【R18】俺は悪くねえ! ~愛しのお姫様が女騎士に変化しているのを知らずに後ろの穴を穿ってしまいました~

ももちく

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第5章:天使の嬉し涙

第9話:白黒の夢

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 窓の外はまだ真っ暗であった。それもそうだろう、現在時刻は夜更けの3時である。レオナルト=ヴィッダーは次の秘宝の在り処を示されたは良いが、今すぐに動くべきかを考える。街にある駅馬車が開くのは早くても2時間後だ。金を積めば、駅馬車の駅員を叩き起こすことも可能であるが、椅子に座るクルス=サンティーモがこっくりこっくりと舟を漕いでいる状態だ。

「クルス。今からでも動けるか?」

「ふぁ、ふぁい!? レオン様がそうおっしゃるのなら、ぼくは大丈夫なのれふゥ」

 明らかに頭が回っていない感じで応答するクルス=サンティーモによって、余計にレオナルト=ヴィッダーは困ってしまうことになる。交渉事などの雑用はクルス=サンティーモが一手に引き受けることは、リリベル=ユーリィが徒党パーティに加入したとしても、変わりないと思っている。騎士がそんなことを買ってでるとはとても思えなかったのだ。

 念のためにレオナルト=ヴィッダーはちらりとリリベル=ユーリィの方に視線を移す。彼女はまだまだ起きていられるといった感じだ。しかしながら、興奮気味な印象を受けるため、こちらはこちらで不安を感じてしょうがない。なので、レオナルト=ヴィッダーが最後に頼んだ相手はフィルフェン=クレープスであった。

「フィルフェン様。俺は今すぐにでも出立したい。フィルフェン様の力を借りて良いですか?」

「ん? 駅馬車で馬車を借りて、そこからショートアイランドを通り、その先にある港町:モンドロークに行くってことで合っていますよね?」

 レオナルト=ヴィッダーは壱を尋ねれば、拾で答えるフィルフェン=クレープスに脱帽せざるをえなくなる。焦らずとも、フィルフェン=クレープスが示す道に乗っかれば良いと気づくことになったのだ。なので、レオナルト=ヴィッダーは質問の内容を変えて、言葉を重ねることとする。

「どれほど待てば、手筈は整います? 俺は今のうちに出来る限りの万全を尽くして、体調を整えておきます」

「はい。早馬を飛ばしている真っ最中なので、夜明けに合わせて、先生と通じている駅馬車で馬車を借りれば良いですよ。なので、仮眠でも良いですから、取っておくことです」

 フィルフェン=クレープスがそう答えたと同時に、レオナルト=ヴィッダーは動きを見せる。まずはクルス=サンティーモにベッドで寝るように言う。そして、自分はクルス=サンティーモに厚手の毛布を肩から掛けてもらい、車椅子に乗ったまま、眠りに就こうとしたのだ。

「ちょ、ちょっと待ってください、レオン。あなたもベッドで寝たほうが良いのでは?」

 狭い部屋ではるが、ベッドはふたつある。なのにレオナルト=ヴィッダーはベッドの上に移動するのも惜しいといった感じで、車椅子から余所に移動しようともしなかったのだ。しかし、何故、レオナルト=ヴィッダーがそうしたのかを、数秒後に理解するリリベル=ユーリィである。

「あんたのためにベッドを空けているんだ。騎士様に床で雑魚寝してもらうわけにはいかないだろう?」

 リリベル=ユーリィはなるほど……と納得してしまうしかなかった。リリベル=ユーリィは自分の存在を自分で失念していたのだ。空いているベッドは明らかにジメっと湿っていていて、寝心地が悪そうであったが、それでもレオの御厚意に甘えておこうと考えるリリベル=ユーリィであった。フィルフェン=クレープスがリリベル=ユーリィにウインクを飛ばし、後の事は頼みましたよと小声で呟き、静かに部屋から退出してく。

 リリベル=ユーリィはベッドの上に紅を基調とした部分鎧を着こんだまま、寝転がることとなる。レオナルト=ヴィッダーとフィルフェン=クレープスとの会話から推測するに、睡眠時間は多くて3時間である。それなら、鎧を着たままのほうが深い眠りに陥らなくて済むと考えて、着の身着のままの恰好でベッドの上に寝ころぶ。

 宿屋の下人がフィルフェン=クレープス一行とすれ違いで部屋に入って来て、部屋の中央付近にある鉄製の薪ストーブに木炭を入れてくれた。そのおかげで、寒々としていた部屋は10分後くらいにはポカポカと寝やすい室温にまで上がり、そのためもあってか、リリベル=ユーリィは段々と深い眠りへと落ちていく。



 夢というのは、眠りが浅いところと深いところの中間地点の時に、既視感を伴うモノをしばしば宿主に見せる。リリベル=ユーリィは深淵がぽっかりと黒い口を開いているところの間際に立たされていた。リリベル=ユーリィがその黒い口の中に身体を放り投げようかと逡巡していると、背中側から幼さを残す女の子たちの声が聞こえてくる。

 リリベル=ユーリィは後ろを振り向き、お互いの頭に花冠と草冠を乗せ合っている少女を見つめることとなる。ひとりは褐色の肌をしたダークエルフであり、もうひとりは神聖なオーラを12歳かそこらしかないエルフが発していた。

(白い肌のエルフは、伝説のハイエルフ? いえ、そんな高次元の存在がダークエルフと一緒にいるわけがない……)

 リリベル=ユーリィは非現実な友好関係を結ぶふたりの少女を見て、今、自分は夢を見ていると自覚する。しかしながら、夢だとしてもその少女たちは仲睦まじかった。いや、仲睦まじいという表現では足りないレベルである。

 褐色の肌のダークエルフは着ている緑を基調としたワンピースを透き通るような白い肌のハイエルフにキスをされながら脱がされる。そして、それだけでは足りぬとばかりにそのハイエルフは子供用のドレスを脱ぎ、剥き出しになった裸体をダークエルフの少女に密着させる。

 どちらもおっぱいと言えるほどの大きさは無い。しかし、互いの未熟な乳首をこすり合わせ、頬を紅く染めながら、口からハアハア……と熱い吐息を吐き合う。さらには、何もついてない股間を足を絡み合わせながら擦り合う。まるで白と黒が混ざり合い、何かを生み出そうとしていた。

 それを見ていたリリベル=ユーリィの下腹部も熱くなっていく。卑肉から愛液が漏れだし、それがショーツを濡らし、さらに鎧下の服をも貫通する。最後に下腹部に付けている鎧の隙間からポタポタと草地に零れ落とすこととなる。

 しかしながら、リリベル=ユーリィはダークエルフとハイエルフのまぐわいに眼を奪われ、自分がそうなっていることに気づきはしなかった。やがて、互いに果ててしまって、草地に身体を預ける形となったふたりの少女は、そのままスヤスヤと気持ち良さそうに眠りに落ちていく。

 リリベル=ユーリィは草地の上にぺたりと尻餅をつき、さらには上半身を折り曲げ、顔を草地の上に静かに乗せる形で意識を失う……。



「おい、リリベル。起きろ。出立する時間だぞ」

「う、う~~~ん。ヘレン、あと5分、寝かせてほしいの」

 レオナルト=ヴィッダーは右腕に前腕固定型杖ロフストランドクラッチを装着し、それをもってして、立ち上がっていた。そして、なかなか起きぬリリベル=ユーリィに対して、空いた左手でボリボリと頭を掻く他無かった……。
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