42 / 81
第4章:浮島に至る道
7:温泉
しおりを挟む
ロージーたちは路銀の関係からオダニの街でも安宿を借りようとしていた。だが、ここで困ったことが起きてしまう。
「駄目ね……。この宿屋もすでに満室みたい……」
「うーーーん。収穫祭が終わったっていうのに、なんで街中の安宿が満室になっているんだろうな? なんか、人が集まるようなイベント事でもあったっけ?」
ロージーとクロードが不思議に思うのも仕方の無いことだった。他の普通の家族が泊まるような宿屋は部屋が空いているのだが、安宿だけがどこも満室だったのである。ロージーたちは仕方が無いとばかりに普通の宿屋で2人部屋を1室、借りることとなる。そして、そこの宿屋のご主人に何故、安宿が今日に限って、どこも満室なのかの理由を聞かされることになったのであった。
「ああ。なんでもこの街の近くで大型の魔物が出現したって話なんだべ。それで、火の国:イズモで一番大きな冒険者一門が、この街で寝泊まりすることになったんだべ」
火の国:イズモにはいくつかの大きな冒険者一門が存在したのである。その中でも3大一門のひとつと呼ばれる【欲望の団】がこのオダニの街にやってきたのであった。その【欲望の団】に所属する40数名の冒険者が周辺の安宿を占拠してしまったという話であった。
「迷惑この上無いわね……。そいつらのせいで無駄に出費しちゃったじゃないの……」
オダニの街の普通の宿の場合、2人部屋は1泊、銀貨15枚(注:日本円で1万5千円)もする。もちろん、食事と酒代も込みなのだが、銀貨3枚の安宿に比べれば5倍の利用料金なのである。いくら食事が提供されると言っても、これでは元を取れるわけがないとロージーはこの時点では思っていたのだ。
しかし、クロードとしては3日ぶりにベッドの上で眠れることに嬉しさもあったのだ。安宿のベッドサイズはシングルか、ダブルであったとしても小さめであり、クロードが眠るスペースなど、どこにもなかったのだ。
「ちなみにシングルサイズのベッドが部屋にふたつあるだべが、あんたさんがたが食事を楽しんでいる間に、ベッドとベッドをくっつけておくだべか?」
どこの宿屋の主人も何故か、若い男女のカップルには要らぬ気を使ってくれるのがロージーには不思議でたまらなかった。もちろん、ロージーとしても、クロードが近くで寝てくれれば安心感は跳ね上がる。しかし、それと同時に不安感も跳ね上がるのは、ロージーがまだまだ若いせいでもあるのだろうか?
(うーーーん。『制約』のこともあるから、クロがわたしに手を出してくる心配はほぼ無いんだけど……。ちょっとした旅だから、今履いてるのは婦人用ショーツなのよね……。もしもの場合にこんなダサいショーツをクロに見られることになると思うと、わたし、別の意味で恥ずかしすぎるわ……)
乙女心は複雑といったところなのであろう。想い人に自分の身体を隅々まで見てほしいと思う心とは裏腹に、ださい婦人用ショーツを見られたくないといったところなのだ。
「うーーーん。せっかくだし、ベッドはくっつけてもらっておこうか?」
(えっ!? ちょっと、クロ、あなたは一体、何を言っているのよ!?)
ロージーが声にならぬ声で口をパクパクとさせているのだが、クロードはお構いなしに宿屋の主人と食事は部屋にもってきてもらえるのか? とか、風呂はどこにあるのかと矢継ぎ早に質問をするのであった。
「へえ。食事は頼まれれば、部屋に持っていきますが、その場合はサービス料をもらっておりますだべ」
「そうか……。それはちょっと嫌だな……。なあ、ロージー。料理は食堂で食べようか?」
「え、ええ。そ、そうね。ただでさえ出費がかさんでいるのに、サービス料を取られるのは癪にさわるわよね!?」
「ほい、わかった。んじゃ、ご主人。食事は食堂で取らせてもらうよ。酒も好きなモノを頼んでいいんだよな?」
「へいへい。うちはバイキング形式になっているんで、テーブルに並んでいる酒類なら好きなモノを選んでくれて良いんだべ。でも、高級ワインが欲しくなったら言ってくれだべ? 用意させてもらうんだべ。もちろん、別料金だべが? うへへっ!」
商魂たくましいとはまさにこのご主人のことを指すのであろう。さらっと、追加料金を取ろうとしてくるのである。クロードはへいへいとご主人の話を流すのである。
宿屋の主人との話を終えた2人は荷物を部屋に置いたあと、宿屋に併設されている温泉に浸かることになる。安宿の5倍である1泊銀貨15枚を請求するだけあって、風呂の施設も充実したモノであった。ロージーは元が取れるのかと心配したモノだが、足が延ばせる風呂に入れたのは、まだ彼女が貴族だった時代以来であったのだ。
ポメラニア帝国内の風呂と言えば、沸かした湯を桶に入れて、そこにタオルを突っ込み、お湯で濡らしたタオルで身体を拭くのが一般的であった。風の国:オソロシアでは、それでは寒すぎるので、金のあるご家庭では蒸し風呂が普及していた。
そして、火の国:イズモは地の底から湯が沸き立つ土地柄であり、その湯を用いて【温泉】を敷設している宿屋が数多く存在したのである。この大神殿のあるオダニの街は温泉街としてもポメラニア帝国内では有名であったのだ。
ロージーたちが2年間過ごした一軒家の一番近くの町では残念ながら、温泉施設が存在しなかったために、せっかく火の国:イズモにやってきたというのに温泉を味わう機会がまったくもってなかったのである。
「ふう……。気持ちいい……。このまま、お湯に浸かっているだけで寝ちゃいそう……」
ロージーは湯舟に身体をすっぽりと浸からせていた。このちょうど良い湯加減が、ここ2年余りに蓄積した疲労が全て湯の中に溶けだしていきそうであった。
「ふんふん、ふ~~~ん」
ロージーは心地よい気分のために、つい鼻歌交じりになってしまうのである。他の湯あみ客がいるというのに、その鼻歌は止まらないのであった。
「あんらまあ。なんともご機嫌なんねー?」
湯あみ客の女性がひとり、ロージーの横にそっと滑り込むように湯舟の中に浸かるのである。
「え、ええ。足を延ばせるお風呂なんて、すっごく久しぶりなんで……」
ロージーはその女性に声をかけられて気恥ずかしく思ってしまう。だが、その女性は、うふふと笑い、気になさんねー? と気配りしてもらうのであった。
「よーーーく、身体をキレイにしておくんねー? 今夜はお楽しみなんねー? あたしも旦那のために身体を清めているんねー?」
「うっ、あのその……。それは何と言うか……」
ロージーはつい『制約』のことを思い出すのであった。なんで自分はクロと『誓約』を交わす時に『結婚するまで清い関係でいましょ?』と神に『約束』してしまったのだろうかと……。
(クロはよく我慢できてるわよね……。ごめんね、クロ……。わたしとエッチなことをしたかったよね……)
ロージーは湯舟にどっぷりと浸かり、口でブクブクと泡を立てるのであった……。
「駄目ね……。この宿屋もすでに満室みたい……」
「うーーーん。収穫祭が終わったっていうのに、なんで街中の安宿が満室になっているんだろうな? なんか、人が集まるようなイベント事でもあったっけ?」
ロージーとクロードが不思議に思うのも仕方の無いことだった。他の普通の家族が泊まるような宿屋は部屋が空いているのだが、安宿だけがどこも満室だったのである。ロージーたちは仕方が無いとばかりに普通の宿屋で2人部屋を1室、借りることとなる。そして、そこの宿屋のご主人に何故、安宿が今日に限って、どこも満室なのかの理由を聞かされることになったのであった。
「ああ。なんでもこの街の近くで大型の魔物が出現したって話なんだべ。それで、火の国:イズモで一番大きな冒険者一門が、この街で寝泊まりすることになったんだべ」
火の国:イズモにはいくつかの大きな冒険者一門が存在したのである。その中でも3大一門のひとつと呼ばれる【欲望の団】がこのオダニの街にやってきたのであった。その【欲望の団】に所属する40数名の冒険者が周辺の安宿を占拠してしまったという話であった。
「迷惑この上無いわね……。そいつらのせいで無駄に出費しちゃったじゃないの……」
オダニの街の普通の宿の場合、2人部屋は1泊、銀貨15枚(注:日本円で1万5千円)もする。もちろん、食事と酒代も込みなのだが、銀貨3枚の安宿に比べれば5倍の利用料金なのである。いくら食事が提供されると言っても、これでは元を取れるわけがないとロージーはこの時点では思っていたのだ。
しかし、クロードとしては3日ぶりにベッドの上で眠れることに嬉しさもあったのだ。安宿のベッドサイズはシングルか、ダブルであったとしても小さめであり、クロードが眠るスペースなど、どこにもなかったのだ。
「ちなみにシングルサイズのベッドが部屋にふたつあるだべが、あんたさんがたが食事を楽しんでいる間に、ベッドとベッドをくっつけておくだべか?」
どこの宿屋の主人も何故か、若い男女のカップルには要らぬ気を使ってくれるのがロージーには不思議でたまらなかった。もちろん、ロージーとしても、クロードが近くで寝てくれれば安心感は跳ね上がる。しかし、それと同時に不安感も跳ね上がるのは、ロージーがまだまだ若いせいでもあるのだろうか?
(うーーーん。『制約』のこともあるから、クロがわたしに手を出してくる心配はほぼ無いんだけど……。ちょっとした旅だから、今履いてるのは婦人用ショーツなのよね……。もしもの場合にこんなダサいショーツをクロに見られることになると思うと、わたし、別の意味で恥ずかしすぎるわ……)
乙女心は複雑といったところなのであろう。想い人に自分の身体を隅々まで見てほしいと思う心とは裏腹に、ださい婦人用ショーツを見られたくないといったところなのだ。
「うーーーん。せっかくだし、ベッドはくっつけてもらっておこうか?」
(えっ!? ちょっと、クロ、あなたは一体、何を言っているのよ!?)
ロージーが声にならぬ声で口をパクパクとさせているのだが、クロードはお構いなしに宿屋の主人と食事は部屋にもってきてもらえるのか? とか、風呂はどこにあるのかと矢継ぎ早に質問をするのであった。
「へえ。食事は頼まれれば、部屋に持っていきますが、その場合はサービス料をもらっておりますだべ」
「そうか……。それはちょっと嫌だな……。なあ、ロージー。料理は食堂で食べようか?」
「え、ええ。そ、そうね。ただでさえ出費がかさんでいるのに、サービス料を取られるのは癪にさわるわよね!?」
「ほい、わかった。んじゃ、ご主人。食事は食堂で取らせてもらうよ。酒も好きなモノを頼んでいいんだよな?」
「へいへい。うちはバイキング形式になっているんで、テーブルに並んでいる酒類なら好きなモノを選んでくれて良いんだべ。でも、高級ワインが欲しくなったら言ってくれだべ? 用意させてもらうんだべ。もちろん、別料金だべが? うへへっ!」
商魂たくましいとはまさにこのご主人のことを指すのであろう。さらっと、追加料金を取ろうとしてくるのである。クロードはへいへいとご主人の話を流すのである。
宿屋の主人との話を終えた2人は荷物を部屋に置いたあと、宿屋に併設されている温泉に浸かることになる。安宿の5倍である1泊銀貨15枚を請求するだけあって、風呂の施設も充実したモノであった。ロージーは元が取れるのかと心配したモノだが、足が延ばせる風呂に入れたのは、まだ彼女が貴族だった時代以来であったのだ。
ポメラニア帝国内の風呂と言えば、沸かした湯を桶に入れて、そこにタオルを突っ込み、お湯で濡らしたタオルで身体を拭くのが一般的であった。風の国:オソロシアでは、それでは寒すぎるので、金のあるご家庭では蒸し風呂が普及していた。
そして、火の国:イズモは地の底から湯が沸き立つ土地柄であり、その湯を用いて【温泉】を敷設している宿屋が数多く存在したのである。この大神殿のあるオダニの街は温泉街としてもポメラニア帝国内では有名であったのだ。
ロージーたちが2年間過ごした一軒家の一番近くの町では残念ながら、温泉施設が存在しなかったために、せっかく火の国:イズモにやってきたというのに温泉を味わう機会がまったくもってなかったのである。
「ふう……。気持ちいい……。このまま、お湯に浸かっているだけで寝ちゃいそう……」
ロージーは湯舟に身体をすっぽりと浸からせていた。このちょうど良い湯加減が、ここ2年余りに蓄積した疲労が全て湯の中に溶けだしていきそうであった。
「ふんふん、ふ~~~ん」
ロージーは心地よい気分のために、つい鼻歌交じりになってしまうのである。他の湯あみ客がいるというのに、その鼻歌は止まらないのであった。
「あんらまあ。なんともご機嫌なんねー?」
湯あみ客の女性がひとり、ロージーの横にそっと滑り込むように湯舟の中に浸かるのである。
「え、ええ。足を延ばせるお風呂なんて、すっごく久しぶりなんで……」
ロージーはその女性に声をかけられて気恥ずかしく思ってしまう。だが、その女性は、うふふと笑い、気になさんねー? と気配りしてもらうのであった。
「よーーーく、身体をキレイにしておくんねー? 今夜はお楽しみなんねー? あたしも旦那のために身体を清めているんねー?」
「うっ、あのその……。それは何と言うか……」
ロージーはつい『制約』のことを思い出すのであった。なんで自分はクロと『誓約』を交わす時に『結婚するまで清い関係でいましょ?』と神に『約束』してしまったのだろうかと……。
(クロはよく我慢できてるわよね……。ごめんね、クロ……。わたしとエッチなことをしたかったよね……)
ロージーは湯舟にどっぷりと浸かり、口でブクブクと泡を立てるのであった……。
0
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。
【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!
加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。
カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。
落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。
そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。
器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。
失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。
過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。
これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。
彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。
毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる