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第8章:目覚めの兆し
第6話:2試合目開始
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「斥候部隊というのは機敏な動きはもちろんのこと、臨機応変に物事に当たれるかどうかが肝要なのじゃ。だが、あやつの体型を見るに、馬の足が潰れてしまうじゃろうて……」
ヨーコ=タマモがホレとばかりに短足胴長のコッチロー=ネヅを指差す。そして彼女は特に彼の胴回りを見よと言っている。コッチロー=ネヅは半鼠半人でありながら、体重100キロを超えると思わせるほどの腹への肉付き具合となっており、リリー=フルールはなるほど……と納得する他無かった。しかしながら、セイ=レ・カンコーはまったくもって違う感想を抱いていた。
「タマモさん、体型はさておいて、それはちょっと違うと思いますぜ? 不摂生ゆえにあのような体型になってしまって、斥候部隊を追い出されたようには思えないんですがなあ?」
「ほう? セイは違うともうすか。そう思うのはどうしてなのじゃ?」
ヨーコ=タマモが興味深そうな表情で隣に立つセイ=レ・カンコーにそう問いかける。ヨーコ=タマモとしては自分の説があながち間違っていないと思っている。だが、セイ=レ・カンコーはもっと何かしらの理由があって、斥候部隊に居られなくなったと主張したからだ。セイ=レ・カンコーは当てずっぽうですが……と前置きをし
「元々、斥候部隊に配属されたのが気に喰わなかったというのが、あっしの予想ですなあ。彼の武器は全長2メートルほどもある戦槌ですぜ。あれだけの長大な武器を振り回せば、どのような軍馬も足が潰れてしまって当然だと思うんですよ」
「なるほどなのじゃ……。確かに斥候部隊には似つかぬ武器を手にしているのじゃ。むむむ……。それなら余計にわからなくなってきたのじゃ。アンゴルモア大王軍は何ゆえに奴を斥候部隊に配属させたのじゃ?」
ヨーコ=タマモとセイ=レ・カンコーが問答を繰り返したが、結局のところ、答えは出なかった。もやもやする心が晴れぬままにロック=イートとコッチロー=ネヅとの対戦が開始されてしまうこととなる。弓神:ダルシゥム=カーメンが右腕を振り上げ、試合開始の合図を鳴らせと指示を飛ばす。銅鑼が鳴らされ、試合場である石畳の上に居る両者が同時に動き出した。
「こちらから行くでッチュウ! メガトン・ハンマーッチュウ!!」
コッチロー=ネヅが試合場である石畳を叩き割らんとするほどの勢いを持ってして、戦槌を力強く叩きつける。それは地響きとなり、上覧武闘会全体が揺れているのでは錯覚させるほどの力強い一撃であった。ロック=イートはその第1撃目を紙一重でかわし、コッチロー=ネヅのフトコロに飛び込もうとしたのだが、肝心の地面が揺れてしまったために、それを成すことは出来なかったのである。
上から振り下ろされてくる戦槌をかわすことはかわしたが、続く地響きに足を取られて、ロック=イートの体幹は無理やりに崩されてしまう。ロック=イートはチッ……と軽く舌打ちしたのは当然であった。こうも地面を揺らされてはロック=イートは思うように闘えない。しっかりと足を地面に踏みつけて、そこから産み出される力で相手をぶん殴るロック=イートの戦法が根底から崩されることとなる。
コッチロー=ネヅとしても、それを狙ってやっているわけではない。自分の最も得意とする戦槌の打ち付けをただ単に行っただけである。そんな副産物があることなど、彼は知る由もなかったのだ。しかしながら、コッチロー=ネヅはロック=イートが攻めあぐねいていると感じて、続けて、2撃、3撃とスタンプ攻撃を繰り返す。
ロック=イートはたまらず距離を開けざるをえなくなる。自分の動きの起点となる地面を揺らされることを嫌ったロック=イートは少しでも距離を取って、その影響を少なくしようとしたのだ。だが、相手が下がったと見るや否や、コッチロー=ネヅはチュッチュッチュ! とほくそ笑み、余計に彼の攻める心を刺激する結果となった。
「初戦の勢いはどこに行ったのでッチュウ? そちらがこないならば、こちらから近づいてやるでッチュウ! グルングルン・ハンマーでッチュウ!!」
コッチロー=ネヅはそう叫ぶや否や、戦槌を右から左へ大きく振り回し、横薙ぎにロック=イートに叩きつけようとする。ロック=イートはバックステップを行い、それを回避する。しかし、コッチロー=ネヅの攻撃はその1回で止まらなかった。なんと、駒のように回り出し、逆時計周りに合計5回、戦槌を振り回し続けたのである。
(こりゃ、たまらねえっ! まともに受けようものなら、場外までふっとばされちまう!)
ロック=イートはさらに右斜め後ろへとバックステップを繰り出し、コッチロー=ネヅから大きく距離を取る。だが、回転しながら真っ直ぐ進んでいくと思われたコッチロー=ネヅが両足を巧みに動かし、ゆっくりとだが起動修正を行うのだ。ロック=イートは追尾してくる巨大な駒に驚くしか無かった。横方向に回避してしまえば、あとはアレが止まるのを待つのみだと思っていたからだ。
だが、ロック=イートの予想をはるかに裏切る軌跡を描き、コッチロー=ネヅはゆっくりとロック=イートを試合場のコーナーへと追い詰めていく。ロック=イートは半鼠半人相手に袋のネズミにされてしまったのであった。
「んあ? よくも我輩の攻撃を全部避けてくれたでッチュウ……。おかげで眼が回りそうになってしまったでッチュウ……」
「そのまま、ひっくり返ってダウンしていてくれて良かったんだぜ? そしたら、俺が馬乗りになって、散々にぶん殴ってやれたのにな?」
コッチロー=ネヅはくらくらする頭に左手を添えながら、ぶるんぶるんと頭を左右に振る。どうやら、グルングルン・ハンマーはコッチロー=ネヅ自身もダメージを負うようであり、彼が今、どれほどに有利な位置にいるのかをすぐに理解させないでいたようだ。そのため、ロック=イートはコーナーに追い詰められたはしたものの、ここから一気に挽回するための策を取ることとなる。
「ロケット推力……パーーーンチッ!」
ロック=イートはコーナーから脱出するために、ロケットパンチの勢いを利用したのである。左足で地面を蹴り、右足をドンッ! と力強く踏み出す。ロック=イートの狙いはコッチロー=ネヅの右わき腹であった。その部分をカスルように殴ると同時にコーナーからの離脱しようとしたのだ。しかしながら、ロック=イートが右腕を伸ばそうとした瞬間、彼の右腕には今まで感じたことのない激痛が走ることとなる……。
ヨーコ=タマモがホレとばかりに短足胴長のコッチロー=ネヅを指差す。そして彼女は特に彼の胴回りを見よと言っている。コッチロー=ネヅは半鼠半人でありながら、体重100キロを超えると思わせるほどの腹への肉付き具合となっており、リリー=フルールはなるほど……と納得する他無かった。しかしながら、セイ=レ・カンコーはまったくもって違う感想を抱いていた。
「タマモさん、体型はさておいて、それはちょっと違うと思いますぜ? 不摂生ゆえにあのような体型になってしまって、斥候部隊を追い出されたようには思えないんですがなあ?」
「ほう? セイは違うともうすか。そう思うのはどうしてなのじゃ?」
ヨーコ=タマモが興味深そうな表情で隣に立つセイ=レ・カンコーにそう問いかける。ヨーコ=タマモとしては自分の説があながち間違っていないと思っている。だが、セイ=レ・カンコーはもっと何かしらの理由があって、斥候部隊に居られなくなったと主張したからだ。セイ=レ・カンコーは当てずっぽうですが……と前置きをし
「元々、斥候部隊に配属されたのが気に喰わなかったというのが、あっしの予想ですなあ。彼の武器は全長2メートルほどもある戦槌ですぜ。あれだけの長大な武器を振り回せば、どのような軍馬も足が潰れてしまって当然だと思うんですよ」
「なるほどなのじゃ……。確かに斥候部隊には似つかぬ武器を手にしているのじゃ。むむむ……。それなら余計にわからなくなってきたのじゃ。アンゴルモア大王軍は何ゆえに奴を斥候部隊に配属させたのじゃ?」
ヨーコ=タマモとセイ=レ・カンコーが問答を繰り返したが、結局のところ、答えは出なかった。もやもやする心が晴れぬままにロック=イートとコッチロー=ネヅとの対戦が開始されてしまうこととなる。弓神:ダルシゥム=カーメンが右腕を振り上げ、試合開始の合図を鳴らせと指示を飛ばす。銅鑼が鳴らされ、試合場である石畳の上に居る両者が同時に動き出した。
「こちらから行くでッチュウ! メガトン・ハンマーッチュウ!!」
コッチロー=ネヅが試合場である石畳を叩き割らんとするほどの勢いを持ってして、戦槌を力強く叩きつける。それは地響きとなり、上覧武闘会全体が揺れているのでは錯覚させるほどの力強い一撃であった。ロック=イートはその第1撃目を紙一重でかわし、コッチロー=ネヅのフトコロに飛び込もうとしたのだが、肝心の地面が揺れてしまったために、それを成すことは出来なかったのである。
上から振り下ろされてくる戦槌をかわすことはかわしたが、続く地響きに足を取られて、ロック=イートの体幹は無理やりに崩されてしまう。ロック=イートはチッ……と軽く舌打ちしたのは当然であった。こうも地面を揺らされてはロック=イートは思うように闘えない。しっかりと足を地面に踏みつけて、そこから産み出される力で相手をぶん殴るロック=イートの戦法が根底から崩されることとなる。
コッチロー=ネヅとしても、それを狙ってやっているわけではない。自分の最も得意とする戦槌の打ち付けをただ単に行っただけである。そんな副産物があることなど、彼は知る由もなかったのだ。しかしながら、コッチロー=ネヅはロック=イートが攻めあぐねいていると感じて、続けて、2撃、3撃とスタンプ攻撃を繰り返す。
ロック=イートはたまらず距離を開けざるをえなくなる。自分の動きの起点となる地面を揺らされることを嫌ったロック=イートは少しでも距離を取って、その影響を少なくしようとしたのだ。だが、相手が下がったと見るや否や、コッチロー=ネヅはチュッチュッチュ! とほくそ笑み、余計に彼の攻める心を刺激する結果となった。
「初戦の勢いはどこに行ったのでッチュウ? そちらがこないならば、こちらから近づいてやるでッチュウ! グルングルン・ハンマーでッチュウ!!」
コッチロー=ネヅはそう叫ぶや否や、戦槌を右から左へ大きく振り回し、横薙ぎにロック=イートに叩きつけようとする。ロック=イートはバックステップを行い、それを回避する。しかし、コッチロー=ネヅの攻撃はその1回で止まらなかった。なんと、駒のように回り出し、逆時計周りに合計5回、戦槌を振り回し続けたのである。
(こりゃ、たまらねえっ! まともに受けようものなら、場外までふっとばされちまう!)
ロック=イートはさらに右斜め後ろへとバックステップを繰り出し、コッチロー=ネヅから大きく距離を取る。だが、回転しながら真っ直ぐ進んでいくと思われたコッチロー=ネヅが両足を巧みに動かし、ゆっくりとだが起動修正を行うのだ。ロック=イートは追尾してくる巨大な駒に驚くしか無かった。横方向に回避してしまえば、あとはアレが止まるのを待つのみだと思っていたからだ。
だが、ロック=イートの予想をはるかに裏切る軌跡を描き、コッチロー=ネヅはゆっくりとロック=イートを試合場のコーナーへと追い詰めていく。ロック=イートは半鼠半人相手に袋のネズミにされてしまったのであった。
「んあ? よくも我輩の攻撃を全部避けてくれたでッチュウ……。おかげで眼が回りそうになってしまったでッチュウ……」
「そのまま、ひっくり返ってダウンしていてくれて良かったんだぜ? そしたら、俺が馬乗りになって、散々にぶん殴ってやれたのにな?」
コッチロー=ネヅはくらくらする頭に左手を添えながら、ぶるんぶるんと頭を左右に振る。どうやら、グルングルン・ハンマーはコッチロー=ネヅ自身もダメージを負うようであり、彼が今、どれほどに有利な位置にいるのかをすぐに理解させないでいたようだ。そのため、ロック=イートはコーナーに追い詰められたはしたものの、ここから一気に挽回するための策を取ることとなる。
「ロケット推力……パーーーンチッ!」
ロック=イートはコーナーから脱出するために、ロケットパンチの勢いを利用したのである。左足で地面を蹴り、右足をドンッ! と力強く踏み出す。ロック=イートの狙いはコッチロー=ネヅの右わき腹であった。その部分をカスルように殴ると同時にコーナーからの離脱しようとしたのだ。しかしながら、ロック=イートが右腕を伸ばそうとした瞬間、彼の右腕には今まで感じたことのない激痛が走ることとなる……。
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