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第12章:ロケット・パンチ
第2話:裏と裏の顔
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ロック=イートが折りたたんだ右腕を内側にねじりながら真っ直ぐに右の拳を突き出すが、黒毛の半兎半人はひょいっと横に避けてしまう。そして避けると同時にロック=イートの脇腹に右足で軽く蹴りを叩きこむ。ロック=イートはクッ! と唸り、痛む脇腹を両手で抑え、その場で膝をつく恰好へと移ってしまう。
ロック=イートはハアハアと荒い呼吸をしだす。彼は決勝戦で受けたサラ=ローランの攻撃からまったくもって回復していなかったのである。裂かれた脇腹から血が流れているというのに、そこに蹴りを入れられたことで痛みがぶり返す。ロック=イートは首だけ半兎半人の方に向けつつ毒を吐く。半兎半人はますます眉間にシワを寄せて
「ミーナちゃんの名前は『てめえ』じゃないんだピョン。ミーナ=バーナンという花も恥じらう可憐な名前があるんだピョン。以後、気を付けてほしいピョン」
黒毛の半兎半人の女性は自分の名を告げるや否や、ロック=イートの脇腹へもう一度、蹴りを入れる。失礼な相手にはこの扱いが調度良いとばかりの仕草である。ロック=イートはまたもや裂かれた脇腹に攻撃を喰らい、その場で転がり悶絶してしまいたくなるほどの痛みを感じてしまう。
「くそがっ! てめえなんか、俺が万全の状態だったら、瞬殺してやるっていうのにっ!」
「おやおや? それはどうかと思うピョン。ミーナちゃんはサラ=ローランのような雑魚とは違うんだピョン。いくらロックと言えども、ミーナちゃんに勝てるとは思えないピョン!」
ロック=イートとミーナ=バーナンは互いを口汚く罵り合う。その様はまるで子供の喧嘩のようにも見える。観客たちは何故に二人が言い争っているのかがわからない。とまどう観客たちの視線は自ずと特別観覧席にある玉座に座るアンゴルモア大王の方へと集中するのであった。観客たちからの視線が集中するのを感じたアンゴルモア大王は顎にたくわえられた白くて長い髭を右手でさすりだす。
(ふんっ。ミーナめ。要らぬ仕事を我に押し付ける形となった也。さて、民衆たちが喜ぶ展開にはどうやってもっていったもの也か……)
十数秒ほど考え込んでいたアンゴルモア大王が玉座からのっそりと立ち上がり、口を開いて次のように宣言をする。
「これよりエキシビジョンマッチを行う。優勝者であるロック=イートが同門であるミーナ=バーナンとどう戦うのかをじっくりと見てやるが良い……」
アンゴルモア大王の言葉は観客たちにさらなる混乱を呼ぶモノであった。同門ということは、あの二人は拳聖:キョーコ=モトカードに師事を仰いだ仲であることになる。それなのに、見た目、彼らはそんな風には見えない。半兎半人の女性は半狼半人の男を毛嫌いしているように見えるし、半狼半人側は半兎半人に憎悪を抱いてるようにしか見えないのである。
困惑したのはロック=イートも同じであった。眼の前に居るミーナ=バーナンが自分と同じタイガー・ホール出身者とは思えない。第一、彼女をあのタイガー・ホールで見たことが無いからだ。そして、ミーナ=バーナンと兄弟子:コタロー=サルガミとのやりとりで、彼女が『裏』という得体のしれない組織に属していることもなんとなく察している。『裏』が何を指しているのか? その答えを求めて、ロック=イートは記憶の糸を手繰る旅に出る。
(『裏』……。もしかして、お師匠様があの晩に俺に言おうとしていたお師匠様の『裏の顔』の話に繋がる……のか?)
ロック=イートは5年前、自分の師匠である拳聖:キョーコ=モトカードに自分の後継者として指名を受けた数日後、彼女の庵にひとり呼び出されていた。ロック=イートが彼女の庵に出向いた時には既に拳聖:キョーコ=モトカードは酒に飲まれており、泥酔しきっていた。そんな状態で何かをロック=イートに伝えようとしていたのだが、彼女はロレツが回っておらず、ロック=イートはあきれ果てていたのである。
だが、そんな拳聖:キョーコ=モトカードから聞かされた言葉で印象に残っていたモノがあった。『自分には裏の顔がある』という言葉だ。だが、その先については、拳聖:キョーコ=モトカードはついに語れずじまいになっていた。そうロック=イートに告げた次の瞬間には彼女はムニャムニャと眠り始めてしまったのである。ロック=イートは頭をボリボリと掻いて、しょうがないなあと彼女の身体に毛布をかけて、庵から退出してしまったのである。
(お師匠様……。酒癖が悪いんだから飲酒を控えてくれと言っていたのにな……。さて、どうしたものか……)
ロック=イートは記憶をたどってはみたものの、結局、答えはでなかった。それならば眉間にシワを寄せている半兎半人の女性に聞いたほうが早いのではないかとさえ思ってしまう。だが、そんなことを聞いたところで、友好的態度とは真逆の状態である彼女が素直に答えてくれるのか? という疑問が湧いてくる。しかしながら、事情がわからぬままに戦うと、自分は大事な情報を得られないままになってしまう気がするのであった。
「おいっ……。てめえが俺と同門ってのはいったいぜんたい、どういう意味なんだ?」
ロック=イートは渋々ながら、結局のところ、彼女の口から答えを述べてもらおうとする。ロック=イートが問いかけるとミーナ=バーナンはあからさまに嫌そうな顔をしだす。ロック=イートはそんな顔をされるのは重々承知であったが、それでもやはりロック=イート自身も納得できずに、チッ……と軽く舌打ちをしてしまうことになる。
「はあああ……。アンゴルモア大王も無茶振りをしてくれたもんだピョン。ミーナちゃんはただ拳聖:キョーコ=モトカードの武具を回収しにきただけなのにピョン。でも、ここで闘わずに試合場から立ち去ったら、大目玉を喰らうのはわかりきっているし……」
ミーナ=バーナンはどうしたものかと考え込む。だいたい、コタロー=サルガミが要らぬことをしたから、今、自分の両腕で抱え込んでいる二つの手甲を回収しにこなければならなくったのだ。コタロー=サルガミにまんまとしてやられたのではないのかという疑念を彼女は抱くことになる……。
ロック=イートはハアハアと荒い呼吸をしだす。彼は決勝戦で受けたサラ=ローランの攻撃からまったくもって回復していなかったのである。裂かれた脇腹から血が流れているというのに、そこに蹴りを入れられたことで痛みがぶり返す。ロック=イートは首だけ半兎半人の方に向けつつ毒を吐く。半兎半人はますます眉間にシワを寄せて
「ミーナちゃんの名前は『てめえ』じゃないんだピョン。ミーナ=バーナンという花も恥じらう可憐な名前があるんだピョン。以後、気を付けてほしいピョン」
黒毛の半兎半人の女性は自分の名を告げるや否や、ロック=イートの脇腹へもう一度、蹴りを入れる。失礼な相手にはこの扱いが調度良いとばかりの仕草である。ロック=イートはまたもや裂かれた脇腹に攻撃を喰らい、その場で転がり悶絶してしまいたくなるほどの痛みを感じてしまう。
「くそがっ! てめえなんか、俺が万全の状態だったら、瞬殺してやるっていうのにっ!」
「おやおや? それはどうかと思うピョン。ミーナちゃんはサラ=ローランのような雑魚とは違うんだピョン。いくらロックと言えども、ミーナちゃんに勝てるとは思えないピョン!」
ロック=イートとミーナ=バーナンは互いを口汚く罵り合う。その様はまるで子供の喧嘩のようにも見える。観客たちは何故に二人が言い争っているのかがわからない。とまどう観客たちの視線は自ずと特別観覧席にある玉座に座るアンゴルモア大王の方へと集中するのであった。観客たちからの視線が集中するのを感じたアンゴルモア大王は顎にたくわえられた白くて長い髭を右手でさすりだす。
(ふんっ。ミーナめ。要らぬ仕事を我に押し付ける形となった也。さて、民衆たちが喜ぶ展開にはどうやってもっていったもの也か……)
十数秒ほど考え込んでいたアンゴルモア大王が玉座からのっそりと立ち上がり、口を開いて次のように宣言をする。
「これよりエキシビジョンマッチを行う。優勝者であるロック=イートが同門であるミーナ=バーナンとどう戦うのかをじっくりと見てやるが良い……」
アンゴルモア大王の言葉は観客たちにさらなる混乱を呼ぶモノであった。同門ということは、あの二人は拳聖:キョーコ=モトカードに師事を仰いだ仲であることになる。それなのに、見た目、彼らはそんな風には見えない。半兎半人の女性は半狼半人の男を毛嫌いしているように見えるし、半狼半人側は半兎半人に憎悪を抱いてるようにしか見えないのである。
困惑したのはロック=イートも同じであった。眼の前に居るミーナ=バーナンが自分と同じタイガー・ホール出身者とは思えない。第一、彼女をあのタイガー・ホールで見たことが無いからだ。そして、ミーナ=バーナンと兄弟子:コタロー=サルガミとのやりとりで、彼女が『裏』という得体のしれない組織に属していることもなんとなく察している。『裏』が何を指しているのか? その答えを求めて、ロック=イートは記憶の糸を手繰る旅に出る。
(『裏』……。もしかして、お師匠様があの晩に俺に言おうとしていたお師匠様の『裏の顔』の話に繋がる……のか?)
ロック=イートは5年前、自分の師匠である拳聖:キョーコ=モトカードに自分の後継者として指名を受けた数日後、彼女の庵にひとり呼び出されていた。ロック=イートが彼女の庵に出向いた時には既に拳聖:キョーコ=モトカードは酒に飲まれており、泥酔しきっていた。そんな状態で何かをロック=イートに伝えようとしていたのだが、彼女はロレツが回っておらず、ロック=イートはあきれ果てていたのである。
だが、そんな拳聖:キョーコ=モトカードから聞かされた言葉で印象に残っていたモノがあった。『自分には裏の顔がある』という言葉だ。だが、その先については、拳聖:キョーコ=モトカードはついに語れずじまいになっていた。そうロック=イートに告げた次の瞬間には彼女はムニャムニャと眠り始めてしまったのである。ロック=イートは頭をボリボリと掻いて、しょうがないなあと彼女の身体に毛布をかけて、庵から退出してしまったのである。
(お師匠様……。酒癖が悪いんだから飲酒を控えてくれと言っていたのにな……。さて、どうしたものか……)
ロック=イートは記憶をたどってはみたものの、結局、答えはでなかった。それならば眉間にシワを寄せている半兎半人の女性に聞いたほうが早いのではないかとさえ思ってしまう。だが、そんなことを聞いたところで、友好的態度とは真逆の状態である彼女が素直に答えてくれるのか? という疑問が湧いてくる。しかしながら、事情がわからぬままに戦うと、自分は大事な情報を得られないままになってしまう気がするのであった。
「おいっ……。てめえが俺と同門ってのはいったいぜんたい、どういう意味なんだ?」
ロック=イートは渋々ながら、結局のところ、彼女の口から答えを述べてもらおうとする。ロック=イートが問いかけるとミーナ=バーナンはあからさまに嫌そうな顔をしだす。ロック=イートはそんな顔をされるのは重々承知であったが、それでもやはりロック=イート自身も納得できずに、チッ……と軽く舌打ちをしてしまうことになる。
「はあああ……。アンゴルモア大王も無茶振りをしてくれたもんだピョン。ミーナちゃんはただ拳聖:キョーコ=モトカードの武具を回収しにきただけなのにピョン。でも、ここで闘わずに試合場から立ち去ったら、大目玉を喰らうのはわかりきっているし……」
ミーナ=バーナンはどうしたものかと考え込む。だいたい、コタロー=サルガミが要らぬことをしたから、今、自分の両腕で抱え込んでいる二つの手甲を回収しにこなければならなくったのだ。コタロー=サルガミにまんまとしてやられたのではないのかという疑念を彼女は抱くことになる……。
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