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第22章:光り輝く存在
第6話:不遜で傲慢な存在
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トーマス=ロコモーティブは歓喜に震えていた。天空から刺し込まれた一条の光は彼に多大な安心感と共に、抱擁されている感覚を与えていたのだ。それがトーマス=ロコモーティブの正義感を強める結果となり、彼の言葉は『御言葉』となる。そして、不遜にも、自分に稲光が伴う刃を叩きこもうとしているかのレオナルト=ヴィッダーの身体を内部から揺さぶっていた。
レオナルト=ヴィッダーは衝撃波が身体を通過するたびに、口からも鮮血を吐く。トーマス=ロコモーティブがのたまう台詞そのものがエネルギーの塊となり、レオナルト=ヴィッダーの身体の内側にもダメージを蓄積させたのだ。レオナルト=ヴィッダーは白い歯を赤い血で汚しながらも、力強く一歩を踏み出そうとした。
そして、その行為自体が不遜だとばかりにトーマス=ロコモーティブは高らかに『歌』を唄ってみせる。ラーララ―、ラーララ―とまるで神を賛美するかのような声がトーマス=ロコモーティブの口から吐き出され、それがトーマス=ロコモーティブの光体と化した上半身を振動させる。振動した上半身がその振動エネルギーを衝撃波と変える。その衝撃波がレオナルト=ヴィッダーの肉体を切り刻む刃と化す。
(あと3歩。いや、2歩で良い。俺の足よ、前に出やがれっ。素戔嗚、俺に暴風から身を護る鎧をよこしやがれっ!)
レオナルト=ヴィッダーはうんともすんとも言わぬ素戔嗚に対して、悪態をつきたくなってしまう。いつもリリベル=ユーリィやクルス=サンティーモのケツ穴を穿っている時は必要以上に呪力をおちんこさんに流し込もうとしてくるというのに、半分、光体と化したトーマス=ロコモーティブと対峙している今では、雷斬りを現出しただけに留まり、それ以上の呪力の供給を行ってくれようともしなかった。
まるで自分の力のみで、眼の前の難敵を倒してみせろとでも言わしめん態度を貫く素戔嗚であった。レオナルト=ヴィッダーは血がしたたる舌でチッ! と盛大に舌打ちしてみせる。それに呼応して、今更ながらに左の腕先に装着している黒を基調とした手甲が細かく振動し始めたのである。
(ようやく喝が入ったってか。おい、素戔嗚。俺から持っていきたいモノがあったら、好きに持っていけ。その代わり、俺にこの衝撃波を防ぐ鎧を寄こせっ!)
レオナルト=ヴィッダーが心の中で悪態をつくや否や、右手で稲光を伴っているカタナが見る見るうちに消えていく。レオナルト=ヴィッダーがおいおいっ! と素戔嗚にツッコミを入れそうになるが、素戔嗚は喰らうモノを喰らったと言わんばかりに、レオナルト=ヴィッダーの身体全体を黒いオーラで包み込む。そして、黒いオーラが衝撃波で吹き飛ばさると、レオナルト=ヴィッダーは黒い獣と化していた。
全身を真っ黒な全身鎧で覆われ、頭はオープン型フルフェイス兜に包まれていた。そして、その兜は狼の頭のような形をしており、獰猛な狼歯をいくつも生やしていたのである。
「ウォォォォォン!!」
レオナルト=ヴィッダーは真っ黒な獣の全身鎧をその身に装着すると同時に、狼が敵を威嚇するかのような吼え声をあげる。大気が振動し、トーマス=ロコモーティブが放つ讃美歌とぶつかり合う。そうすることで、レオナルト=ヴィッダーはトーマス=ロコモーティブの放つ衝撃波を打ち消し、さらには彼が歌う讃美歌すらも無効化してしまった。
2人の戦いを見守っていたエクレア=シューたちは耳鳴りを感じることとなる。それは無音すぎて起きたと言っても過言ではなかった。レオナルト=ヴィッダーが獣の雄叫びをあげることで、トーマス=ロコモーティブの讃美歌を打ち消したということは、そこには無音状態が起きるということである。それゆえに、何も聞こえない空間が出来上がり、エクレア=シューたちの鼓膜にキーーーンという異質な音が鳴り響くことになる。
耳に鳴り響く痛い音に驚いたエクレア=シューたちが口をパクパクと開くが、そこから声が発せられることはなかった。それほどまでに無音な空間が出来上がり、異常を察したエクレア=シューたちは何かを言わんと口をますます開閉させる。
「へっ。そんなに慌てんなって。今から決着だ。俺の雄姿を黙って見てるんだ」
無音状態だというのに、レオナルト=ヴィッダーの声だけは透き通るように、エクレア=シューたちに聞こえる。いや、実際にレオナルト=ヴィッダーは口から声を出せたわけではない。直接、エクレア=シューたちの脳内にレオナルト=ヴィッダーの声が響いたのである。そして、レオナルト=ヴィッダーの言葉を受け取ったエクレア=シューたちは、一様にコクリと首を縦に振ってみせる。
トーマス=ロコモーティブは喉に手を当てて、カハッカハッ! と口から音が出るようにと試す所作をしていた。あの方を称える讃美歌が音にならないことを察して、大きく動揺していたのだ、彼は。眼は焦点が合わず、ギョロギョロと眼玉が動き、明後日の方向を向いていた。そんなトーマス=ロコモーティブに拳を叩きこめるほどの距離までレオナルト=ヴィッダーが近づく。
「この一発はソフィア=グレイプを泣かせた分。この一発がソフィア=グレイプを騙した分。そして、この一発こそ、ソフィア=グレイプの怒りそのものだっ!!」
レオナルト=ヴィッダーは左の拳でトーマス=ロコモーティブの右頬をぶん殴る。続く右の拳で右側に倒れ込んでいくトーマス=ロコモーティブの左わき腹を穿つ。そして、トドメの一撃は左の拳で行われた。レオナルト=ヴィッダーは左の拳を斜め下から斜め上へと振り上げる。ヒトの肝臓がある部分にレオナルト=ヴィッダーの左の拳がめり込み、さらにはトーマス=ロコモーティブの背中側へと貫通するのであった。
「あの方に与えられた光体を貫く……!? 貴様はあの方に対して、畏れることを知らぬのか!?」
「あの方ってのは、どいつのことかわからねえが、そいつに会ったら言っておけ。『俺は悪くねえっ!』ってな。俺を殺そうとするなら、てめえの喉笛に噛みついてやることになるってのも付け加えておいてくれ」
「なんたる不遜! なんたる傲慢! 貴様はやはり、ここで素戔嗚共々、死なねばならぬ存在ッ!!」
「うるせえつってんだっ! あんたの代わりにソフィア=グレイプは俺が幸せにしておくぜっ! じゃあなっ!」
トーマス=ロコモーティブはレオナルト=ヴィッダーが自分の光体と化した身体にぶっこんだ左腕を両手で掴んでいた。それを為したレオナルト=ヴィッダーを光り輝く瞳で睨み殺さんとばかりの目力を発していたが、レオナルト=ヴィッダーはさも気にした様子もない。そして、あの方に対する侮辱の限りを尽くすレオナルト=ヴィッダーを懲らしめんとばかりに光体から発する光の量を増やす。
レオナルト=ヴィッダーは衝撃波が身体を通過するたびに、口からも鮮血を吐く。トーマス=ロコモーティブがのたまう台詞そのものがエネルギーの塊となり、レオナルト=ヴィッダーの身体の内側にもダメージを蓄積させたのだ。レオナルト=ヴィッダーは白い歯を赤い血で汚しながらも、力強く一歩を踏み出そうとした。
そして、その行為自体が不遜だとばかりにトーマス=ロコモーティブは高らかに『歌』を唄ってみせる。ラーララ―、ラーララ―とまるで神を賛美するかのような声がトーマス=ロコモーティブの口から吐き出され、それがトーマス=ロコモーティブの光体と化した上半身を振動させる。振動した上半身がその振動エネルギーを衝撃波と変える。その衝撃波がレオナルト=ヴィッダーの肉体を切り刻む刃と化す。
(あと3歩。いや、2歩で良い。俺の足よ、前に出やがれっ。素戔嗚、俺に暴風から身を護る鎧をよこしやがれっ!)
レオナルト=ヴィッダーはうんともすんとも言わぬ素戔嗚に対して、悪態をつきたくなってしまう。いつもリリベル=ユーリィやクルス=サンティーモのケツ穴を穿っている時は必要以上に呪力をおちんこさんに流し込もうとしてくるというのに、半分、光体と化したトーマス=ロコモーティブと対峙している今では、雷斬りを現出しただけに留まり、それ以上の呪力の供給を行ってくれようともしなかった。
まるで自分の力のみで、眼の前の難敵を倒してみせろとでも言わしめん態度を貫く素戔嗚であった。レオナルト=ヴィッダーは血がしたたる舌でチッ! と盛大に舌打ちしてみせる。それに呼応して、今更ながらに左の腕先に装着している黒を基調とした手甲が細かく振動し始めたのである。
(ようやく喝が入ったってか。おい、素戔嗚。俺から持っていきたいモノがあったら、好きに持っていけ。その代わり、俺にこの衝撃波を防ぐ鎧を寄こせっ!)
レオナルト=ヴィッダーが心の中で悪態をつくや否や、右手で稲光を伴っているカタナが見る見るうちに消えていく。レオナルト=ヴィッダーがおいおいっ! と素戔嗚にツッコミを入れそうになるが、素戔嗚は喰らうモノを喰らったと言わんばかりに、レオナルト=ヴィッダーの身体全体を黒いオーラで包み込む。そして、黒いオーラが衝撃波で吹き飛ばさると、レオナルト=ヴィッダーは黒い獣と化していた。
全身を真っ黒な全身鎧で覆われ、頭はオープン型フルフェイス兜に包まれていた。そして、その兜は狼の頭のような形をしており、獰猛な狼歯をいくつも生やしていたのである。
「ウォォォォォン!!」
レオナルト=ヴィッダーは真っ黒な獣の全身鎧をその身に装着すると同時に、狼が敵を威嚇するかのような吼え声をあげる。大気が振動し、トーマス=ロコモーティブが放つ讃美歌とぶつかり合う。そうすることで、レオナルト=ヴィッダーはトーマス=ロコモーティブの放つ衝撃波を打ち消し、さらには彼が歌う讃美歌すらも無効化してしまった。
2人の戦いを見守っていたエクレア=シューたちは耳鳴りを感じることとなる。それは無音すぎて起きたと言っても過言ではなかった。レオナルト=ヴィッダーが獣の雄叫びをあげることで、トーマス=ロコモーティブの讃美歌を打ち消したということは、そこには無音状態が起きるということである。それゆえに、何も聞こえない空間が出来上がり、エクレア=シューたちの鼓膜にキーーーンという異質な音が鳴り響くことになる。
耳に鳴り響く痛い音に驚いたエクレア=シューたちが口をパクパクと開くが、そこから声が発せられることはなかった。それほどまでに無音な空間が出来上がり、異常を察したエクレア=シューたちは何かを言わんと口をますます開閉させる。
「へっ。そんなに慌てんなって。今から決着だ。俺の雄姿を黙って見てるんだ」
無音状態だというのに、レオナルト=ヴィッダーの声だけは透き通るように、エクレア=シューたちに聞こえる。いや、実際にレオナルト=ヴィッダーは口から声を出せたわけではない。直接、エクレア=シューたちの脳内にレオナルト=ヴィッダーの声が響いたのである。そして、レオナルト=ヴィッダーの言葉を受け取ったエクレア=シューたちは、一様にコクリと首を縦に振ってみせる。
トーマス=ロコモーティブは喉に手を当てて、カハッカハッ! と口から音が出るようにと試す所作をしていた。あの方を称える讃美歌が音にならないことを察して、大きく動揺していたのだ、彼は。眼は焦点が合わず、ギョロギョロと眼玉が動き、明後日の方向を向いていた。そんなトーマス=ロコモーティブに拳を叩きこめるほどの距離までレオナルト=ヴィッダーが近づく。
「この一発はソフィア=グレイプを泣かせた分。この一発がソフィア=グレイプを騙した分。そして、この一発こそ、ソフィア=グレイプの怒りそのものだっ!!」
レオナルト=ヴィッダーは左の拳でトーマス=ロコモーティブの右頬をぶん殴る。続く右の拳で右側に倒れ込んでいくトーマス=ロコモーティブの左わき腹を穿つ。そして、トドメの一撃は左の拳で行われた。レオナルト=ヴィッダーは左の拳を斜め下から斜め上へと振り上げる。ヒトの肝臓がある部分にレオナルト=ヴィッダーの左の拳がめり込み、さらにはトーマス=ロコモーティブの背中側へと貫通するのであった。
「あの方に与えられた光体を貫く……!? 貴様はあの方に対して、畏れることを知らぬのか!?」
「あの方ってのは、どいつのことかわからねえが、そいつに会ったら言っておけ。『俺は悪くねえっ!』ってな。俺を殺そうとするなら、てめえの喉笛に噛みついてやることになるってのも付け加えておいてくれ」
「なんたる不遜! なんたる傲慢! 貴様はやはり、ここで素戔嗚共々、死なねばならぬ存在ッ!!」
「うるせえつってんだっ! あんたの代わりにソフィア=グレイプは俺が幸せにしておくぜっ! じゃあなっ!」
トーマス=ロコモーティブはレオナルト=ヴィッダーが自分の光体と化した身体にぶっこんだ左腕を両手で掴んでいた。それを為したレオナルト=ヴィッダーを光り輝く瞳で睨み殺さんとばかりの目力を発していたが、レオナルト=ヴィッダーはさも気にした様子もない。そして、あの方に対する侮辱の限りを尽くすレオナルト=ヴィッダーを懲らしめんとばかりに光体から発する光の量を増やす。
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