拳聖の一番弟子がぶっ放すロケットパンチ ~氷の悪役令嬢の心を一撃で砕いてチョロイン化~

ももちく

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第7章:上覧武闘会・開催

第4話:ブーイング

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 コープ=フルールはロック=イートが引き当てたくじに対して、ふううう……とため息をつくしか他無かった。彼の名を世の中に大体的に売り出すには注目を集める上覧武闘会の第1試合か第1回戦ラストのどちらかであることはかなり重要であった。だが、それを引き当てたことよりも最初から神槍:ブリトニー=ノーガゥと当たってくれていたほうが良かったのではと思ってしまう。会場の中央に並ぶ戦士たちの顔ぶれを見て、コープ=フルールは心変わりしてしまったのだ。

 もちろん最上なのは第1回戦ラストの試合で、相手が神槍:ブリトニー=ノーガゥであることだ。しかしながら、くじは自分でどうにか出来るモノではない。神の差配がおおいに影響していると言われている神事なのだ、くじと言うモノは。

(神のお導きなのでしょうね、本戦の第1試合を引き当てれるってのは。これ以上を望んでどうしようというのでしょう、私は。これで十分ではありませんか……)

 コープ=フルールとしてはロック=イートには神槍:ブリトニー=ノーガゥと戦ってほしいという欲はある。彼に勝てないとしても、善戦してくれればそれで良い。ブリトニー=ノーガゥはトーナメントのBの山に位置してはいるため、ロック=イートが順調に勝ち進んでも準決勝まで彼と対峙できない差配となっていたのだ。そこまでロック=イートが勝ち進めるかはわからない。それは一介の商人にしか過ぎないコープ=フルールでも名を知っている者が大勢参加しているのである。その強者たちを打ち破って、ロック=イートがAの山を勝ち進み、準決勝まで昇り詰めれるかどうかは怪しいのである。

 そして、トーナメントの位置を決めるためのくじ引きがつつがなく進んでいき、ついに全員がくじを引き終わることとなる。ロック=イートが第1回戦の第1試合で当たる相手は長身銃使いのタライ=マークスであった。この者についてはこの円形闘技場コロッセウムに集まる者ならば、知らぬ者が居ないほどの有名人である。

 魔物モンスターに対してより有効な飛び道具として、ここ数年内に軍部が開発した武器が『銃』なのだ。その銃を使う傭兵部隊が編成されたのだが、その部隊長として任命された男がタライ=マークスなのである。彼は新設部隊の隊長に任命されるほどの実力の持ち主である。そんな将来を約束されている男が何故にこの上覧武闘会にわざわざ予選を通して出場したのかがわからない。もしも、神槍:ブリトニー=ノーガゥが本戦に出場しなければ、この上覧武闘会の目玉選手はきっと彼だったことは間違いなかったであろう。

 コープ=フルールとしては美味しい相手ではあるのだが、徒手空拳で長身銃使いのタライ=マークスを相手にしなければならないロック=イートとしては相性最悪であることは誰の眼にも明らかであった。だが、そんなことはお構いなしとばかりの発言をロック=イートがしでかすこととなる。

「ああ……、ええっと……。俺は出来るなら、この大会で優勝したいと思っています……」

 開会式も終わりに近づき、半猫半人ハーフ・ダ・ニャンの司会進行役が音声拡張器マイクを『A-1』を引き当てたロック=イートに傾けて、本大会における意気込みを聞き、それにこう答えたのがロック=イートであった。観衆たちは思わずブフッ! と噴き出してしまうこととなる。この後、おこなわれる第1試合の相手が誰なのかを知らないのかと嘲笑しだしたのである。だが、ロック=イートはそんな嘲笑いを四方八方から飛ばされようが、毅然とした態度でさらに次のように発言する。

「俺の夢は『世界最強の生物』になることだ。それが貴方たちには愚か者の発言に聞こえるかもしれない……。だけど、俺は自分の夢を自分自身の手で手折るつもりはないっ!」

 ロック=イートが声高らかにそう宣言すると同時に、一瞬だけ観衆は静まり返る。だが、それはほんの一瞬だけであった。次には誰からともなく野次が飛んできて、その野次に乗っかり観衆たちが口汚くロック=イートを罵る。コープ=フルールは額に右手を当てて、あちゃあ……と天を仰ぎ見るしかなかったのであった。これで観衆たちのほとんどがロック=イートの敵に回ったといっても過言ではなかった。何故に自分の子飼いのロック=イートは苦難の道をわざわざ自分が選んでいくのかがわからないコープ=フルールであった。味方に出来るモノならば、利用できるだけ利用するのが賢い選択のはずなのにだ。

「いやはや、ロックには困ったものじゃな。あれで本当に23歳の青年とは思えませんのじゃ」

「ゴーマくん。そう言いながら、顔がほころんでいますよ? してやったりといった顔はやめてくれませんかね? あーあ。これじゃあ、ロックくんの名が売る方法を考えなおさなきゃならないじゃないですか……」

 コープ=フルールとしては、もっと穏便なことを言ってほしいと思っていた。頑張りますとか、タライ=マークス相手に出来る限り善戦できるようにとかだ。それほどまでに、ロック=イートの相手は民衆にも名が知れ渡っている人物なのだ。それなのに、彼を飛び越して、優勝宣言をしたり、さらには『世界最強の生物』になると豪語したりするのは愚か者以外の何者でもない。コープ=フルールが計画していたロック=イートの名を売るということは、すなわち、そのまま悪名へと様変わりしてしまう可能性のほうが高くなってしまったのである。

 だが怨嗟渦巻くこの会場内にて、とある人物だけはガハハッ! とおおいに笑い出したのだ。観衆たちは彼が大笑いをしだしたので、もっとロック=イートに対して罵声を浴びせていいものだと勘違いしてしまう。しかし、彼は観衆たちとは真逆のことで笑っていたのである。

「あの小僧、面白い也。あやつを開拓軍の代表にしてやっても良いのではないか?」

「ええっと……。一応、神槍:ブリトニー=ノーガゥ殿を打ち破ってという約束ッス……。いくらアンゴルモアっちでも、それで納得する民衆たちではないッス……」

 剣聖:プッチィ=ブッディとしては、珍しく慌ててしまう事態と化してしまう。何といっても、彼を採用しても良いと言い出したのが主アンゴルモア大王自身なのだ。彼の言葉は人類にとっての至言である。そうだからこそ、彼に意見をするのはなかなかに骨が折れるのだ。それゆえに民衆が納得しないという言い回しをおこなったのだ、プッチィ=ブッディは。アンゴルモア大王はふうむ……と言いながら、白くて長い顎鬚を右手でいじりだす。そして次に口に出した言葉に彼の左隣に座る弓神:ダルシゥム=カーメンも眼を白黒とさせる。

「あやつがもし優勝したら、エキシビジョンマッチでも開いてやろうか? もちろん、『世界最強の生物』とやらの夢のために、われ自身が相手をしてやってもよいがな!?」
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