追放令嬢(20)、お忍び遊郭で最強スパイに成り上がり、私を陥れたクズ貴族どもに地獄を見せます 〜前世はエリート諜報員なので、情報操作も潜入も

虹湖🌈

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第11話:証拠集めは命がけ! (とミラクル☆プロジェクター?)

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「やるしかないわね…!」

 決意を固めたはいいものの、問題は山積みだ。特に、貴族会議で陰謀を暴露するための【証拠】。盗聴記録だけでは、奴らに「捏造だ!」と言い逃れされるのがオチだ。もっと確実な、動かぬ物証が必要になる。となれば、狙うは一つ。

(あの武器密輸倉庫…!)

 再びあの倉庫に忍び込み、武器や帳簿の現物を…は無理でも、せめて決定的な「記録」を押さえなければ。
 私はミラベルに頼み込み、夜間潜入用の装備(黒っぽい作業着と、顔を隠すためのボロ布)と、新たな秘密道具を用意してもらった。その名も、『瞬間記憶カメラ(試作品2号・たまに心霊写真が撮れる!)』(…ミラベル、ネーミングと性能の不安さはどうにかならないの!?)。なんでも、見たものを一瞬だけ水晶板に焼き付けることができるらしい。…たまに、関係ないモノも一緒に写るらしいけれど。

 深夜、私は再び地味な町娘(今回はくしゃみオプション無し版)に変装し、倉庫街へと向かった。昼間とは打って変わって、不気味なほど静まり返っている。警備の目も昼間よりは緩い…はず!
 前回の経験を活かし、建物の裏手から壁をよじ登る。うっ…令嬢にあるまじき行為! でも、背に腹は代えられないわ!
 窓から慎重に内部へ侵入。中は真っ暗だ。息を潜め、例の木箱と、隅に置かれた帳簿らしき書類の束に近づく。

(あったわ!)

 急いで『瞬間記憶カメラ』を取り出し、帳簿のページを一枚一枚、水晶板に焼き付けていく。カシャッ、カシャッ、と微かな音が響く。頼むから、変なもの写らないでよ…!
 と、その時! 倉庫の入口の方で、物音がした! まずい、誰か来た!?
 慌てて物陰に隠れる。入ってきたのは、見張りの交代の男たちだった。

「…異常なしか?」
「ああ。しかし、どうも最近、ネズミがうろついてる気がしてな…」

 心臓が飛び跳ねる! まさか、私のこと!?
 男たちが倉庫の奥へ向かって歩いてくる。見つかるのは時間の問題だ! 私はカメラを懐にしまい、脱出ルートを探す。…窓は遠い! こうなったら…!
 近くにあった麻袋を勢いよく蹴り飛ばし、大きな音を立てる!

「なんだ!?」
「あっちだ!」

 男たちが音のした方へ気を取られた隙に、私は別の窓から飛び降り、闇の中へと駆け出した!
(ふぅ…危なかったわ…! でも、これで証拠は…って、あれ?)
 懐のカメラを確認すると、水晶板には帳簿の記録と共に、なぜか陽気な顔のオジサンの霊(?)まではっきりと写り込んでいた。…ミラベルーーー!!!

 一方、その頃、隠れ家ではミラベルが世紀の大発明(?)に取り組んでいた。貴族会議で証拠を突きつけるための切り札、『真実を映すミラクル☆プロジェクター(仮)』の開発だ。

「うーん、魔力増幅回路はこれでよし…と。あとは、この映像投影レンズを…あうっ!」
 レンズをはめ込もうとした瞬間、装置からピカッと怪しい光線が放たれ、壁に見事な穴を開けた。

「ひぃぃぃ! ご、ごめんなさい大家さーん!」(いるわけない)
「ミラベル! またやったのね! もっと安全な設計にしなさいと言ったでしょう!」
 潜入から戻った私が呆れて言うと、ミラベルは涙目で訴える。

「で、でも、花季様の『もっとインパクトを!』『視覚効果が大事!』っていうご要望に応えようとしたら、つい魔力を込めすぎちゃって…」
「私はプレゼン資料の話をしたつもりよ! 物理的に壁を破壊しろなんて言ってないわ!」

 前世のパワポ資料作成スキルが、まさかこんな形で錬金術に影響を与えるとは…。
 それでも、ミラベルの努力の甲斐あってか、プロジェクター(仮)はなんとか形になりつつあった。見た目は…継ぎ接ぎだらけのガラクタにしか見えないけれど。本当にこれで、貴族たちの前で証拠映像を上映できるのかしら…? 不安しかないわ。

 貴族会議の情報収集も進めなければ。艶楼での洗濯係の仕事中も、私の耳はダンボだ。幸い、リナが「花季さん、これ…」と、こっそり会議の進行表や会場の見取り図(下働き用に簡略化されたもの)を渡してくれた。本当にいい子ね、リナ。

「ありがとう、リナ。助かるわ。…そういえば、妹さんの具合はどう?」
「はい、花季さんに頂いたお金で少し良い薬が買えて…少しだけ、良くなったみたいです」
 リナは嬉しそうに微笑んだ。その笑顔に、私の罪悪感が少しだけ和らぐ。…同時に、ミラベルに「リナの妹さんの特効薬開発、急いで!」と無茶振りをしたことを思い出す。ミラベル、頑張って…。

 そんな綱渡りの日々の中、あの男がまたしても、私の前に現れた。証拠集めの帰り道、路地裏でカレルが待っていたのだ。

「よう、洗濯係。まだ懲りずに嗅ぎ回ってるみてぇだな」
「あなたには関係ないでしょう」
「関係なくもねぇさ。お前さんがヘマしたら、こっちにも火の粉が飛んでくるかもしれねぇからな」
 彼は懐から何かを取り出した。それは…倉庫の見取り図? しかも、警備員の巡回ルートまで書き込まれている!

「! なぜこれを…?」
「さあな? 親切心…って言ったら信じるか?」
 カレルはニヤリと笑う。「忠告しといてやる。例の倉庫、近々『大掃除』があるらしいぜ? 急がねぇと、お宝もネズミも、まとめて消えちまうかもな」
 大掃除…証拠隠滅! やはり急がなければ!

「なぜ、私に教えるの?」
「…お前さんが暴れてくれた方が、俺にとっても都合がいいことがあるんでな。ま、せいぜい頑張るこった」
 彼はそれだけ言うと、また闇に消えた。…都合がいいこと? ますます分からない男ね。でも、情報はありがたく使わせてもらうわ!

 貴族会議は、もう明日に迫っていた。
 証拠は…まだ不十分。ミラベルのプロジェクターは…未知数。守備隊の監視の目は…光っている。
 状況は、決して楽観視できるものではない。

(でも、やるしかないのよ…!)

 私はミラベルと共に、最後の準備に取り掛かった。少ない証拠を最大限に活かすための構成を考え、プロジェクター(仮)の最終調整を行い、そして、貴族会議の会場への潜入ルートを再確認する。
 明日、全てが明らかになる。成功か、それとも破滅か。
 紅灯区の夜空の下、私の、そして私たちの戦いが、いよいよ始まろうとしていた。

(第11話 了)
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