【R18】俺は悪くねえ! ~愛しのお姫様が女騎士に変化しているのを知らずに後ろの穴を穿ってしまいました~

ももちく

文字の大きさ
71 / 261
第7章:暴力に屈する正義

第10話:|須世理姫《スセリヒメ》

しおりを挟む
 さりとて、リリベル=ユーリィは最初の目的を果たしたことに満足し、鎧下に着る服を着直す。そして、レオナルト=ヴィッダーがパンツとズボンを履くのを手伝う。レオナルト=ヴィッダーに腰を浮かしてもらい、パンツに足を通してもらう。リリベル=ユーリィの眼には通常サイズに戻ったモンキーバナナが眼に映ることとなる。リリベル=ユーリィはうぅ……と口ごもり、パンツを移動させていく手が止まってしまうこととなる。

(そういえば、レオのおちんこさんをいじったことがない……。これって、わたしだけ損してる気がする)

 リリベル=ユーリィはそう思うと、パンツから手を離し、両手でもぞもぞとレオのへなっているおちんこさんをいじり始める。レオナルト=ヴィッダーはウッ! と不覚にも声を漏らすが、今は素戔嗚スサノオを完全に自分の制御下に置いているために、屹立することはなかった。レオナルト=ヴィッダーがそれを出来た要因のひとつに、子宝袋の中身を全て吐き出していたことがある。そのため、レオナルト=ヴィッダーは孤高の賢者モードの真っ最中であった。

 いくらリリベル=ユーリィが硬くなっていかないおちんこさんをいじり倒そうが、レオナルト=ヴィッダーのおちんこさんがその夜に再び屹立することは無かった。リリベル=ユーリィはほっぺたを河豚ふぐのように膨らませるのに対して、レオナルト=ヴィッダーは苦笑する他無かった。可愛らしくほっぺたをパンパンにしているリリベル=ユーリィの顎を右手で掴み、そのまま自分の唇へと誘導していく。

 リリベル=ユーリィもそれを承諾したのか、レオナルト=ヴィッダーに誘われるままに、身体を前へと動かして、レオナルト=ヴィッダーと接吻せっぷんをする。リリベル=ユーリィは幸せを感じ、甲斐甲斐しくレオナルト=ヴィッダーのパンツとズボンを元の位置に戻す作業へ移行する。

 お互いに乱れた格好をキレイに整えた後、リリベル=ユーリィはレオナルト=ヴィッダーの左側に立ち、両腕をレオナルト=ヴィッダーの左腕に絡めさせる。その時に、リリベル=ユーリィの右の腕先に装着した奇稲田姫クシナダヒメと、レオナルト=ヴィッダーの左の腕先に装着した素戔嗚スサノオが密着しあうこととなる。

 するとだ。レオナルト=ヴィッダーとリリベル=ユーリィの脳裏にとある映像が流れ込んでくることとなる。



 レオナルト=ヴィッダーに似た顔つきの筋肉隆々の大男が嬉しそうな顔で、アイリス=クレープスに似た小柄な女性でありながらも妊娠しているのがはっきりわかる腹にその髭面の顔をすりすりと擦り付けている。小柄な女性はクスクスとおかしそうに笑っている。そんな周りから見てても微笑ましいふたりの姿をレオナルト=ヴィッダーとリリベル=ユーリィはふたり同時に心が穏やかになってしまう。

 しかし、しばらくすると彼らの脳内に流れる映像の場面が様変わりする。レオナルト=ヴィッダーに似た顔つきの大男は太陽の光も届かないような暗い大地の上をさまよい歩いていた。辺りからは魔物モンスターと思われる奇怪な笑い声、全てを憎むすすり泣きが反響していた。リリベル=ユーリィはここがどこかの大地かと思っていたが、笑い声や泣き声が遠い場所から反射してくることから、巨大な洞穴の中だと察知する。

 そして、レオナルト=ヴィッダー似の男は、その光源も乏しい大きな洞穴の奥深くで、ひとりの年若い女性と青年を追いかけていた。女性の名をレオナルト=ヴィッダーに似た大男が呼び続けていた。彼女の名は『須世理姫スセリヒメ』。状況から考えるに、父親であるレオナルト=ヴィッダー似の大男が、自分の娘であるらしい『須世理姫スセリヒメ』に言い寄ってきた青年に対して、とてもではないが達成不可能な困難を与えた。

 そのため青年はそんな試練により命を落としてしまうよりも、須世理姫スセリヒメと共に駆け落ちしてしまおうとしたのだ。その計画を知ったレオナルト=ヴィッダー似の大男は憤怒の形相で、青年と娘を追いかけまわしていたのだ。

 青年と須世理姫スセリヒメが巨大な洞穴の出口までやってくる。そこで須世理姫スセリヒメは後ろを振り向き、自分に向かって迫ってくる父親に向かって深々と頭を下げる。

「お父様。今まで育ててくれたことには感謝しております。でも、わたしはわたしです。わたしは好いた殿方と共に、光あふれる地上へと旅立ちます。どうか、わたしたちを祝福してください」

 レオナルト=ヴィッダー似の大男は娘に恨まれ事を言われると覚悟していた、しかし、その娘から放たれた言葉は感謝と親離れへの確かな意志を持っていた。レオナルト=ヴィッダー似の大男はその場で泣き崩れ、娘に対して祝言を贈る。

『やくもたつ いずもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを』

 それは父が母と結婚する際に、父から母に贈られた歌であった。幸せをふたりでどこまでも高く積み上げていこう。あの大空に浮かぶ重ね合う雲のように。その雲のさらに上に重なるように幸せを重ね上げようと。

 須世理姫スセリヒメもまた、父親同様にぼろぼろと涙を流していた。彼女の隣に立つ青年は須世理姫スセリヒメの両肩に両手を回し、先に進もうと促す。須世理姫スセリヒメは涙を止めぬままにコクリと頷き、青年と共に光射す道を歩いていく……。



 レオナルト=ヴィッダーとリリベル=ユーリィの脳裏に流れていた映像はそこで終わりを告げる。レオナルト=ヴィッダーは頭を左右に振り、幻影を頭の中から振り払うような所作を繰り返す。対して、リリベル=ユーリィはただただ青碧玉ブルー・サファイアの双眸から涙を流し、レオナルト=ヴィッダーの左腕に絡めた両腕に力を込める。

 リリベル=ユーリィは須世理姫スセリヒメのようになれたら、どれだけ良かったのだろうと思わずにはいられなかった。今、リリベル=ユーリィはアイリス=クレープスの姿を捨てて、レオナルト=ヴィッダーと共に居る。リリベル=ユーリィの姿かたちでレオナルト=ヴィッダーと旅に出たくなかった。出来るなら、アイリス=クレープスそのままで、レオナルト=ヴィッダーと共に、この『地上の楽園』へとやってきたかった。

 しかし、レオナルト=ヴィッダーは違う感想を抱いていた。青年は父親から与えられた試練から逃げ出した卑怯者だと考えた。父親に認められぬままにその娘を手籠めにすることによって、与えられた罰の重さをレオナルト=ヴィッダー自身が痛感させられたからだ。

 だからこそだ、今度こそ、レオナルト=ヴィッダーはアイリス=クレープスの父親であるロータス=クレープスに見せつけてやろうとした。俺は絶対にこの試練に打ち克ち、アイリスを幸せに出来るのはこの世で自分ただひとりであることを見せつけてやるのだと。

 この身が朽ち果てることになろうとも、自分の魂と意志はアイリスと共にあるのだと、悲痛な願いを抱くレオナルト=ヴィッダーであった……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...