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第15章:愛を知らぬ男
第1話:ジルバの|目力《めぢから》
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ジルバ=フリューゲルは呪力に飲み込まれていた。彼の右眼の代わりに嵌め込まれている『ZGMF-X42S』、研究所での通称は『束縛を生み出す運命』と呼ばれていた呪物である。ジルバ=フリューゲルはこの呪物をとあるルートを用いて手に入れていた。自らの手で右眼を短剣でくり抜き、空洞と化した右の眼孔に、この呪物を嵌め込んだのだ。
それから2年が経ち、レオナルト=ヴィッダーを殺すために、ジルバ=フリューゲルは『束縛を生み出す運命』からありったけの呪力を引き出す。彼が身体に纏っている白銀色の全身鎧は、今や黄金色に輝いている。それもそうだろう。邇邇芸《ニニギ》は雷光を自在に操る呪物なのだ。ジルバ=フリューゲルの右眼を中心として、全身に電流が走る。その電流がスパークして、彼が着こむ全身鎧を黄金色に輝かせている。
「見える、見えるぞっ! 震えて失禁している小娘たちの姿がっ! へっへっへっ……。レオナルト=ヴィッダーを殺した後に、お前たち全員、俺様のおちんこさんでよがらせてやるよっ! 孕むまで、決しておちんこさんを膣から引き抜いてやらないからなぁぁぁ!?」
ジルバ=フリューゲルは黄金色に染まる双眸をギラギラと輝かせていた。彼には前方200ミャートルほどの地点でで止まってしまっている幌付き荷馬車の荷台に居る娘たちが、自分の威に気圧されて、震えあがって見えたのだ。
しかし、それはジルバ=フリューゲルの妄想でしかなかった。蒼髪オカッパのクルス=サンティーモは身震いしながらも、牛革製の九尾の鞭の柄をしっかりと握りしめていた。そして、彼女とさほど戦力が変わらぬ断崖絶壁胸板で半猫半人のマリア=アコナイトはドキンドキン! と心臓と身体を跳ね上がらせていながらも、レオナルト=ヴィッダーに買ってもらった蝶の短刀・紅と蒼を両手に一本ずつ握りしめ、フーフー! と鼻息を荒くしていた。
「うゥ。レオン様……。とても怖いですけど、イク時と逝く時は同じベッドの上ですゥ!」
「あちきの身体が武者震いでガクガクブルブルと振るえあがっているニャン! レオン様、いつでも特攻を命じてくれだニャン!」
「ああ、頼りにしてるぞ、ふたりとも。デーブ。頼まれてくれるか?」
「おう、任せておけってんだっ! 魔物が呼び出されたら、クルスとマリアのふたりを連れて、そっちに回れば良いんだろ?」
「チュッチュッチュ。レオン。お前の補佐にリリベルとエクレアを回すでッチュウ。馬車の方には気遣い無用でッチュウ」
「ありがとう、コッシロー。リリベル。エクレア。俺の援護を頼む。俺が俺で居られる時間を伸ばしてくれ」
「わたしはレオの盾であり、剣よ。レオひとりに戦わせることは決してないわ」
「あたしもレオン様の彼女であり、正妻なのです~~~。リリベル様。レオン様といっしょに生きて帰ってくるのです~~~!!」
レオナルト=ヴィッダーはリリベル=ユーリィに肩を貸してもらいながら、幌付き荷馬車の後ろ側から、外へと降りる。それに続いて、エクレア=シューが荷台から降りて、乾いた大地に足を乗せる。彼らの眼前、150ミャートルほど先には黄金色に包まれたジルバ=フリューゲルの姿が見えた。
まず、動いたのはリリベル=ユーリィであった。ジルバ=フリューゲルがこれ以上、荷馬車に接近出来ないようにと、彼女が足止めを買ってでたのである。リリベル=ユーリィは右の腕先に装着している奇稲田姫から呪力を引き出す。リリベル=ユーリィは薔薇乙女の細剣を右手に持ちながら、一直線にジルバ=フリューゲルへと駆け出す。
「ふんっ。女を最初に俺様にあてがってくるってかっ! なめられたもんだなぁぁぁ!?」
ジルバ=フリューゲルの右眼はますます光り輝いていた。ぎらつく右眼で、自分に真っ直ぐ向かってくる紅に包まれた女騎士を睨みつける。そうすると同時に、どこからともなく雷雲が女騎士の頭上30ミャートル地点に現出する。雷雲が現れたと思うや否や、その黒々とした雲から光の束が地上に向かって降り注がれることとなる。
しかしながら、リリベル=ユーリィは頭上から降ってくる雷光に一切、視線を持っていくことはなかった。ただ真っ直ぐにジルバ=フリューゲルを睨みつけていた。レオナルト=ヴィッダーにジルバ=フリューゲルとは何者なのかと説明を受けており、恐怖よりも怒りのほうがよっぽど、彼女の心を支配してたからである。
雷雲から放たれた光の束が0.1秒もかからずにリリベル=ユーリィの頭上から降ってくる。しかし、その雷光は1本たりとて、リリベル=ユーリィの身を穿つことは無かった。それもそうだろう。リリベル=ユーリィはエクレア=シューの魔術によって生み出された海色の魔術障壁に包まれている。
リリベル=ユーリィは駆けた。乾いた大地を紅色の金属ブーツで踏み、蹴り、それを勢いとしてどんどん加速していく。彼女の走る速度が増すごとに、彼女の身体に装着されている紅の部分鎧もそのパーツを増やしていく。彼女の右手に握る薔薇乙女の細剣と、ジルバ=フリューゲルが両手で持つ大剣が交差する間際において、リリベル=ユーリィは薔薇騎士へと変貌を終えていた。
「くはっ! 良い斬撃だぜっ! 想いが込められているだけに重い1撃だっ!!」
「クソつまらないジョークね。誰もクスリとも笑わないわよっ!!」
ジルバ=フリューゲルが振るっている大剣の名前は『雷斬り』である。神話の時代に3本の首を持つ雷鳴の竜を退治したと言われる英雄がいた。地に伏した雷鳴の竜の尾の中に1本の剣が隠されていた。その英雄が雷鳴の竜を倒した後、ドラゴンテールのステーキを食そうと、その手に持つ剣で切断しようとしたところ、その剣が欠けてしまったのだ。
英雄は雷鳴の竜の尾の中に隠されていた『雷斬り』を用いて、さらに勇名を馳せることとなる。それから数百年単位の年月が流れ、『雷斬り』の現所有者はジルバ=フリューゲルとなる。
「俺様と真っ向勝負してくるたぁ、孕ませがいのある女だぜっ! 半殺しで済ませてやるよぉぉぉ!?」
「あんたなんかに抱かれる気は無いわ。あんたの汚いおちんこさんを切り落としてやるっ!」
「いいねえぇぇぇ。いいねぇぇぇ。気の強い女は好きだぜ? そんな女を組み伏せて、よがらせて、潮を吹かせるのは最高に気分が良いからなぁぁぁ!?」
それから2年が経ち、レオナルト=ヴィッダーを殺すために、ジルバ=フリューゲルは『束縛を生み出す運命』からありったけの呪力を引き出す。彼が身体に纏っている白銀色の全身鎧は、今や黄金色に輝いている。それもそうだろう。邇邇芸《ニニギ》は雷光を自在に操る呪物なのだ。ジルバ=フリューゲルの右眼を中心として、全身に電流が走る。その電流がスパークして、彼が着こむ全身鎧を黄金色に輝かせている。
「見える、見えるぞっ! 震えて失禁している小娘たちの姿がっ! へっへっへっ……。レオナルト=ヴィッダーを殺した後に、お前たち全員、俺様のおちんこさんでよがらせてやるよっ! 孕むまで、決しておちんこさんを膣から引き抜いてやらないからなぁぁぁ!?」
ジルバ=フリューゲルは黄金色に染まる双眸をギラギラと輝かせていた。彼には前方200ミャートルほどの地点でで止まってしまっている幌付き荷馬車の荷台に居る娘たちが、自分の威に気圧されて、震えあがって見えたのだ。
しかし、それはジルバ=フリューゲルの妄想でしかなかった。蒼髪オカッパのクルス=サンティーモは身震いしながらも、牛革製の九尾の鞭の柄をしっかりと握りしめていた。そして、彼女とさほど戦力が変わらぬ断崖絶壁胸板で半猫半人のマリア=アコナイトはドキンドキン! と心臓と身体を跳ね上がらせていながらも、レオナルト=ヴィッダーに買ってもらった蝶の短刀・紅と蒼を両手に一本ずつ握りしめ、フーフー! と鼻息を荒くしていた。
「うゥ。レオン様……。とても怖いですけど、イク時と逝く時は同じベッドの上ですゥ!」
「あちきの身体が武者震いでガクガクブルブルと振るえあがっているニャン! レオン様、いつでも特攻を命じてくれだニャン!」
「ああ、頼りにしてるぞ、ふたりとも。デーブ。頼まれてくれるか?」
「おう、任せておけってんだっ! 魔物が呼び出されたら、クルスとマリアのふたりを連れて、そっちに回れば良いんだろ?」
「チュッチュッチュ。レオン。お前の補佐にリリベルとエクレアを回すでッチュウ。馬車の方には気遣い無用でッチュウ」
「ありがとう、コッシロー。リリベル。エクレア。俺の援護を頼む。俺が俺で居られる時間を伸ばしてくれ」
「わたしはレオの盾であり、剣よ。レオひとりに戦わせることは決してないわ」
「あたしもレオン様の彼女であり、正妻なのです~~~。リリベル様。レオン様といっしょに生きて帰ってくるのです~~~!!」
レオナルト=ヴィッダーはリリベル=ユーリィに肩を貸してもらいながら、幌付き荷馬車の後ろ側から、外へと降りる。それに続いて、エクレア=シューが荷台から降りて、乾いた大地に足を乗せる。彼らの眼前、150ミャートルほど先には黄金色に包まれたジルバ=フリューゲルの姿が見えた。
まず、動いたのはリリベル=ユーリィであった。ジルバ=フリューゲルがこれ以上、荷馬車に接近出来ないようにと、彼女が足止めを買ってでたのである。リリベル=ユーリィは右の腕先に装着している奇稲田姫から呪力を引き出す。リリベル=ユーリィは薔薇乙女の細剣を右手に持ちながら、一直線にジルバ=フリューゲルへと駆け出す。
「ふんっ。女を最初に俺様にあてがってくるってかっ! なめられたもんだなぁぁぁ!?」
ジルバ=フリューゲルの右眼はますます光り輝いていた。ぎらつく右眼で、自分に真っ直ぐ向かってくる紅に包まれた女騎士を睨みつける。そうすると同時に、どこからともなく雷雲が女騎士の頭上30ミャートル地点に現出する。雷雲が現れたと思うや否や、その黒々とした雲から光の束が地上に向かって降り注がれることとなる。
しかしながら、リリベル=ユーリィは頭上から降ってくる雷光に一切、視線を持っていくことはなかった。ただ真っ直ぐにジルバ=フリューゲルを睨みつけていた。レオナルト=ヴィッダーにジルバ=フリューゲルとは何者なのかと説明を受けており、恐怖よりも怒りのほうがよっぽど、彼女の心を支配してたからである。
雷雲から放たれた光の束が0.1秒もかからずにリリベル=ユーリィの頭上から降ってくる。しかし、その雷光は1本たりとて、リリベル=ユーリィの身を穿つことは無かった。それもそうだろう。リリベル=ユーリィはエクレア=シューの魔術によって生み出された海色の魔術障壁に包まれている。
リリベル=ユーリィは駆けた。乾いた大地を紅色の金属ブーツで踏み、蹴り、それを勢いとしてどんどん加速していく。彼女の走る速度が増すごとに、彼女の身体に装着されている紅の部分鎧もそのパーツを増やしていく。彼女の右手に握る薔薇乙女の細剣と、ジルバ=フリューゲルが両手で持つ大剣が交差する間際において、リリベル=ユーリィは薔薇騎士へと変貌を終えていた。
「くはっ! 良い斬撃だぜっ! 想いが込められているだけに重い1撃だっ!!」
「クソつまらないジョークね。誰もクスリとも笑わないわよっ!!」
ジルバ=フリューゲルが振るっている大剣の名前は『雷斬り』である。神話の時代に3本の首を持つ雷鳴の竜を退治したと言われる英雄がいた。地に伏した雷鳴の竜の尾の中に1本の剣が隠されていた。その英雄が雷鳴の竜を倒した後、ドラゴンテールのステーキを食そうと、その手に持つ剣で切断しようとしたところ、その剣が欠けてしまったのだ。
英雄は雷鳴の竜の尾の中に隠されていた『雷斬り』を用いて、さらに勇名を馳せることとなる。それから数百年単位の年月が流れ、『雷斬り』の現所有者はジルバ=フリューゲルとなる。
「俺様と真っ向勝負してくるたぁ、孕ませがいのある女だぜっ! 半殺しで済ませてやるよぉぉぉ!?」
「あんたなんかに抱かれる気は無いわ。あんたの汚いおちんこさんを切り落としてやるっ!」
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