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第2章:始祖神の使い
第4話:大大大将軍
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(な、何を意識しているのよ!? そんなわけないじゃないの!!)
とまあ、アキヅキが自分の顔に熱が入ったのをブンブンと顔を左右に振ることで退散させようとするのであった。みんながなんだなんだ? と不思議な顔つきでアキヅキを見るが、まあアキヅキがおかしいのはいつものことだとばかりに余り気にしないのであった。
顔から熱が引いた後、アキヅキは一度、ごほんとわざとらしい咳をし、シャクマ=ノブモリの方をしっかりと見て、自分が願っていることをどうすれば実現できるのか聞いてみることにしたのだ。しかし、そこでさらに引っかかることを言われてしまう始末であった。
「まあ、殿の言う通り、キッシー砦とワーダン砦の兵士を見捨てるのは悪手だわな」
「ちょっと待って……。その殿って、何?」
「ん? 主君と仰ぐ人物を『殿』呼ばわりするのは自然なことだろ?」
平然とした顔つきで言いのけるシャクマに、はぁ? と生返事しかできないアキヅキであった。話が進まないので、そんなけったいな呼び方ではなく、名前で呼ぶようにあとで言っておこうと思うアキヅキであった。
話の腰を折られた形となったシャクマであったが、さして気にもせず、自分の意見をべらべらとしゃべり続けるのであった。
「まずだ。ニコラスだったっけ? ニコラスの報告を信じるならば、3日も経たずにダンジリ河の両砦は陥落しちまうんだったな。んじゃ、そこの兵士たちだけでも助け出せるように手配しようか」
「いや、そんな簡単に言われてもだぜ? 自分たちが偵察してきたところ、すっかり両砦はショウド国軍に包囲されてたんだぜ? そこに突っ込んでこいっていうのか?」
ニコラス=ゲージは不満たらたらにシャクマ=ノブモリに文句に近い形の意見を言うのであった。もちろん、どこぞから現れた人物が自分の隊長の補佐をして、言いたいことをずけずけと言っているのだ。これで文句を言わずにおれるニンゲンなぞ、居ようはずが無い。
「まあまあ。ニコラスが俺を信用してないのはわかるぜ? でも、それとこれとは話は別だ。あとだ。救出部隊は夜中に行ってもらう。今日は3月14日だったよな?」
「うむ。確かにそうだが、それがどうしたんだぜ?」
「ってことは、ほぼほぼ満月だな。月明りだけでその他の照明は要らないってわけだ。これなら、真夜中に森を駆け抜けても、大丈夫だろ」
シャクマの言いに、おお、なるほどだぜ……と感心せざるをえないニコラスであった。救出部隊はゼーガン砦の無事な兵から勘定すれば10~20人前後であろう。その者たちが、手に松明を持って夜中に行動すれば、いくらなんでもショウド国軍にバレバレだ。
「あと、馬を砦近くまで近づけるじゃねえぞ? 馬がヒヒーンって夜中に鳴いてた日にゃ、怪しまれるに十分だ」
「う、うむ。そこはよくよく考えておくんだぜ。森の中で荷馬車を待機させておくんだぜ」
シャクマとニコラスはどんどん両砦に詰める兵士たちの救出計画について詰めていくのであった。とんとん拍子で話が進んでいき、彼らの話を聞いていた周りのニンゲンたちは感心しながら黙って聞いている以外、他無かったのであった。
救出計画をまとめるとだ。明るい内に荷馬車を3~4台、両砦の近くの森に配備しておく。この荷馬車は走って移動できない負傷者を乗せるためのモノだ。
それと両砦に撤退の知らせを送るのは狼煙を使ってでは、敵にそれを知らせてしまう結果となるので、そこは伝書鳩を使うことで解決する運びとなっていた。
「んじゃ、救出隊は、ほぼ無傷のアイス隊とサクヤ隊に任せるってことで。両名とも異論は無いか?」
「わたくしとしては、精鋭部隊の20名をゼーガン砦から離れさせるのは少々不安ですが、精鋭部隊で救出部隊を組まないといけないことは理解できるのですわ」
こういった夜中に行う作戦は訓練の行き届いた精鋭もしくは息があった者たち同士でなければならないとシャクマはあらかじめ説明してあったのだ。サクヤ=ニィキューとしても、自分の統率力を認められた形となっているので悪い気はしないのであった。
「ブッヒッヒ。こういう大任を預けられるのは悪い気分ではないんだブヒッ。あんたさん、ヒトを乗せるのが上手だねえ?」
「ははっ。俺は武勇に関してはそこそこ程度だったが、ヒノモトの国では最大5万もの軍団を預かってた鎧武者だったからな。これくらいの救出劇の演出くらいお茶の子さいさいってわけよ」
シャクマがそう言うと、指令室に集まる皆から、今までとしては最大級となるであろう感嘆の声が上がるのであった。
「おお……!! 5万? 5万の軍団だって? ポメラニア帝国の全兵士を合わせても、3~4万だろうなんだぜ。その1.5倍近くもの兵数の軍団長だったのか? そりゃ、多くて片方50人ほどしか詰めてない両砦の救出がお茶の子さいさいだと言い切っちまうのには納得しちまうんだぜ!!」
ニコラスが驚きながら、こりゃ救出作戦は大成功間違いなしだと浮かれてしまうのであった。
ポメラニア帝国の騎士の身分にある者たちはだいたい20数名くらいの小隊の隊長である。
この小隊が5つほど集まれば、100人規模の中隊となる。中隊をまとめるのは伯爵または子爵の爵位持ちとなる。さらに言えば、その中隊を5~10隊ほどをまとめるのが四大貴族となるのだ。
ざっくらばんとした計算で申し訳ないが、ポメラニア帝国の四大貴族だとしても、最大8千人~1万人程度の指揮官なのである。そのゆうに5倍にあたる5万もの軍団長であるシャクマ=ノブモリは、指令室に居るメンバーから見れば、大大大将軍と言っても差し支えないのであった。
指令室に集まるメンバーたちの顔つきが一様に明るくなるのは、致し方ないことであった。
「というわけだ。先ほどの戦いの疲れも抜けぬうちで悪いが、アイス殿、サクヤ殿、救出部隊の編制を頼むわ」
アイス=ムラマサとサクヤ=ニィキューの両名はコクリと首肯し、指令室から飛び出していくのであった。そしてシャクマが次に指示を与えたのはフラン=パーンそのヒトであった。
「ん? 施設が半壊しちゃったゼーガン砦の機能回復に努めてほしいのかニャ?」
とまあ、アキヅキが自分の顔に熱が入ったのをブンブンと顔を左右に振ることで退散させようとするのであった。みんながなんだなんだ? と不思議な顔つきでアキヅキを見るが、まあアキヅキがおかしいのはいつものことだとばかりに余り気にしないのであった。
顔から熱が引いた後、アキヅキは一度、ごほんとわざとらしい咳をし、シャクマ=ノブモリの方をしっかりと見て、自分が願っていることをどうすれば実現できるのか聞いてみることにしたのだ。しかし、そこでさらに引っかかることを言われてしまう始末であった。
「まあ、殿の言う通り、キッシー砦とワーダン砦の兵士を見捨てるのは悪手だわな」
「ちょっと待って……。その殿って、何?」
「ん? 主君と仰ぐ人物を『殿』呼ばわりするのは自然なことだろ?」
平然とした顔つきで言いのけるシャクマに、はぁ? と生返事しかできないアキヅキであった。話が進まないので、そんなけったいな呼び方ではなく、名前で呼ぶようにあとで言っておこうと思うアキヅキであった。
話の腰を折られた形となったシャクマであったが、さして気にもせず、自分の意見をべらべらとしゃべり続けるのであった。
「まずだ。ニコラスだったっけ? ニコラスの報告を信じるならば、3日も経たずにダンジリ河の両砦は陥落しちまうんだったな。んじゃ、そこの兵士たちだけでも助け出せるように手配しようか」
「いや、そんな簡単に言われてもだぜ? 自分たちが偵察してきたところ、すっかり両砦はショウド国軍に包囲されてたんだぜ? そこに突っ込んでこいっていうのか?」
ニコラス=ゲージは不満たらたらにシャクマ=ノブモリに文句に近い形の意見を言うのであった。もちろん、どこぞから現れた人物が自分の隊長の補佐をして、言いたいことをずけずけと言っているのだ。これで文句を言わずにおれるニンゲンなぞ、居ようはずが無い。
「まあまあ。ニコラスが俺を信用してないのはわかるぜ? でも、それとこれとは話は別だ。あとだ。救出部隊は夜中に行ってもらう。今日は3月14日だったよな?」
「うむ。確かにそうだが、それがどうしたんだぜ?」
「ってことは、ほぼほぼ満月だな。月明りだけでその他の照明は要らないってわけだ。これなら、真夜中に森を駆け抜けても、大丈夫だろ」
シャクマの言いに、おお、なるほどだぜ……と感心せざるをえないニコラスであった。救出部隊はゼーガン砦の無事な兵から勘定すれば10~20人前後であろう。その者たちが、手に松明を持って夜中に行動すれば、いくらなんでもショウド国軍にバレバレだ。
「あと、馬を砦近くまで近づけるじゃねえぞ? 馬がヒヒーンって夜中に鳴いてた日にゃ、怪しまれるに十分だ」
「う、うむ。そこはよくよく考えておくんだぜ。森の中で荷馬車を待機させておくんだぜ」
シャクマとニコラスはどんどん両砦に詰める兵士たちの救出計画について詰めていくのであった。とんとん拍子で話が進んでいき、彼らの話を聞いていた周りのニンゲンたちは感心しながら黙って聞いている以外、他無かったのであった。
救出計画をまとめるとだ。明るい内に荷馬車を3~4台、両砦の近くの森に配備しておく。この荷馬車は走って移動できない負傷者を乗せるためのモノだ。
それと両砦に撤退の知らせを送るのは狼煙を使ってでは、敵にそれを知らせてしまう結果となるので、そこは伝書鳩を使うことで解決する運びとなっていた。
「んじゃ、救出隊は、ほぼ無傷のアイス隊とサクヤ隊に任せるってことで。両名とも異論は無いか?」
「わたくしとしては、精鋭部隊の20名をゼーガン砦から離れさせるのは少々不安ですが、精鋭部隊で救出部隊を組まないといけないことは理解できるのですわ」
こういった夜中に行う作戦は訓練の行き届いた精鋭もしくは息があった者たち同士でなければならないとシャクマはあらかじめ説明してあったのだ。サクヤ=ニィキューとしても、自分の統率力を認められた形となっているので悪い気はしないのであった。
「ブッヒッヒ。こういう大任を預けられるのは悪い気分ではないんだブヒッ。あんたさん、ヒトを乗せるのが上手だねえ?」
「ははっ。俺は武勇に関してはそこそこ程度だったが、ヒノモトの国では最大5万もの軍団を預かってた鎧武者だったからな。これくらいの救出劇の演出くらいお茶の子さいさいってわけよ」
シャクマがそう言うと、指令室に集まる皆から、今までとしては最大級となるであろう感嘆の声が上がるのであった。
「おお……!! 5万? 5万の軍団だって? ポメラニア帝国の全兵士を合わせても、3~4万だろうなんだぜ。その1.5倍近くもの兵数の軍団長だったのか? そりゃ、多くて片方50人ほどしか詰めてない両砦の救出がお茶の子さいさいだと言い切っちまうのには納得しちまうんだぜ!!」
ニコラスが驚きながら、こりゃ救出作戦は大成功間違いなしだと浮かれてしまうのであった。
ポメラニア帝国の騎士の身分にある者たちはだいたい20数名くらいの小隊の隊長である。
この小隊が5つほど集まれば、100人規模の中隊となる。中隊をまとめるのは伯爵または子爵の爵位持ちとなる。さらに言えば、その中隊を5~10隊ほどをまとめるのが四大貴族となるのだ。
ざっくらばんとした計算で申し訳ないが、ポメラニア帝国の四大貴族だとしても、最大8千人~1万人程度の指揮官なのである。そのゆうに5倍にあたる5万もの軍団長であるシャクマ=ノブモリは、指令室に居るメンバーから見れば、大大大将軍と言っても差し支えないのであった。
指令室に集まるメンバーたちの顔つきが一様に明るくなるのは、致し方ないことであった。
「というわけだ。先ほどの戦いの疲れも抜けぬうちで悪いが、アイス殿、サクヤ殿、救出部隊の編制を頼むわ」
アイス=ムラマサとサクヤ=ニィキューの両名はコクリと首肯し、指令室から飛び出していくのであった。そしてシャクマが次に指示を与えたのはフラン=パーンそのヒトであった。
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