拳聖の一番弟子がぶっ放すロケットパンチ ~氷の悪役令嬢の心を一撃で砕いてチョロイン化~

ももちく

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第12章:ロケット・パンチ

第10話:共に行く道

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「えっと……。ロックッち。そろそろ大事な話をしても良いッスか? それとも俺っちたちアンゴルモア四天王がお世話になっている腕の良い治療術師を呼んでこようッスか?」

 ロック=イートは簡素なベッドの上で股間を両手で抑えつつ、悶絶していたのであった。セイ=レ・カンコーがそんなロック=イートの腰辺りをトントントンッ! とリズミカルに右手で強く叩いている。それを成したリリー=フルールはフンッ! と鼻を鳴らして、ロック=イートの方を見ようともしないのであった。そんな修羅場の中、自分の仕事を果たさねばならぬ剣聖:プッチィ=ブッディは、こんなことなら弓神:ダルシゥム=カーメンに任せてしまえば良かったとさえ思ってしまう。

 しかしながら、その弓神:ダルシゥム=カーメンは上覧武闘会の閉会式にかかりっきりである。主催者であるアンゴルモア大王はロック=イートのパンチを真正面から腹に受けたことにより、大事をとって、侍医たちに問題が無いかどうかの確認をしてもらっている。ならば、彼の代わりを勤めれる者と言えば、アンゴルモア四天王となるのだが、その中で動ける者と言えば、剣聖:プッチィ=ブッディ、弓神:ダルシゥム=カーメンの二人のみであった。

 神槍:ブリトニー=ノーガゥは別の控室のベッドの上で横になっており、蹴聖:コタロー=サルガミは自分の嫁であるサラ=ローランの看護をおこなっている。剣聖:プッチィ=ブッディはお堅い式典は弓神:ダルシゥム=カーメンに押し付けてしまえとばかりに、さっさとロック=イートが居る控室にやってきたわけなのだが、どうにも彼の計算とは違ったことが起きてしまっているといった状況だ。

(ロックっちはチンコを貫通してタマキンにまでダメージを負ってしまったみたいッスね。ここは出直したほうが良いんッスかねえ?)

 剣聖:プッチィ=ブッディはどうしたものかと思案する。まあ今すぐ伝えたところで、実際にはもっと後の話になるので別に急がなくても良いかと思ってしまうのは、彼の性格ゆえにとしか言いようが無い。だが、何もせずに控室から退出したとなれば、弓神:ダルシゥム=カーメンに長々と説教を喰らうことになるので、それはそれで面倒くさいことになる。それらを天秤にかけた結果、結局、まともには受け答え出来ないであろうロック=イートに、これからどうなるかの簡単な説明だけはしておくことにする。

「え? 開拓軍が外の領域テリトリーに出向くのは早くても2年後なんですか?」

「そうッス。そもそもとして、開拓軍の代表や幹部たちの椅子をこの上覧武闘会の成績優秀者に与えるってのは、アンゴルモア大王の思い付きから始まったという経緯があるんッスよ。それとは別に開拓軍の話自体は前々から浮かんでは立ち消えになってきたんッス」

 控室に集まる皆は剣聖:プッチィ=ブッディの説明を怪訝な表情を顔に浮かべながら聞くことになる。開拓軍が人類の活動領域テリトリーを増やすべく、実際に行動に移るまでに早くて2年後という言葉を聞き、なんだそれはと文句のひとつも言いたくなるところを我慢している状況であった。しかし、剣聖:プッチィ=ブッディの話を聞くことにより、皆は段々と納得してしまう形となっていく。

「そりゃそうですね。ロックくんを含む参加者たちは上覧武闘会で自分の力を見せつけることには成功しましたが、軍を動かしていく才能に関しては未知数ですし。そういうことを勘案して、彼らの教育だけでも1年近くはかかるってことですね」

 コープ=フルールは旨い話がそんな簡単にふところに転がってくるわけがないことを改めて実感するに至る。商売で旨い話があると言われれば、疑ってかかるのが当然であった。しかし上覧武闘会の熱に浮かされてか、コープ=フルールは自己の判断力が鈍っていたことを痛感させられることとなる。

「ふむ……。じゃが、ロックのような成績優秀者たちがアンゴルモア軍に入隊するのは確定なんじゃろ? 将来は安泰と言っても過言ではないのか?」

「そうッスね。ちゃんと給料が出ることだけは確定ッス。でも、そこらの傭兵団に所属していたほうが、金の入りが良いかもしれないという危惧はあるッスね」

 この上覧武闘会に出場できるほどの腕があるならば、準軍隊とも言える傭兵団からは引っ張りだこになるのは確実だ。開拓軍の幹部となれば、アンゴルモア軍に所属する一兵卒よりかは遥かに良い給料で迎えられるであろうが、傭兵団ならその2倍は出す可能性があることを剣聖:プッチィ=ブッディは包み隠さず言うのであった。

「身分に見合わぬ薄給だけど、毎月きちっと給料が支払われるアンゴルモア軍を選ぶか? 大きく稼げるがその分ハイリスクだらけな傭兵団にスカウトされるか? こればっかりはそいつ自身が決めることッス」

 剣聖:プッチィ=ブッディは自分の道は自分で決めろと言ってのける。それはかなり突き放した言い方であり、第3回戦まで駒を進めたヨン=ジューロは胸の前で腕を組み、さらには首をひねりながら悩むこととなる。

「わい、どっちを選んだほうが良いんかなあ?」

「ヨン=ジューロ、おぬしは博打好きな感じがするから、傭兵団を選びそうな気がするのじゃ」

「しかしでっせ? わいがロックくんと一緒のとこに居たら、ヨーコくんの豊満なおっぱいをまた揉める気がしてたまりまへんのやっ。あくまでもわいの勘やけどなっ!」

 ヨン=ジューロがニカッと白い歯を見せて、ヨーコ=タマモに微笑んで見せる。しかしながらヨーコ=タマモは本日、何度目になるかわからない深いため息をつくことになる。リリー=フルールはそんな二人を横目に見つつ、ロック=イートの方に顔を向ける。

「わたくしの騎士様はどちらをお選びになるのです? 貴方ほどの実力ならば、どこでもやっていける気がしますわ」

 リリー=フルールはそう言いながらも、ロック=イートがどの道を選ぶのかは察していた。ロック=イートならではの答えを既に持っているはずだと。そんな彼女に対して、ロック=イートが一度、コクリと彼女に向かって頷き

「ああ。俺はなんたって『世界最強の生物』を目指しているからなっ! 開拓軍に入れば、とんでもなく強い魔物モンスターたちと毎日のように闘えるようになるんだっ。俺がそっちを選ぶのは当然と言えば当然だよなっ!」

「やっぱり、そう言うと思っていましたわ。でも、わたくしも貴方と共に参りますので、わたくしのことも護ってほしいのですわ」

「え? それってどう意味なんだ?」

「貴方は無茶ばかりして、怪我をしない日が無いほうがおかしいことになりかねませんもの。ですので、わたくしはもっと優秀な治療術師に弟子入りすることにいたします。剣聖:プッチィ=ブッディ様。わたくしも開拓軍入りを目指しますので、今後ともよろしくおねがいしますわ!」
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