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彼方の夢2※
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アリアは熱い吐息を零す。
やっと疼きっぱなしの中へ指が潜り、それに従いびくりと五感が反応した。
確実にアリアを悦びへと導いていく。
「ああ! ケイム! 」
アリアはケイムの首に腕を回すと、彼の体を己へと引き寄せた。
「どこにも行かないで! 」
彼の体を確かに感じるのに、喪失感が半端ない。まるでするりと抜け出して永久に届かないどこかへ去ってしまいそうな。
「バカだな。俺はずっとここにいるだろ」
苦笑いが鼓膜を揺する。
それすらアリアに不安を起こさせた。
「ケイム。ケイム。どこにもいかないで。ずっとそばにいて」
まるで呪文のように繰り返さないと、今にも消えてしまいそうで。
「……うっ! 」
唐突にアリアの呪文が途絶えた。
およそ一年振りくらいの灼熱が、アリアの中心を貫いたからだ。
前触れない侵入はアリアの肉体をぐいぐいと割って、ひりひりする痛みにアリアが顔をしかめようとお構いなしだ。あまりの強引さに怖くなって逃げようとしたら、すかさず腰を捕まれ、さらに繋がりが深くなった。
内部の襞を掻き分け、ケイムは尚も奥底を目指す。
がんがんと滅茶苦茶に内壁を穿たれ、その度にアリアの体がシーツから浮いた。
幾らスプリングのきいたマットレスだとしても限界がある。激しく軋み、振動でベッドの位置がずれた。
そんなこと全く気にせず、ケイムは目を尖らせ、ひたすらアリアの深淵を穿つことに集中している。
彼の先端が容赦なく子宮口を突いて、アリアはいやいやと必死に首を振った。快楽と、それを上回る喪失感。
まだ満たされない。
もっと、彼が欲しい。彼を感じたい。
そんなアリアの本心を見透かすように、ケイムは乾きを埋めるために突き進む。
「あああああ! 」
貪欲に先端で肉壁を殴打され、いつしか柔らかくなったその最奥が開いた。
彼の先端がぬるりと開いたアリアの子宮の中へと潜る。
秘められた部分は、第三者の侵入に敏感で、内壁を掠めただけでもびくっと跳ね、頭の芯が痺れる。
「あああ! 」
快楽で頭が真っ白。
目の前で星が散る。
アリアの腹部は、ケイムの形そのものに盛り上がり、彼が蠢くたびに皮膚がぐにゃりと形を変える。
アリアはそれをまともに目にして、背徳感にくらくらと目眩を起こした。
攻め方を覚えたケイムは、緩急強弱し、アリアが意識を飛ばす寸前まで追い詰める。
アリアはあまりの気持ち良さに全ての自由を奪われて、涙を零し、鼻水を垂れ、涎を拭いもせず、繋がった隙間から愛液がひっきりなしに染み出すのも構わず、身体中のあらゆる部位からあらゆる汁を流した。
「アリア。俺はここにいるからな」
ケイムは諭すように呟く。
アリアの子宮がどくんと脈打つ。
彼は言葉通りに、アリアの中に己の存在を確かに残した。
「ケイム! 」
アリアは跳ね起きた。
室内は真っ暗だ。
サイドテーブルのランプすら点いていない。
時計の針は今、午前二時の位置にある。
アリアはいつの間にか浮いていた額の汗を手の甲で拭うと、何度か深く息を吐いて整えた。
抱きしめてくれていたはずのケイムの姿がない。
ベッドの、ケイムのいた位置がぽっかり空いている。
誰もいない。
シーツはひんやりと冷たくて、最初から隣には誰もいないことを示していた。
アリアは腹部を撫でる。
ここにいるぞ、と言わんばかりに、どんと内部から思い切り蹴り飛ばされた。
セラフィはまだちゃんと子宮の中にいる。
「……夢? 」
みるみるうちに涙が溢れてきた。
激しく抱かれたのは、幻。
束の間の幸せな夢。
まだケイムは戻って来ない。
またしても、どんどんと中から蹴られる。
「そうね。悲観してたら駄目ね」
セラフィに励まされ、アリアは涙を拭う。
泣いてばかりはいられない。
ケイムはきっと、どこかで待っている。
アリアはカーテンの隙間から覗く白い月を見据えた。
やっと疼きっぱなしの中へ指が潜り、それに従いびくりと五感が反応した。
確実にアリアを悦びへと導いていく。
「ああ! ケイム! 」
アリアはケイムの首に腕を回すと、彼の体を己へと引き寄せた。
「どこにも行かないで! 」
彼の体を確かに感じるのに、喪失感が半端ない。まるでするりと抜け出して永久に届かないどこかへ去ってしまいそうな。
「バカだな。俺はずっとここにいるだろ」
苦笑いが鼓膜を揺する。
それすらアリアに不安を起こさせた。
「ケイム。ケイム。どこにもいかないで。ずっとそばにいて」
まるで呪文のように繰り返さないと、今にも消えてしまいそうで。
「……うっ! 」
唐突にアリアの呪文が途絶えた。
およそ一年振りくらいの灼熱が、アリアの中心を貫いたからだ。
前触れない侵入はアリアの肉体をぐいぐいと割って、ひりひりする痛みにアリアが顔をしかめようとお構いなしだ。あまりの強引さに怖くなって逃げようとしたら、すかさず腰を捕まれ、さらに繋がりが深くなった。
内部の襞を掻き分け、ケイムは尚も奥底を目指す。
がんがんと滅茶苦茶に内壁を穿たれ、その度にアリアの体がシーツから浮いた。
幾らスプリングのきいたマットレスだとしても限界がある。激しく軋み、振動でベッドの位置がずれた。
そんなこと全く気にせず、ケイムは目を尖らせ、ひたすらアリアの深淵を穿つことに集中している。
彼の先端が容赦なく子宮口を突いて、アリアはいやいやと必死に首を振った。快楽と、それを上回る喪失感。
まだ満たされない。
もっと、彼が欲しい。彼を感じたい。
そんなアリアの本心を見透かすように、ケイムは乾きを埋めるために突き進む。
「あああああ! 」
貪欲に先端で肉壁を殴打され、いつしか柔らかくなったその最奥が開いた。
彼の先端がぬるりと開いたアリアの子宮の中へと潜る。
秘められた部分は、第三者の侵入に敏感で、内壁を掠めただけでもびくっと跳ね、頭の芯が痺れる。
「あああ! 」
快楽で頭が真っ白。
目の前で星が散る。
アリアの腹部は、ケイムの形そのものに盛り上がり、彼が蠢くたびに皮膚がぐにゃりと形を変える。
アリアはそれをまともに目にして、背徳感にくらくらと目眩を起こした。
攻め方を覚えたケイムは、緩急強弱し、アリアが意識を飛ばす寸前まで追い詰める。
アリアはあまりの気持ち良さに全ての自由を奪われて、涙を零し、鼻水を垂れ、涎を拭いもせず、繋がった隙間から愛液がひっきりなしに染み出すのも構わず、身体中のあらゆる部位からあらゆる汁を流した。
「アリア。俺はここにいるからな」
ケイムは諭すように呟く。
アリアの子宮がどくんと脈打つ。
彼は言葉通りに、アリアの中に己の存在を確かに残した。
「ケイム! 」
アリアは跳ね起きた。
室内は真っ暗だ。
サイドテーブルのランプすら点いていない。
時計の針は今、午前二時の位置にある。
アリアはいつの間にか浮いていた額の汗を手の甲で拭うと、何度か深く息を吐いて整えた。
抱きしめてくれていたはずのケイムの姿がない。
ベッドの、ケイムのいた位置がぽっかり空いている。
誰もいない。
シーツはひんやりと冷たくて、最初から隣には誰もいないことを示していた。
アリアは腹部を撫でる。
ここにいるぞ、と言わんばかりに、どんと内部から思い切り蹴り飛ばされた。
セラフィはまだちゃんと子宮の中にいる。
「……夢? 」
みるみるうちに涙が溢れてきた。
激しく抱かれたのは、幻。
束の間の幸せな夢。
まだケイムは戻って来ない。
またしても、どんどんと中から蹴られる。
「そうね。悲観してたら駄目ね」
セラフィに励まされ、アリアは涙を拭う。
泣いてばかりはいられない。
ケイムはきっと、どこかで待っている。
アリアはカーテンの隙間から覗く白い月を見据えた。
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