【完結】華麗なるマチルダの密約

氷 豹人

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深夜まで待てない2※

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「あ……ああ……いや……」
 素肌を晒したマチルダは、身をくねらせて首を振った。
「こ、これでは、まるで……動物だわ……」
 ベッドの上で四つ這いになり、尻を背後にいるロイに突き出している。まさに、生物学で学んだ動物の交尾そのままの格好に、マチルダは耳の先まで赤く染めた。
「人間も動物だ、マチルダ」
「そ、そう言う意味では……なくて……」
 ああ、とマチルダが顎を仰け反らせる。
「それに、湖畔でしたときも、似たような格好だっただろ」
「あ、あのときは……膝はついていないわ……」
 マチルダの中では、全く別物らしい。
「同じようなものだろ」
「全然、違うわ! ああ! 」
 マチルダが叫んだ。
 ロイの舌が、すでに彼だけのものである裂け目に差し入れられたからだ。
 時には優しく、時には激しい彼の舌遣い。
 今日はいつもとは別の角度から入り込んだことで、マチルダの官能は余計に倍増する。
 襞を丁寧に滑って、小さな突起を吸い上げ、溢れる蜜を吸い上げる。彼女の欲を膨らませるその動きには何ら無駄がない。
 ロイは、マチルダの理性を飛ばせるのが巧みだ。
「待って。ロイ」
 待ち切れずに侵入しようとしたロイを、マチルダが止めた。
 ロイは早くマチルダの中へ潜りたくて仕方ないと、先端からはぬるついた雫を垂らしている。
「わ、私も……」
 顔だけ振り向いたマチルダは、扇状的な仕草で、はらりと溢れた前髪を払いつつ言葉を途切れさせた。
 ロイは、その後の言葉を確実に拾う。
「本気か? 」
「ええ」
 躊躇うロイに、マチルダは艶然と微笑む。
 マチルダはするりと体を反転させると、石化したロイをそのまま仰向けに倒した。
 太腿の半分くらいまで降りたトラウザーを思い切り引っ張って、片方づつ、すぽんと引き抜く。ロイは何が起きたのかわからず、まだ石膏像化している。
 勢いづいて彼の勃ち上がった生身のものが、マチルダの頬を打った。
「マ、マチルダ! 」
 大胆な彼女に、ロイの切れ長の目がまん丸になる。声が裏返る。腹筋を使って上体を起こした。
 マチルダは軽く胸板を押し、再び彼の背中をシーツへと戻す。
 人差しを唇に当てて、悪戯っぽく微笑んだ。
「たまには私が手綱を握っても良いでしょ? 」
 いつもリードされているから、たまには自分から仕掛けて、ロイの困る顔を拝んでやりたい。
 自信に溢れたロイの顔も素敵だが、弱り切った顔も悪くはない。どちらもマチルダの好みだ。
 そのような意味だったのに、どうやらロイは言葉通りに捉えてしまったらしい。
「確かに。君の望みは叶うな」
「え? 」
「もう実行している」
 ロイの困惑した顔が見たかったのに、何故か彼は皮肉ったように口元を斜めに曲げている。
 目線を辿ったマチルダは、きゃっと小さく叫んだ。
 無意識のうちに彼のものを根元から握り込んでいたからだ。
「そ、そういう意味じゃなくて。その」
「へえ。では、どういう意味だ? 」
「バカ! 」
 真っ赤になって泡を飛ばすマチルダを、ロイはわははははと腹の底から声を張って笑った。
「そ、そんなに笑えるのも、今のうちよ! 」
 マチルダは憤怒して、意地でも彼から喘ぎ声を出させると決意した。


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