【R18】俺は悪くねえ! ~愛しのお姫様が女騎士に変化しているのを知らずに後ろの穴を穿ってしまいました~

ももちく

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第8章:地上の楽園

第6話:エクレアの誤算

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 『地上の楽園』と呼ばれるこの島の奥地へと足を進めれば進めるほど、気温は上昇の一途を辿り、皆はじりじりと体力をしぼり取られていく。その中でも疲弊が激しかったのは、昨晩、子宝袋の中身を全てリリベル=ユーリィの尻穴に注いでしまったレオナルト=ヴィッダーであった。

「すまん。少しだけ休ませてくれ。クルス、アレを頼む」

 レオナルト=ヴィッダーが手ごろなサイズの岩に腰をかけ、クルス=サンティーモに飲み物の準備をしてくれと頼む。クルス=サンティーモは肩下げカバンのひとつから、水筒と黄金こがね色の液体がたゆたうポーションの瓶を取り出す。その後、水筒のキャップを外し、まずは水筒から水をコップ代わりのキャップに注ぐ。さらにポーションの瓶の蓋を開けて、その中から一滴だけ、黄金こがね色の液体をたらす。

 しかしながら、気温が30度を超えていることもあり、ポーションの蓋を開けると同時に、存在感露わな異臭があたりに漂うこととなる。リリベル=ユーリィとエクレア=シューは思わず、鼻を両手で塞いでしまう。しかしながら、2年間の兵役をこなしたデーブ=オクボーンにとっては懐かしいようなこの匂いを満足気な表情を浮かべながらクンクンと嗅いでしまう始末であった。

「こりゃ馬の小便とはちょっと違うな? 高位なる存在を感じるぜ」

「さすがは変態のデーブだな。このポーションの瓶に入っているのは『天使の嬉ション』だ」

 リリベル=ユーリィは、そのポーションの瓶に入っているものが何かを事前に知っていたために、そこまでしかめっ面にはなってない。だが、初耳であるエクレア=シューはあからさまに不快な顔つきになっていた。しかも、レオナルト=ヴィッダーがコップ代わりのキャップの端に口をつけ、まるでお爺さんが梅昆布茶を飲むかのように、ぷはあ……と満足気に一呼吸したからには、エクレア=シューはますます渋面となってしまう。

「えっと……。エンダーラー・プライズ号に乗っていた時に、おしっこを散々にぶっかけましたけど~~~。あたしとしては嫌がらせも込めてですけど~~~」

「ガーハハッ! そんなことされてたのかよ、レオン。エクレア嬢ちゃん。こいつを含め、おいらたち元軍人を舐めるんじゃねえ。飲み水が無ければ、馬の小便どころか、互いの小便を飲み合って、喉の渇きを潤してたんだぞ?」

 エクレア=シューはがっくりと肩を落とす他無かった。レオナルト=ヴィッダーにやったアレは、彼がS属性なのか、M属性なのかを調査する意味合いを込めてである。レオナルト=ヴィッダーがM属性であれば、喜びながら舞い踊ることになる。しかし、S属性であったならば、よくも俺様に小便をひっかけやがってと、怒り心頭になりながら、自分に向かって小便をぶっかけてくるはずであった。

 しかし、あの時のレオナルト=ヴィッダーと言えば、木製の床に大の字になり、神の試練を与えたまえという、判別つきづらいことをのたまっていた。そのため、エクレア=シューとしては、どっち方向の属性でレオナルト=ヴィッダーを手籠めにするべきなのかと迷いを生じさせてしまった。

 結果的に、カエルの面に小便の言葉通り、レオナルト=ヴィッダーは小便を飲み慣れていたことだけが判明されることとなる。エクレア=シューは根本から戦略を練り直す必要性があった。アイリス=クレープスという一国のお姫様と恋仲にいるレオナルト=ヴィッダーの正妻の位置は、どうやっても転がってこない。ならば、狙うべきは第二夫人の座のみである。その座を巡って、男の娘のクルス=サンティーモ、ダークエルフのリリベル=ユーリィ、そして海皇の73番目の娘のエクレア=シューである。

 これから考えるに、どうしてもパンチ力が足りないのがエクレア=シューであった。さらに言えば、エクレア=シューには実りかけのスイカが胸にふたつ実っていることもわざわいしていた。

(あたしの勘だと~~~。レオン様は大きいおっぱいにはあまり興味を示さないんですよね~~~。ぶかぶかのシャツで首元から乳首が見えるか見えないかを演出しているっていうのに、視線をあまり感じませんし~~~)

 エクレア=シューは今現在、首元から胸元にかけて、かなりゆったりと余裕があるシャツを着ている。しかし、時折、思い出したかのようにレオナルト=ヴィッダーがちらちらと覗き込んでくるが、それは刺身のツマに手を出す感じで、ついでにという感覚が強いのである。

 対して、クルス=サンティーモやリリベル=ユーリィの胸部を見つめるレオナルト=ヴィッダーは服や胸部の鎧部分が透けてみえないかどうかを確認するくらいに目力めぢからが込められている。エクレア=シューは、この事実にハアアア……と深いため息をつくしかなかった。

「ありがとう、クルス。よっし、かなり体力が戻ってきた。俺はもう大丈夫だ」

「あまり無理しないでくださいねェ。レオン様が倒れたら、色々と困りますゥ」

「大丈夫だ。俺が倒れるなら、アイリスのまな板のうえじゃなくて、腕の中だ。俺はそれまで決して倒れやしないさ」

 リリベル=ユーリィはこのレオナルト=ヴィッダーの言葉に、深く感激してしまう。前腕固定型杖ロフストランドクラッチを用いて立ち上がろうとするレオナルト=ヴィッダーの左側に移動して、レオナルト=ヴィッダーを補助するのであった。もちろん、リリベル=ユーリィの顔は華が咲いたかのように笑顔である。

 エクレア=シューはしくじったと思った。ここはあたしの出番でしょ~~~! と思わずにはいられない。リリベル=ユーリィの硬い胸が鎧の胸部のパーツにより、余計に硬さが協調されることとなる。そんな無い胸を当てられて、喜ぶ男がいるはずが無い。ここは実りかけのスイカで優しく左腕を包み込まねばならない場面だったのを、エクレア=シューは逃してしまったのである。

(ぐぬぬ……。リリベル様にしてやられたのです~~~。でも、次の休憩時間の時には目に物見せてやるのです~~~)

 エクレア=シューは挽回の機会を虎視眈々と待ち続けた。それから1時間も経過すると、エクレア=シューの予想通り、また休憩時間に入ることとなる。先ほどと同じ光景が繰り返された後、エクレア=シューは今度こそ、実りかけのスイカの間にレオナルト=ヴィッダーの左腕を包み込むことに成功する。

「うっへん、おっほん、あっほん! ちょっとエクレア。やめてくれ、俺は自分の信条を曲げてしまいそうだっ!」

「そんなことおっしゃらずに、もっとあたしに体重を預けてくれて良いのです~~~。ほら、クルスさんやリリベル様ではとてもではないが、体験できないことをしているのです~~~」

 クルス=サンティーモとリリベル=ユーリィはコメカミに青筋を立てていた。そして、デーブ=オクボーンはなるべく巻き込まれないようにと、物理的に彼女たちから距離を取る。

「タイキック!!」

「ありがとうございますっっっ!!」

 この3度目になる休憩時間は、どの地点の時よりも長めに時間を取るしかなくなるレオナルト=ヴィッダー一行であった……。
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