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第3章:恋の味は蜂蜜
第4話:ライバル出現
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「なるほどだブヒッ……。この珠はこいつの核だったってことだブヒッ」
蒼き虎がさらに数分後、ドロドロと溶けだして、部屋のベッドや床の絨毯に吸い込まれるように消えて行ったのである。まるで、体内にあった珠が砕けたのに呼応してかのようであった。
それゆえにアイス=ムラマサは蒼き虎を生み出したのは、この謎の珠であると結論付けたのであった。
「じゃあ……。もしかして、このゼーガン砦に突如現れたあの虎たちは全て、この謎の珠が生み出してたってことニャ?」
「そう考えるほうが自然なのだブヒッ。確か、ショウド国との交易品の中に、これと似た珠がいくつもあったはずブヒッ」
そもそもとして、ゼーガン砦はポメラニア帝国とショウド国との交易品を一時預かる中継地点でもあった。ショウド国がポメラニア帝国に屈服してから150年近くが経っている。そしてショウド国は割とポメラニア帝国に対して従順であった。
そのため、ここ数十年はショウド国からの交易品はまともな検分をされることなく、ポメラニア帝国内に流通していたのである。そしてそれを逆手に取って、虎を生み出す謎の珠を交易品に混ぜることにより、先日のゼーガン砦への奇襲を大成功させたのであった。
「くそっ! わたしたちはしてやられたのかっ! いつからショウド国はこんな計画を立てていたのよっ!」
アキヅキ=シュレインは歯がみしていた。もっと交易品の検分をしっかりしていれば、今の事態には陥ってなかったのでは? そんな疑念が彼女を襲う。だが、彼女を否定するかのようにフランが告げる。
「ゼーガン砦に入る物資の管理は、この1年余り、フランちゃんが担当していたニャ。いくら検分がおざなりと言っても、あからさまな物はそのまま中央に送るようなことはしていなかったニャ」
その言葉にアキヅキは、はっと気付かされることになる。自分は今、怒りを発散しているだけだと。その怒りで親友であるフランをおおいに傷つけているだけだということを。
「ご、ごめん……。フランを責める気は無かったの……。フランが気付かないなら、誰にもわからないわよね……」
「すまないニャ。フランちゃんがもっと気をつけておけば、アキヅキちゃんのパパも大怪我を負わなくて済んでいたのかも知れないのニャ」
フランは誰の眼からも見ても落ち込んでいることがわかった。アキヅキはとてつもない罪悪感に襲われることとなる。
(ごめんね……、フラン。あなたを責める気は本当になかったの……)
アキヅキの寝泊まりしていた部屋の中には沈黙が訪れていた。アキヅキは誰か、この重い空気を振り払ってほしい。そう心から願うのであった。そして、アキヅキは何となくであるが、押し黙っているシャクマの方に顔を向けてしまう。
「お、俺!?」
シャクマがアキヅキの懇願するような視線を受けて、思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。しかし、数秒後には何か意を決したかのような顔つきになるのであった。
「まあ、済んじまったことを今更、とやかく言うのはやめておこうぜ? だからと言って、フランもこのままじゃ気が収まらないよな?」
シャクマがそう言うと、フランは力無く、コクコクと首を縦に振る。そして、シャクマも相槌を打ち
「じゃあ、こうしよう。姫はフランに対して、この度の失策に関して、罰を与えるんだ。んで、フランはその罰を甘んじて受け入れる」
「わかったニャ……。それでアキヅキちゃんの気が済むなら、フランちゃんは罰に耐えるのニャ……」
フランが今にも泣きそうな顔をしながら、アキヅキから裁可が下るのを待つ。するとだ、シャクマが何故か、アキヅキに代わって、フランに罰の内容を発表する。
「よおおおし。じゃあ、姫からのお達しだ。耳かっぽじって、よーーーく聞くんだぞ? 姫の寝室は、敵の襲撃により、使い物にならなくなっちまった。そこで、フランは姫の寝室が元に戻るまで、夜はフランの寝室で姫を寝泊まりさせることにする。フランには姫付きの護衛をしてもらうことになる。もし、姫に何かあれば、姫のために命を落とせ」
「え? それって、何かの罰になっているのかニャ?」
フランはシャクマの方をおどおどとした顔つきで見やる。そんなフランに不意打ちをするかのように、向日葵のようなニカリとした笑顔をしだすシャクマであった。
その時であった。フランは自分の左胸、やや下の方でトクントクンと脈打つ何かを感じる。そして数秒後にはバックンバックン! と大きな音が鳴り出したのであった。
「ニャーーー!? そんなはずがないんだニャーーー!? フランちゃんはアキヅキちゃんと違って、おっさんが好みじゃないんだニャーーー!! 12歳くらいの可愛い男の娘が守備範囲だったはずなのニャーーー!!」
急に顔を薔薇よりも真っ赤に染めたフランが顔を両手で隠して、床でゴロゴロと左右に身体を身震いさせたのである。
それに驚いた面々はフランが罪の意識にさいなまれて、発狂してしまったのか!? と勘違いしたのである。そして、あろうことか、こうなった原因の大部分であるシャクマがフランをお姫様抱っこしたものだから、フランにはたまったものではない。
「ニャーーーーー!!??」
フランは気恥ずかしさのあまりに失神しそうであった。その後、自分がどうされたのか記憶が定かではなかった。気付いた時には、フランが使っている寝室のベッドの上にに運ばれていた。さらに同じ布団の中、フランの横にはクークーと寝息を立てて眠るアキヅキがいたのであった。
フランはまったくもって釈然としない気持ちであった。この虎焼酎くさい女っ気ゼロに近しい女性を蹴っ飛ばして、ベッドから放り出したい気分であった。
布団の中で、ゲシゲシとアキヅキに軽く蹴りを入れるフランであったが、アキヅキはまったくもって動じない。それどころか、彼女は、はだけたバスローブから覗かせる白い脇腹をゴリゴリと左手で掻く始末だ。
フランは何だか悔しい気持ちでいっぱいである。せめてもの嫌がらせで、眠るアキヅキの耳元にこう囁くのであった。
「アキヅキちゃんはシャクマさまのことをどう思うニャ? フランちゃんはシャクマさまのことが多分、好きになっちゃったニャ。アキヅキちゃんがシャクマさまのことをどうとでも思っていないって言うなら、本当にもらっちゃって良いのニャ?」
蒼き虎がさらに数分後、ドロドロと溶けだして、部屋のベッドや床の絨毯に吸い込まれるように消えて行ったのである。まるで、体内にあった珠が砕けたのに呼応してかのようであった。
それゆえにアイス=ムラマサは蒼き虎を生み出したのは、この謎の珠であると結論付けたのであった。
「じゃあ……。もしかして、このゼーガン砦に突如現れたあの虎たちは全て、この謎の珠が生み出してたってことニャ?」
「そう考えるほうが自然なのだブヒッ。確か、ショウド国との交易品の中に、これと似た珠がいくつもあったはずブヒッ」
そもそもとして、ゼーガン砦はポメラニア帝国とショウド国との交易品を一時預かる中継地点でもあった。ショウド国がポメラニア帝国に屈服してから150年近くが経っている。そしてショウド国は割とポメラニア帝国に対して従順であった。
そのため、ここ数十年はショウド国からの交易品はまともな検分をされることなく、ポメラニア帝国内に流通していたのである。そしてそれを逆手に取って、虎を生み出す謎の珠を交易品に混ぜることにより、先日のゼーガン砦への奇襲を大成功させたのであった。
「くそっ! わたしたちはしてやられたのかっ! いつからショウド国はこんな計画を立てていたのよっ!」
アキヅキ=シュレインは歯がみしていた。もっと交易品の検分をしっかりしていれば、今の事態には陥ってなかったのでは? そんな疑念が彼女を襲う。だが、彼女を否定するかのようにフランが告げる。
「ゼーガン砦に入る物資の管理は、この1年余り、フランちゃんが担当していたニャ。いくら検分がおざなりと言っても、あからさまな物はそのまま中央に送るようなことはしていなかったニャ」
その言葉にアキヅキは、はっと気付かされることになる。自分は今、怒りを発散しているだけだと。その怒りで親友であるフランをおおいに傷つけているだけだということを。
「ご、ごめん……。フランを責める気は無かったの……。フランが気付かないなら、誰にもわからないわよね……」
「すまないニャ。フランちゃんがもっと気をつけておけば、アキヅキちゃんのパパも大怪我を負わなくて済んでいたのかも知れないのニャ」
フランは誰の眼からも見ても落ち込んでいることがわかった。アキヅキはとてつもない罪悪感に襲われることとなる。
(ごめんね……、フラン。あなたを責める気は本当になかったの……)
アキヅキの寝泊まりしていた部屋の中には沈黙が訪れていた。アキヅキは誰か、この重い空気を振り払ってほしい。そう心から願うのであった。そして、アキヅキは何となくであるが、押し黙っているシャクマの方に顔を向けてしまう。
「お、俺!?」
シャクマがアキヅキの懇願するような視線を受けて、思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。しかし、数秒後には何か意を決したかのような顔つきになるのであった。
「まあ、済んじまったことを今更、とやかく言うのはやめておこうぜ? だからと言って、フランもこのままじゃ気が収まらないよな?」
シャクマがそう言うと、フランは力無く、コクコクと首を縦に振る。そして、シャクマも相槌を打ち
「じゃあ、こうしよう。姫はフランに対して、この度の失策に関して、罰を与えるんだ。んで、フランはその罰を甘んじて受け入れる」
「わかったニャ……。それでアキヅキちゃんの気が済むなら、フランちゃんは罰に耐えるのニャ……」
フランが今にも泣きそうな顔をしながら、アキヅキから裁可が下るのを待つ。するとだ、シャクマが何故か、アキヅキに代わって、フランに罰の内容を発表する。
「よおおおし。じゃあ、姫からのお達しだ。耳かっぽじって、よーーーく聞くんだぞ? 姫の寝室は、敵の襲撃により、使い物にならなくなっちまった。そこで、フランは姫の寝室が元に戻るまで、夜はフランの寝室で姫を寝泊まりさせることにする。フランには姫付きの護衛をしてもらうことになる。もし、姫に何かあれば、姫のために命を落とせ」
「え? それって、何かの罰になっているのかニャ?」
フランはシャクマの方をおどおどとした顔つきで見やる。そんなフランに不意打ちをするかのように、向日葵のようなニカリとした笑顔をしだすシャクマであった。
その時であった。フランは自分の左胸、やや下の方でトクントクンと脈打つ何かを感じる。そして数秒後にはバックンバックン! と大きな音が鳴り出したのであった。
「ニャーーー!? そんなはずがないんだニャーーー!? フランちゃんはアキヅキちゃんと違って、おっさんが好みじゃないんだニャーーー!! 12歳くらいの可愛い男の娘が守備範囲だったはずなのニャーーー!!」
急に顔を薔薇よりも真っ赤に染めたフランが顔を両手で隠して、床でゴロゴロと左右に身体を身震いさせたのである。
それに驚いた面々はフランが罪の意識にさいなまれて、発狂してしまったのか!? と勘違いしたのである。そして、あろうことか、こうなった原因の大部分であるシャクマがフランをお姫様抱っこしたものだから、フランにはたまったものではない。
「ニャーーーーー!!??」
フランは気恥ずかしさのあまりに失神しそうであった。その後、自分がどうされたのか記憶が定かではなかった。気付いた時には、フランが使っている寝室のベッドの上にに運ばれていた。さらに同じ布団の中、フランの横にはクークーと寝息を立てて眠るアキヅキがいたのであった。
フランはまったくもって釈然としない気持ちであった。この虎焼酎くさい女っ気ゼロに近しい女性を蹴っ飛ばして、ベッドから放り出したい気分であった。
布団の中で、ゲシゲシとアキヅキに軽く蹴りを入れるフランであったが、アキヅキはまったくもって動じない。それどころか、彼女は、はだけたバスローブから覗かせる白い脇腹をゴリゴリと左手で掻く始末だ。
フランは何だか悔しい気持ちでいっぱいである。せめてもの嫌がらせで、眠るアキヅキの耳元にこう囁くのであった。
「アキヅキちゃんはシャクマさまのことをどう思うニャ? フランちゃんはシャクマさまのことが多分、好きになっちゃったニャ。アキヅキちゃんがシャクマさまのことをどうとでも思っていないって言うなら、本当にもらっちゃって良いのニャ?」
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