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第11章:慟哭
第2話:ヨーコ=タマモの秘技
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ロック=イートは緋緋色金製の手甲と聞き、さらに怪訝な表情へと移り変わってしまう。ロック=イートの脳裏には嫌な予感がよぎる。その手甲の本来の持ち主はロック=イートがよく知っている人物の所有物であったからだ。もし、それをサラ姐が所持し、さらに試合に用いているなら、自分はどうすべきなのかと悩み込んでしまう。
ロック=イートが黙り込んでしまったために、ヨン=ジューロはあれ、あれれ!? と慌てふためくこととなる。自分が何か言ってはいけないことでも発言してしまったのかとヨン=ジューロまでもが悩んでしまうこととなる。にぎやかし役のヨン=ジューロまでもが口を閉ざしてしまったために、ロック=イートたちが居る控室には沈黙が訪れてしまう。こういった場合はセイ=レ・カンコーが口を開き、重い空気を吹き飛ばす役目となっているのだが、その彼も神妙な顔つきになっていたのである。
セイ=レ・カンコーがそのような状態になっているのも理由があった。それはロック=イートと同様に、彼もまたその緋緋色金製の手甲に思い当たる節があったからだ。しかし、予想で言っていいことではないだろうということでセイ=レ・カンコーは自分の口から言葉を出さぬように注意していたのである。
ならばこの控室の住人のひとりであるヨーコ=タマモはどうしているかと言えば、彼女は昼食を終えた後、とある作業に移っていた。彼女はひたいから汗を流しつつ、テーブルの上にあるすり鉢とすりこぎを用いて、ゴリゴリと何かを細かく挽いていたのであった。彼女はそれに注力していたため、ヨン=ジューロとロック=イートのやりとりのほとんどを聞き流していた。そして、ふぅ……と彼女が一息つき、よーーーしっ! と満足気な声をあげる。
「ロックよ。待たせたのじゃ。赤マムシを乾燥させたモノと、ヤモリの黒焼き、そしてカエルの心臓。隠し味にわらわの陰毛を混ぜあわせ、すり潰してみたのじゃ。これを飲めば、傷の痛みは吹き飛ぶじゃろうて……」
ヨン=ジューロとセイ=レ・カンコーがヨーコ=タマモの言いに対して、明らかに頬をひくひくと引きつかせることとなる。だが、ぶつぶつと独り言をつぶやくロック=イートの耳には彼女の言が届いておらず、ヨーコ=タマモがすり鉢から透明なガラスのコップにグツグツと煮える紫色の液体を入れ替えて、その不気味なモノが入ったコップを受け渡されたというのに、その異様さに気づいていないのであった。
そして、ヨーコ=タマモにほれ一気飲みするのじゃぞ? と促されて、ロック=イートは口に謎の液体を流し込む。次の瞬間、ロック=イートは口から噴水のように謎の液体を噴き出すこととなる。彼の顔近くに自分の顔を近づけていたヨーコ=タマモはロック=イートの口から飛び出た謎の液体をその顔面に盛大に受ける結果となる。
「ゲホッゲホッ! おええええ!!」
ロック=イートは喉の奥に焼けるような痛みを感じ、その紫色をした液体を飲み込めずに吐き出してしまったのである。そして、顔面の8割を紫色に染められたヨーコ=タマモは怒りの表情を浮かべ、ロック=イートからコップを奪い取る。そして、そのコップの中にある液体を自分の口の中に流し込む。それを丹念に舌で転がし、唾液をたっぷりと含ませる。
彼女がそうしたかと思えば、次にはロック=イートの頬を自分の両手でしっかりと押さえて、自分の唇をロック=イートの唇に押し当てて、謎の液体に唾液をプラスしたモノを流し込もうとする。もちろんロック=イートが抵抗をするのは当然であった。なかなかに唇を開こうとしないので、ヨーコ=タマモは左手でロック=イートの鼻をつまんでしまうのである。
こうなれば、ロック=イートは呼吸をすることは出来なくなってしまい、ついには唇を大きく開かざるをえなくなる。その上下に大きく開いた唇の奥にヨーコ=タマモは謎の液体を流し込む。そしてさらにロック=イートをベッドの上に押し倒し、無理やりにロック=イートに自分が調合した薬液? を流し込むことに成功するのであった。
「ぷはぁ! これぞヨーコ=タマモ秘技:スペル魔返しなのじゃ。殿方に無理やりに飲まされかけた時はこうやって相手の口に不味いスペル魔を流し込ませてやるのが最上なのじゃっ!」
ヨーコ=タマモは顔面の8割を紫色に染め上げながらも、満足そうにうんうんと頷く。ロック=イートは無理やりに酸っぱくて生臭い液体を胃の中に送り込まれて、涙目になってしまっている。だが、そんな彼であるがヨーコ=タマモに文句を言うことはなかった。彼女がこしらえた薬液の効果がすぐに発揮されたからである。ロック=イートは癒えきらぬ傷により身体は発熱していたのだが、薬液が胃の中に到達するなり、それがスッと消えていく。正確にはロック=イートは彼女に文句を言う感情よりも、その薬液の効果の高さに驚いていたといったほうが良いだろう。
「あ、ありがとう? 痛みがどこかにすっとんでいったよ……」
「疑問形なのが引っかかるがそこはツッコミはやめておくのじゃ。しかしながら、あくまでも痛み止めと熱さまし用の薬液ゆえに過信は禁物なのじゃぞ?」
ヨーコ=タマモの言わんとしていることを理解したロック=イートがこくりとゆっくり顔を上から下へと振る。これで決勝戦で多少マシには動けるようにはなったが、それはあくまでも応急処置であるということだ。傷が癒えたことではないと改めて告げられただけなのである。しかし、それでもロック=イートは満足であった。自分の状態は万全時の5割程度にしか身体を動かせないであろうが、痛みに足を引っ張られることは激減しただけでもありがたい話であった。ロック=イートは改めて、ヨーコ=タマモにありがとうと告げる。
感謝の念を告げられたヨーコ=タマモは頬を紅く染めてしまう。それをごまかすようにふんっ! と鼻を鳴らし、顔を横に向けてしまうのであった。彼女は彼女なりに自分が出来ることをしたまでである。もちろん、彼女はロック=イートに決勝を辞退してほしいという気持ちは持っている。だが、それを言ったところで眼の前の男が素直に聞くはずがないのは百も承知なのだ。
「ロックよ……。神槍:ブリトニー=ノーガゥを倒した以上は、この上覧武闘会で優勝しなければならない責務を負っていることはわかっているはずじゃな?」
「ああ……。俺が無様な姿を晒せば、ブリトニー様の顔に泥を塗ることになるからな……。サラ姐に今の状態で勝てるかどうかは疑わしいけど、俺は俺の出来る限りを尽くすよ……」
ロック=イートが黙り込んでしまったために、ヨン=ジューロはあれ、あれれ!? と慌てふためくこととなる。自分が何か言ってはいけないことでも発言してしまったのかとヨン=ジューロまでもが悩んでしまうこととなる。にぎやかし役のヨン=ジューロまでもが口を閉ざしてしまったために、ロック=イートたちが居る控室には沈黙が訪れてしまう。こういった場合はセイ=レ・カンコーが口を開き、重い空気を吹き飛ばす役目となっているのだが、その彼も神妙な顔つきになっていたのである。
セイ=レ・カンコーがそのような状態になっているのも理由があった。それはロック=イートと同様に、彼もまたその緋緋色金製の手甲に思い当たる節があったからだ。しかし、予想で言っていいことではないだろうということでセイ=レ・カンコーは自分の口から言葉を出さぬように注意していたのである。
ならばこの控室の住人のひとりであるヨーコ=タマモはどうしているかと言えば、彼女は昼食を終えた後、とある作業に移っていた。彼女はひたいから汗を流しつつ、テーブルの上にあるすり鉢とすりこぎを用いて、ゴリゴリと何かを細かく挽いていたのであった。彼女はそれに注力していたため、ヨン=ジューロとロック=イートのやりとりのほとんどを聞き流していた。そして、ふぅ……と彼女が一息つき、よーーーしっ! と満足気な声をあげる。
「ロックよ。待たせたのじゃ。赤マムシを乾燥させたモノと、ヤモリの黒焼き、そしてカエルの心臓。隠し味にわらわの陰毛を混ぜあわせ、すり潰してみたのじゃ。これを飲めば、傷の痛みは吹き飛ぶじゃろうて……」
ヨン=ジューロとセイ=レ・カンコーがヨーコ=タマモの言いに対して、明らかに頬をひくひくと引きつかせることとなる。だが、ぶつぶつと独り言をつぶやくロック=イートの耳には彼女の言が届いておらず、ヨーコ=タマモがすり鉢から透明なガラスのコップにグツグツと煮える紫色の液体を入れ替えて、その不気味なモノが入ったコップを受け渡されたというのに、その異様さに気づいていないのであった。
そして、ヨーコ=タマモにほれ一気飲みするのじゃぞ? と促されて、ロック=イートは口に謎の液体を流し込む。次の瞬間、ロック=イートは口から噴水のように謎の液体を噴き出すこととなる。彼の顔近くに自分の顔を近づけていたヨーコ=タマモはロック=イートの口から飛び出た謎の液体をその顔面に盛大に受ける結果となる。
「ゲホッゲホッ! おええええ!!」
ロック=イートは喉の奥に焼けるような痛みを感じ、その紫色をした液体を飲み込めずに吐き出してしまったのである。そして、顔面の8割を紫色に染められたヨーコ=タマモは怒りの表情を浮かべ、ロック=イートからコップを奪い取る。そして、そのコップの中にある液体を自分の口の中に流し込む。それを丹念に舌で転がし、唾液をたっぷりと含ませる。
彼女がそうしたかと思えば、次にはロック=イートの頬を自分の両手でしっかりと押さえて、自分の唇をロック=イートの唇に押し当てて、謎の液体に唾液をプラスしたモノを流し込もうとする。もちろんロック=イートが抵抗をするのは当然であった。なかなかに唇を開こうとしないので、ヨーコ=タマモは左手でロック=イートの鼻をつまんでしまうのである。
こうなれば、ロック=イートは呼吸をすることは出来なくなってしまい、ついには唇を大きく開かざるをえなくなる。その上下に大きく開いた唇の奥にヨーコ=タマモは謎の液体を流し込む。そしてさらにロック=イートをベッドの上に押し倒し、無理やりにロック=イートに自分が調合した薬液? を流し込むことに成功するのであった。
「ぷはぁ! これぞヨーコ=タマモ秘技:スペル魔返しなのじゃ。殿方に無理やりに飲まされかけた時はこうやって相手の口に不味いスペル魔を流し込ませてやるのが最上なのじゃっ!」
ヨーコ=タマモは顔面の8割を紫色に染め上げながらも、満足そうにうんうんと頷く。ロック=イートは無理やりに酸っぱくて生臭い液体を胃の中に送り込まれて、涙目になってしまっている。だが、そんな彼であるがヨーコ=タマモに文句を言うことはなかった。彼女がこしらえた薬液の効果がすぐに発揮されたからである。ロック=イートは癒えきらぬ傷により身体は発熱していたのだが、薬液が胃の中に到達するなり、それがスッと消えていく。正確にはロック=イートは彼女に文句を言う感情よりも、その薬液の効果の高さに驚いていたといったほうが良いだろう。
「あ、ありがとう? 痛みがどこかにすっとんでいったよ……」
「疑問形なのが引っかかるがそこはツッコミはやめておくのじゃ。しかしながら、あくまでも痛み止めと熱さまし用の薬液ゆえに過信は禁物なのじゃぞ?」
ヨーコ=タマモの言わんとしていることを理解したロック=イートがこくりとゆっくり顔を上から下へと振る。これで決勝戦で多少マシには動けるようにはなったが、それはあくまでも応急処置であるということだ。傷が癒えたことではないと改めて告げられただけなのである。しかし、それでもロック=イートは満足であった。自分の状態は万全時の5割程度にしか身体を動かせないであろうが、痛みに足を引っ張られることは激減しただけでもありがたい話であった。ロック=イートは改めて、ヨーコ=タマモにありがとうと告げる。
感謝の念を告げられたヨーコ=タマモは頬を紅く染めてしまう。それをごまかすようにふんっ! と鼻を鳴らし、顔を横に向けてしまうのであった。彼女は彼女なりに自分が出来ることをしたまでである。もちろん、彼女はロック=イートに決勝を辞退してほしいという気持ちは持っている。だが、それを言ったところで眼の前の男が素直に聞くはずがないのは百も承知なのだ。
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