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第7章:上覧武闘会・開催
第3話:くじ運
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神槍:ブリトニー=ノーガゥ。彼は25歳を目前とした頃にはアンゴルモア四天王として、その地位を確実なモノとしていた。そしてそこから20余年。アンゴルモア四天王の名に恥じぬ功績を残してきた。彼は半鳥半人ゆえに他の種族とは違い、老いが早くやってきてしまう。それでも引退するのは50歳を過ぎてからだと思っていた。半鳥半人は通常、40歳で軍役から退く者が多い中で、彼は唯一の例外とも言える存在だったのである。
だからこそ、彼には主アンゴルモア大王直々に花道が用意されたと言っても過言ではない。若い世代が老いた者をその座から追い出すのは歴史が証明している。そして、その歴史に倣い、神槍:ブリトニー=ノーガゥもその時が来たのだと彼は察するのであった。ブリトニー=ノーガゥは身に着けていた兜を外し、それを左脇に抱え込む。そしてうやうやしくアンゴルモア大王に向かって、深々と一礼をする。そんな彼に対して、アンゴルモア大王としては珍しく、こくりと頷いて応えるのであった。それは彼なりの神槍:ブリトニー=ノーガゥに対する礼であった。その後、アンゴルモア大王は玉座に座り直し、またしても横柄な態度で足を組みだす。あくまでも自分はこの世の神であり、唯一の大王であることを誇示したのであった。
アンゴルモア大王が着席した後、両脇に立つ剣聖:プッチィ=ブッディと弓神:ダルシゥム=カーメンが上覧武闘会におけるルールを説明しだす。武器は何を使用しても良いが、どうしようもない状況ではない限り、相手の命を奪う行為は禁止すると。それもそうだろう。せっかく、幹部候補を見出そうと言うのに、死なれては困るからだ。だからこそ、防具もちゃんとしたモノを身に着けろと厳命したのである。しかしながら、治療魔術に長けた高位魔術師の数も揃えてあるから、息の根を止めぬ限りは大丈夫ッスという剣聖:プッチィ=ブッディの言いに観衆からドッと笑いが巻き起こる。
やはり、観衆たちは血を血で洗う戦いを視たくてやってきているのが大半なのだ。中途半端なところで決着をつけられても面白くもなんともない。もちろん、勝ち目を失くした者が自ら降参する権利を与えられている。それでも、出来る限り死力を尽くして戦えということだ。そして、戦いをより白熱させるために、公式な賭けも行なわれることも両名から告げられることとなる。賭け金が無ければ、女房や娘を質に出しても良いという、めったに冗談を言わぬ弓神:ダルシゥム=カーメンがそれを言ってしまったために、会場はシーーーンと水を打ったかのように静まり返ってしまったのだ。
「ほら、言わんこっちゃないッス。そういうシャレにならない冗談を言うのは俺っちに任せておいたほうが懸命だと忠告しておいたッスよ?」
「ぐぬぬ……! おいどん、納得いかないでごわす! リテイクを所望するでごわすっ!」
静まり返ってしまった円形闘技場の観衆たちであったが、剣聖と弓神が漫才を始めたので、あれは弓神なりの冗談なんだと理解し始める。そして、両名の漫才を見ている内にざわついていた心が元に戻ったのか、観衆たちの顔から笑顔が戻ってくることとなる。
(ほうほう。女房や娘を質に入れて良いとは、これはまた面白いですね。ロックくんがいつも以上の実力を発揮するためにも、リリーを賭け金代わりに積みましょうか?)
コープ=フルールがそんなやましい考えを抱いていると、隣の席に座る彼の執事がごほんっ! とわざとらしい大きな咳をつく。そんなゴーマ=タールタルに対して、コープ=フルールは大袈裟に両腕を左右に広げるのであった。
「まったく……。すぐに思っていることがヒトに知られるのはダメですぞ」
「私の考えをすぐに察することが出来る数少ないヒトと言えば、うちではゴーマくんくらいでしょ」
「あとはフルール商会筆頭のピルカ=フルールですじゃ。あのお方には、それがし以上に注意しておくことじゃ」
コープ=フルールは聞きたくもない名前を出されて、さも面白くないという表情に変わってしまう。そんな彼に対して、ゴーマ=タールタルはクックックッと意地悪くほくそ笑んでしまう。コープ=フルールには異母姉が数人存在する。そのひとりであるピルカ=フルールが現在のフルール商会の筆頭であった。彼がこの世で唯一、口で勝てないと思っている相手が彼女なのである。それは血のつながった姉と弟の間柄なだけはあり、コープ=フルールの考えをことごとく見抜く才を持っているからだと言っても過言ではなかった。そんな目の上のたんこぶである異母姉の名前を出されては、面白くもなんともないコープ=フルールだったのだ。
「まあ、そんなことは今は忘れましょう。幸いなことに姉とは離れた席なのですから」
「そうですじゃな。もし、近くに居られては、せっかくの金の卵を産むニワトリを強引に奪われかねないのですじゃ」
コープ=フルールとゴーマ=タールタルはやれやれとばかりに両腕を左右に広げてみせる。その後、彼らは金の卵を産むニワトリが今、どんな様子なのかと視線を彼に向ける。ちょうど会場はトーナメントの順番を決めるくじ引きに移行していた。そして、都合の良いことにロック=イートがくじを引く番であった。ロック=イートは上方に丸い穴の開いた立方体の箱の中に右手を突っ込む。そして、何かを探るようにごそごそと立方体の箱の中で右手を動かす。そして、意を決してその中の物を引っ張り出したのであった。
「ロック=イート選手が引き当てたのは『A-1』! 第1回戦、第1試合となりますっ!!」
司会進行役の半猫半人の女性がロック=イートに対して、手に持っている英数字が書かれた手のひらサイズのボールを高々と掲げるように促す。ロック=イートはとまどいながら、そのボールを右手に持ち、観衆に見えるように振りかざす。観衆たちが彼に最も注視したのは、ボール自体よりもそのボールを持つ黒々とした義腕であった。戦士たちのほとんどが何かしらの金属製の鎧に身を包んでいるというのに、ロック=イートはやや厚手の布地の服に身を包み込んでいる。それだけでも注目の的となるのだが、それよりも彼の右の義腕のほうがよっぽど観衆の眼を引いたのであった。
「では、栄えある『A-1』を引き当てたロック=イート選手には開会式の最後に意気込みを語ってもらおうと思いますっ!」
だからこそ、彼には主アンゴルモア大王直々に花道が用意されたと言っても過言ではない。若い世代が老いた者をその座から追い出すのは歴史が証明している。そして、その歴史に倣い、神槍:ブリトニー=ノーガゥもその時が来たのだと彼は察するのであった。ブリトニー=ノーガゥは身に着けていた兜を外し、それを左脇に抱え込む。そしてうやうやしくアンゴルモア大王に向かって、深々と一礼をする。そんな彼に対して、アンゴルモア大王としては珍しく、こくりと頷いて応えるのであった。それは彼なりの神槍:ブリトニー=ノーガゥに対する礼であった。その後、アンゴルモア大王は玉座に座り直し、またしても横柄な態度で足を組みだす。あくまでも自分はこの世の神であり、唯一の大王であることを誇示したのであった。
アンゴルモア大王が着席した後、両脇に立つ剣聖:プッチィ=ブッディと弓神:ダルシゥム=カーメンが上覧武闘会におけるルールを説明しだす。武器は何を使用しても良いが、どうしようもない状況ではない限り、相手の命を奪う行為は禁止すると。それもそうだろう。せっかく、幹部候補を見出そうと言うのに、死なれては困るからだ。だからこそ、防具もちゃんとしたモノを身に着けろと厳命したのである。しかしながら、治療魔術に長けた高位魔術師の数も揃えてあるから、息の根を止めぬ限りは大丈夫ッスという剣聖:プッチィ=ブッディの言いに観衆からドッと笑いが巻き起こる。
やはり、観衆たちは血を血で洗う戦いを視たくてやってきているのが大半なのだ。中途半端なところで決着をつけられても面白くもなんともない。もちろん、勝ち目を失くした者が自ら降参する権利を与えられている。それでも、出来る限り死力を尽くして戦えということだ。そして、戦いをより白熱させるために、公式な賭けも行なわれることも両名から告げられることとなる。賭け金が無ければ、女房や娘を質に出しても良いという、めったに冗談を言わぬ弓神:ダルシゥム=カーメンがそれを言ってしまったために、会場はシーーーンと水を打ったかのように静まり返ってしまったのだ。
「ほら、言わんこっちゃないッス。そういうシャレにならない冗談を言うのは俺っちに任せておいたほうが懸命だと忠告しておいたッスよ?」
「ぐぬぬ……! おいどん、納得いかないでごわす! リテイクを所望するでごわすっ!」
静まり返ってしまった円形闘技場の観衆たちであったが、剣聖と弓神が漫才を始めたので、あれは弓神なりの冗談なんだと理解し始める。そして、両名の漫才を見ている内にざわついていた心が元に戻ったのか、観衆たちの顔から笑顔が戻ってくることとなる。
(ほうほう。女房や娘を質に入れて良いとは、これはまた面白いですね。ロックくんがいつも以上の実力を発揮するためにも、リリーを賭け金代わりに積みましょうか?)
コープ=フルールがそんなやましい考えを抱いていると、隣の席に座る彼の執事がごほんっ! とわざとらしい大きな咳をつく。そんなゴーマ=タールタルに対して、コープ=フルールは大袈裟に両腕を左右に広げるのであった。
「まったく……。すぐに思っていることがヒトに知られるのはダメですぞ」
「私の考えをすぐに察することが出来る数少ないヒトと言えば、うちではゴーマくんくらいでしょ」
「あとはフルール商会筆頭のピルカ=フルールですじゃ。あのお方には、それがし以上に注意しておくことじゃ」
コープ=フルールは聞きたくもない名前を出されて、さも面白くないという表情に変わってしまう。そんな彼に対して、ゴーマ=タールタルはクックックッと意地悪くほくそ笑んでしまう。コープ=フルールには異母姉が数人存在する。そのひとりであるピルカ=フルールが現在のフルール商会の筆頭であった。彼がこの世で唯一、口で勝てないと思っている相手が彼女なのである。それは血のつながった姉と弟の間柄なだけはあり、コープ=フルールの考えをことごとく見抜く才を持っているからだと言っても過言ではなかった。そんな目の上のたんこぶである異母姉の名前を出されては、面白くもなんともないコープ=フルールだったのだ。
「まあ、そんなことは今は忘れましょう。幸いなことに姉とは離れた席なのですから」
「そうですじゃな。もし、近くに居られては、せっかくの金の卵を産むニワトリを強引に奪われかねないのですじゃ」
コープ=フルールとゴーマ=タールタルはやれやれとばかりに両腕を左右に広げてみせる。その後、彼らは金の卵を産むニワトリが今、どんな様子なのかと視線を彼に向ける。ちょうど会場はトーナメントの順番を決めるくじ引きに移行していた。そして、都合の良いことにロック=イートがくじを引く番であった。ロック=イートは上方に丸い穴の開いた立方体の箱の中に右手を突っ込む。そして、何かを探るようにごそごそと立方体の箱の中で右手を動かす。そして、意を決してその中の物を引っ張り出したのであった。
「ロック=イート選手が引き当てたのは『A-1』! 第1回戦、第1試合となりますっ!!」
司会進行役の半猫半人の女性がロック=イートに対して、手に持っている英数字が書かれた手のひらサイズのボールを高々と掲げるように促す。ロック=イートはとまどいながら、そのボールを右手に持ち、観衆に見えるように振りかざす。観衆たちが彼に最も注視したのは、ボール自体よりもそのボールを持つ黒々とした義腕であった。戦士たちのほとんどが何かしらの金属製の鎧に身を包んでいるというのに、ロック=イートはやや厚手の布地の服に身を包み込んでいる。それだけでも注目の的となるのだが、それよりも彼の右の義腕のほうがよっぽど観衆の眼を引いたのであった。
「では、栄えある『A-1』を引き当てたロック=イート選手には開会式の最後に意気込みを語ってもらおうと思いますっ!」
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