているという、みずみずしい若さを象徴していた。

 ブルースたちはエーリカに豊満なおっぱいがあれば、言うこと無しだといつも思っている。だが、エーリカのおっぱいがこの先、いくら経ったとしても、成長する様子はまったくもって見られなかった。

「アベル。エーリカにおっぱいは必要無いのかもしれないでござるな」

「ブルースもそう思うか。タケル殿がエーリカのお尻は将来性のある良いお尻だとたまに零すが、こうやって見ると、タケル殿同様、それがしも尻派に目覚めそうだ……」

 ブルースたちはエーリカから少し距離を取り、エーリカの耳に自分たちの囁き合う声が聞こえないように、エーリカをまじまじと見ていた。淑女レディらしい体つきという観点から言わせてもらえば、セツラ様のほうが圧倒的にエーリカよりも将来性があった。

 だが、健康美という観点から見れば、セツラはエーリカの足元にも及ばない。ここまで違う2人となると、後は殿方の好みの問題となる。エーリカたちと同じく思春期であるブルースとアベルはこの2人の若い女子を前にして、自分たちは果たして、どちら側がより好みなのだろうかと? と思い悩むことになりそうであった。

「うっほっ! 大は小を兼ねるとはまさにこのことでござるなっ!」

「それがし、不覚にも前かがみになってしまったのだっ!」

 推定Gカップの淑女レディが突如、エーリカたちの側に現れた。彼女のたわわに実ったおっぱいがドレスから零れ落ちそうになっている。そんな彼女が召使いと思わしき男性陣から色々とドレスを受け取っている。どれも、胸元がパカッと開いているドレスであり、今以上に実ったおっぱいが露わになってしまうことは間違いなさそうであった。

 さらにその淑女レディはおっぱいに集まる熱くて若いふたつの視線を感じ取り、その熱い若さをぶつけてくる男子たちに、これまた鼻の下がどうしても伸びてしまいかねない柔らかい笑顔を送る。

「あんたたち……。あとでタケルお兄ちゃんと一緒に説教ねっ!」

「ど、どういうことでござるかなっ!? 拙者たちはいつものタケル殿のように、エーリカの前で正座にさせらるのでござるか!?」

「ブルース。観念した方が良いぞ。エーリカを差し置き、ご婦人を凝視していたのがバレてしまったのだ……」

 胸にたわわなおっぱいを実らせたご婦人はウフフ……と妖艶な笑みを零し、ヒラヒラとブルースたちに手を振ってみせる。そうした後、これ以上、お邪魔しちゃ悪いわとばかりに、店内にある違う試着室の方へと向かっていくのであった。そのご婦人がその場から去っていくと、ブルースたちはあからさまにため息を吐くのであった。

「今のはイザーク=デンタール将軍がたいそう可愛がっている娘のライラ=デンタール殿ですな。ホバート王国の王家の第1王女という圧倒的おっぱいの存在が居なければ、彼女こそがこの国の宝だと言われていたかもしれぬ淑女レディですな」

「ふ~~~ん。ブルースたちが鼻の下を伸ばすのはしょうがないってわけね」

「ライラ殿の残念なところは齢26になったというのに、嫁入り話が無いってところだな。イザーク将軍が娘を可愛がりすぎたゆえに、嫁ぎ遅れになりかねないらしいぜ!」

「それは本当なのですか? ケージさん。あれほどの魅力的なご婦人なのに、特定の殿方が居ないのはあまりにも不自然だと思いますわ」

 セツラは首を傾げつつ、ケージ=マグナに質問をする。しかしながら、ケージは本当にそうなんだよとセツラにそう答えることで、セツラの首の角度はもっと横に傾くことになる。セツラから見ても、ライラ様の体つきは羨ましい限りだ。あれだけのプロポーションを持っていれば、引く手あまたであろう。だが、そうならないように父親のイザーク将軍が、娘の周りを飛び回るコバエどもを打ち払っているのは滑稽このうえないと感じてしまう。

 女性は24歳を越えると、さすがに危機感が募りまくってしまう。そして、そこからプラス2歳も年齢を重ねてしまっているライラ殿だ。セツラはイザーク将軍と面会する機会を得たならば、いくら目に入れても痛くない愛娘だとしても、嫁ぎ先を真剣に考えてあげるべきだと忠告しようと考えた。

「さて、服飾も決まりましたし、自分はお会計を済ませてきますぞ。ケージはエーリカ様たちと共に先に屋敷の方へ戻っていてくれ。自分はこまごまとした用事を済ませておくからな」

「おうおう。わかったぜ、親父。んじゃ、エーリカ様。腹をきつくコルセットで固定していた分、反動でお腹が空いてるだろっ! 道草しながら屋敷に戻ろうぜっ!」

「あんたって、ほんと、バイにしていおくにはもったいない気が利く男よね。ブルース、アベル。あんたたちはケージの爪の垢を煎じて飲ませてもらいなさいよ」

「グゥの音も出ないでござる」

「それがしたちはいつまでも馬子にも衣装と呼ばれぬように、そっちの方面でも精進せねばならぬなぁ……」
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