【R18】俺は悪くねえ! ~愛しのお姫様が女騎士に変化しているのを知らずに後ろの穴を穿ってしまいました~

ももちく

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第14章;レオのかつての親友

第6話:コッシローの素質

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「よしよし。一晩もこうしておけば、リリベルとレオナルト=ヴィッダーの容態は回復するはずでッチュウ。デーブ! 高級レストランでぼんきゅっぼんなウェイトレスがキャビアを運んでくるが如くに丁寧に馬車を発進させるでッチュウ!」

 ヒトがその素質と才能の真価を問われるのは、徒党パーティ全滅クラスのピンチに陥った時である。コッシロー=ネヅの対応は合格ラインを余裕で突破していた。実際、西行きの旅路において、魔物モンスターの群れに襲われる度にコッシロー=ネヅは陣頭指揮を執っていた。

 しかし、真に優秀な指揮官とは、撤退の手際の良さがどうか? という一点に尽きる。戦っている最中の指揮官役はある程度、誰でも持っている才能だ。しかし、何度も言うが、撤退を迅速におこなうことが出来る指揮官のほうが優秀なのだ。攻める時だけでなく、退く時も迅速であれ。これがいくさにおける名指揮官が所持していなければならない才能なのである。

 デーブ=オクボーンは馬に鞭を入れ、のろりのろりと荷馬車を動かせる。コッシロー=ネヅがレオナルト=ヴィッダーとリリベル=ユーリィの様子を確認しつつ、デーブ=オクボーンに荷馬車の速度を調整させる。通常の半分ほどにしか、荷馬車の速度を上げれなかったが、これはこれで良しとのたまうコッシロー=ネヅであった。

 傷ついたレオナルト=ヴィッダーたちが目指したのは、ミシガン王国の南の玄関口であるナンクルヒルであった。この農業都市を通った後、一気に北上し、五大湖の西端にあるジカーゴを目指す予定であった。しかし、それは今の徒党パーティの状態でおこなうことは出来ない。レオナルト=ヴィッダーたち一行は最終目標であるジカーゴを前にして、ナンクルヒルで休息をよぎなくされる。

 バージニア王国とミシガン王国との南の国境線で起きた戦闘から三日後、ようやくレオナルト=ヴィッダーたちは農業都市:ナンクルヒルに到着する。この都市の周りは広大な平地が広がり、耕地や畜産に適した土地であった。農業が盛んであるために、ナンクルヒルはまさに牧歌が相応しい街づくりとなっていた。街に立ち並ぶ家々で背の高い建物と言えば、教会と風車小屋くらいである。ほとんどの家が石や木で出来た平屋建てであり、農業に適さない権威にまみれた建物がほどんど無いといってもよかった。

 レオナルト=ヴィッダー一行は宿屋で部屋を取らず、平屋の一軒家をまるまる借りることになる。レオナルト=ヴィッダーの傷が癒えるのに1週間はかかりそうなこととと、レオナルト=ヴィッダーたち全員がひとつの宿屋に泊まれるほど、宿屋の部屋の空きが無かったことも関わってくる。

 平屋の一軒家を丸ごと借り上げたデーブ=オクボーンたちは、まず、レオナルト=ヴィッダーを緋喰い鳥の羽根をシーツ代わりにしているベッドで眠らせる。そして、クルス=サンティーモ、マリア=アコナイトが陣頭に立ち、レオナルト=ヴィッダーの世話を買うことになる。エクレア=シューは身体自体についた傷は少ないものの、魔力の消費が激しく、レオナルト=ヴィッダーの世話をするほどの余裕は無かった。彼女が出来ることと言えば、デーブ=オクボーンの男臭い手料理の手伝いをすることくらいである。

 リリベル=ユーリィは両腕の火傷を一日でも早く癒すために、コッシロー=ネヅが魔力を用いて緋喰い鳥の羽根を長く細く加工し、包帯状にしたものを両腕に巻いていた。

「エクレア。あなたも休まないとしんどいでしょ? わたしが火の番をするわよ」

「何を言っているんです~~~。リリベル様こそ、両腕の火傷が治りきってないんでしょ~~~? しっかり怪我を治すことこそ、リリベル様の務めです~~~」

 エクレア=シューは木製の丸椅子から腰を浮かすと、火の番を代わると言ってくれるリリベル=ユーリィの背中を押して、厨房から追い出す。行き場を失くしたリリベル=ユーリィが次に足を運んだのは、レオナルト=ヴィッダーが横になっている寝室であった。リリベル=ユーリィは痛む右手をなんとか動かし、ドアノブを回す。そして、右肩で木製のドアを無理やりに開ける。

「リリベル様っ! レオン様を心配するお気持ちはわかりますけど、リリベル様も怪我人なんですゥ! ちゃんと休んでおいてくださいィ!」

「レオン様はクルスとあちきでしっかり看病してますニャン! リリベル様はリリベル様で休んでおいてくださいニャン!」

「うっ。わたしもレオの側に居たい……」

「駄目ですゥ! 寂しいって気持ちはそのまま、エッチしたいって気分になっちゃうんですゥ! 今のリリベル様に我慢できますゥ!?」

 クルス=サンティーモはリリベル=ユーリィの心境をずばりと言い当ててしまう。両腕に火傷を負ったことで、皆の手伝いを出来ないというふがいなさと、どこに行っても、養生しろと言われ、行く場所が無い。それはありがたいのだが、反面、寂しさが胸に去来する。だからこそ、せめて、レオの顔を見ていたいという気持ちになる。

 しかし、クルス=サンティーモはその寂しいと思う気持ちが、エッチをしたいという気持ちに直結しかねないと警告されてしまう。

(え、エッチまでしたいとは思わないけど、レオとチューしたい気持ちがあるのは確かよ!? クルスはもう少し、やんわりと指摘するべきよっ!!)

 レオナルト=ヴィッダーが横になっている寝室からも追い出されたリリベル=ユーリィは、なんとも面白くないといった表情で平屋の一軒家の中をさまようこととなる。緋喰い鳥の羽根を包帯状にして、両腕に巻いていることで、副産物的にひどい火傷を負った以外の身体の箇所に負った傷は癒えきっていた。だからこそ、手は使えないが、手持ちぶたさだったのだ、リリベル=ユーリィは。

 そんな彼女が一軒家の廊下で出くわしたのがコッシロー=ネヅである。

「チュッチュッチュ。欲求不満がありありと浮き出ている表情をしているでッチュウね。確かに、手を使えないと、自慰も出来ないでッチュウ」

「う、うるさいわねっ! まるでわたしが年中発情している雌豚みたいだって言わないでよっ!!」

「チュッチュッチュ。僕に当たったところで、何も益は無いでッチュウ。しかしでッチュウ。もんもんとしちゃうリリベルの気持ちはわかるでッチュウ。僕が話し相手になってやろうでッチュウ?」

 コッシロー=ネヅとしては珍しい気遣いであった。意外すぎるコッシロー=ネヅの反応に、リリベル=ユーリィは毒づくのは失礼に値すると思い、コッシロー=ネヅが言う通り、手持ちぶたさの自分の話相手になってもらうことになる。リリベル=ユーリィたちは一軒家の客間に移り、そこでリリベル=ユーリィが不満に思っていることをコッシロー=ネヅが親身に聞くという珍しい光景が繰り広げられることとなる。

「クルスがわたしをレオに近づかせないとするの」

「チュッチュッチュ。リリベルの気持ちは痛いほどわかるでッチュウ。しかし、しょっちゅう、面を会わせるよりも、少しだけ間を置いてみるのも良いんでッチュウ。押すだけが恋愛で無いんでッチュウ。退くことも覚えろこの雌豚っていう言葉があるのを知らないんでッチュウ?」
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