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第弐章 イケメン神様(夫)の昔の悪友が暴走!? しかも神々のパワーが謎のダウン中!? 私の涙と愛で、神様界の平和、お守りしてみせます!
第15話 神域の異変と神様の秘密!? 涙雨の巫女、覚悟を試される!
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巌固様の住まう霊山を後にして、私たちは綾織様の案内で、山の麓にあるという泉で一息つくことになった。険しい岩肌とは打って変わって、そこにはまだかろうじて清らかな水が湧き出ていて、周囲には可憐な花も咲いている。…でも。
「この泉もね、わたくしが子供の頃に比べると、ずいぶんと水嵩が減ってしまったのよ」
綾織様が、悲しそうに泉の水面を指さす。
「巌固様の力が弱まると、こうして山の恵み全てが影響を受けてしまうの。山の獣たちも、最近はすっかり姿を見せなくなってしまったわ…」
「そんな…! 巌固様お一人だけの問題じゃないんですね…」
私は胸が締め付けられる思いで、静かに泉を見つめる水晶様の横顔を見上げた。彼の表情は、いつも以上に硬く、険しい。
「そうなのよ、萩乃さん」と綾織様が続ける。「実はね、神域全体で、多くの神々が原因不明の『神力減退』に見舞われているの。巌固様の場合は特に症状が重いけれど、他の神様方の中にも、以前のようなお力を発揮できなくなっている方が少なくないわ。その影響は、少しずつだけど、地上にも…ほら、最近おかしな天候が続いたり、季節外れの花が咲いたりしていないかしら?」
言われてみれば、水見里でも、最近ちょっとだけおかしなことがあったような…?
(神様たちのパワーダウンが、地上にも影響してるってこと!? それって、めちゃくちゃ大変なことじゃないの!?)
「原因はまだはっきりとは分からないのだけれど…」綾織様の声のトーンが、一段と低くなる。「私たちの力の源である『神力の源泉』…聖なる湖があるのだけれど、その湖の水位が、ここ数年で目に見えて下がってきているのは確かなのよ。湖の輝きも、以前よりずっと弱々しくなってしまって…」
「神力の源泉…湖…?」なんだか、水見里の「命の泉」を思い出す。でも、その神様バージョンが枯れかかってるなんて、冗談抜きでシャレにならない事態だ。
「水晶様と巌固様って、昔はとっても仲が良かったんですよね? なのに、どうしてあんなに…ピリピリしてるんですか?」
私が思い切って尋ねると、水晶様は少しだけ気まずそうに視線を逸らし、口ごもった。
「……昔、少しな。若気の至りというやつだ。お前には、関係ない」
(またそれー! 水晶様の「お前には関係ない」は、絶対何か隠してる時のサインなんだから! もう、夫婦なんだから、ちょっとくらい頼ってくれてもいいんですよー!?)
私が内心でぷんすかしていると、綾織様が「うふふ」と楽しそうに割って入ってきた。
「まあ、水様ったら、照れちゃって可愛らしいわねぇ。萩乃さん、教えて差し上げましょうか? 水様と巌様はね、それはもう、ずーっと昔、神域でも知らぬ者はいないほどの、有名な『悪ガキコンビ』だったのよ?」
「へ!? あ、悪ガキコンビ!? この水晶様が!?」
思わず素っ頓狂な声が出た。だって、今のクールでポーカーフェイスな水晶様からは、まったく、ぜんっぜん想像もつかないんですけど!?
「そうなのよぉ。二人で一緒に神域の『禁足地』にこっそり忍び込んで、そりゃもう派手に大目玉を食らったとか、食らわなかったとか…うふふふ!」
「綾織っ! 余計なことを言うな!」
水晶様が、普段の彼からは考えられないくらい、少し焦ったような、それでいて顔を真っ赤にして(ように私には見えた!)綾織様を制する。
(き、禁足地ぃ!? しかも水晶様、顔赤い!? え、もしかして図星!? あの冷静沈着な水晶様が、そんな破天荒なことしてたなんて…! 俄然、その禁足地ってところに興味が湧いてきちゃったんですけどー!)
「その『禁足地』って、一体どんな場所なんですか…?」私が尋ねると、綾織様は悪戯っぽく片目をつむった。
「それはねぇ…神力の源泉にも深く関わる、神域の最重要機密なの。そして、今の異変の鍵も、もしかしたらそこに隠されているかもしれないわねぇ…」
神域の深刻な状況。水晶様の隠された過去。そして、自分に一体何ができるのか…。私の頭の中は、ぐるぐると様々な想いが駆け巡っていた。
「綾織様、その『神力の源泉』は、どこにあるんですか?」
気づけば、私はそう口にしていた。
「私…水見里の巫女として、何かできることがあるかもしれないんです。ううん、何かしたいんです!」
綾織様は、私の真剣な眼差しに少し驚いたように目を丸くしたけれど、すぐに優しい微笑みを浮かべてくれた。
「そうね…萩乃さんのその清らかで真っ直ぐな力なら、あるいは…。でも、源泉の周辺は今、あまり良くない気が渦巻いているの。正直、とても危険かもしれないわ」
「萩乃、お前には無理だ。危険すぎる」
今まで黙って私たちの会話を聞いていた水晶様が、静かに、けれどきっぱりとした口調で私を制しようとする。
「無理かどうかは、やってみないと分かりません!」私は水晶様を真っ直ぐに見つめ返した。「水晶様、私はもう、ただ後ろで守られているだけの存在じゃ嫌なんです! 水晶様の隣に立って、妻として、そして巫女として、一緒に戦いたいんです!」
(そうだ! 前回の水見里の干ばつの時だって、私の涙が、水晶様の心を動かして、奇跡を起こしたんだから! 今回だって、きっと、何かできるはずなんだから!)
私の必死の訴えに、水晶様も綾織様も、一瞬言葉を失ったように黙り込んだ。
水晶様は、何かを深く考えるようにしばらく私を見つめた後、ふっと息を吐き、そして…ほんの少しだけ、困ったような、それでいて愛おしさが滲むような、複雑な表情を浮かべた。
「……分かった。そこまで言うのなら、止めはしない。だが、絶対に私の指示に寸分違わず従え。そして、少しでも危険を感じたら、何があってもすぐに引き返す。それが条件だ」
「はいっ! ありがとうございます、水晶様!」
やった! これで、私も戦える! …かもしれない!
「決まりね!」綾織様が、ぱんと手を叩いた。「それじゃあ、私たちの次の目的地は、神域の心臓部、『神力の源泉』よ! ちょっと、いえ、かなり遠いし、道中何があるか分からないけど、三人で力を合わせれば、きっと大丈夫よね!」
こうして、私たちは、神域全体の危機と、水晶様の過去の謎が絡み合う、物語の核心へと足を踏み出すことになったのだ。
神力の源泉…。一体どんな場所なんだろう? そして、水晶様の過去に隠された「禁足地」の秘密って、一体…?
私の胸は、不安と、ほんの少しの期待と、そして大きな決意で、ドキドキと高鳴っていた。
(次回、いよいよ神力の源泉へ! 待ち受けるのは邪悪な気配!? それとも、水晶様のさらなる黒歴史暴露大会!?)
「この泉もね、わたくしが子供の頃に比べると、ずいぶんと水嵩が減ってしまったのよ」
綾織様が、悲しそうに泉の水面を指さす。
「巌固様の力が弱まると、こうして山の恵み全てが影響を受けてしまうの。山の獣たちも、最近はすっかり姿を見せなくなってしまったわ…」
「そんな…! 巌固様お一人だけの問題じゃないんですね…」
私は胸が締め付けられる思いで、静かに泉を見つめる水晶様の横顔を見上げた。彼の表情は、いつも以上に硬く、険しい。
「そうなのよ、萩乃さん」と綾織様が続ける。「実はね、神域全体で、多くの神々が原因不明の『神力減退』に見舞われているの。巌固様の場合は特に症状が重いけれど、他の神様方の中にも、以前のようなお力を発揮できなくなっている方が少なくないわ。その影響は、少しずつだけど、地上にも…ほら、最近おかしな天候が続いたり、季節外れの花が咲いたりしていないかしら?」
言われてみれば、水見里でも、最近ちょっとだけおかしなことがあったような…?
(神様たちのパワーダウンが、地上にも影響してるってこと!? それって、めちゃくちゃ大変なことじゃないの!?)
「原因はまだはっきりとは分からないのだけれど…」綾織様の声のトーンが、一段と低くなる。「私たちの力の源である『神力の源泉』…聖なる湖があるのだけれど、その湖の水位が、ここ数年で目に見えて下がってきているのは確かなのよ。湖の輝きも、以前よりずっと弱々しくなってしまって…」
「神力の源泉…湖…?」なんだか、水見里の「命の泉」を思い出す。でも、その神様バージョンが枯れかかってるなんて、冗談抜きでシャレにならない事態だ。
「水晶様と巌固様って、昔はとっても仲が良かったんですよね? なのに、どうしてあんなに…ピリピリしてるんですか?」
私が思い切って尋ねると、水晶様は少しだけ気まずそうに視線を逸らし、口ごもった。
「……昔、少しな。若気の至りというやつだ。お前には、関係ない」
(またそれー! 水晶様の「お前には関係ない」は、絶対何か隠してる時のサインなんだから! もう、夫婦なんだから、ちょっとくらい頼ってくれてもいいんですよー!?)
私が内心でぷんすかしていると、綾織様が「うふふ」と楽しそうに割って入ってきた。
「まあ、水様ったら、照れちゃって可愛らしいわねぇ。萩乃さん、教えて差し上げましょうか? 水様と巌様はね、それはもう、ずーっと昔、神域でも知らぬ者はいないほどの、有名な『悪ガキコンビ』だったのよ?」
「へ!? あ、悪ガキコンビ!? この水晶様が!?」
思わず素っ頓狂な声が出た。だって、今のクールでポーカーフェイスな水晶様からは、まったく、ぜんっぜん想像もつかないんですけど!?
「そうなのよぉ。二人で一緒に神域の『禁足地』にこっそり忍び込んで、そりゃもう派手に大目玉を食らったとか、食らわなかったとか…うふふふ!」
「綾織っ! 余計なことを言うな!」
水晶様が、普段の彼からは考えられないくらい、少し焦ったような、それでいて顔を真っ赤にして(ように私には見えた!)綾織様を制する。
(き、禁足地ぃ!? しかも水晶様、顔赤い!? え、もしかして図星!? あの冷静沈着な水晶様が、そんな破天荒なことしてたなんて…! 俄然、その禁足地ってところに興味が湧いてきちゃったんですけどー!)
「その『禁足地』って、一体どんな場所なんですか…?」私が尋ねると、綾織様は悪戯っぽく片目をつむった。
「それはねぇ…神力の源泉にも深く関わる、神域の最重要機密なの。そして、今の異変の鍵も、もしかしたらそこに隠されているかもしれないわねぇ…」
神域の深刻な状況。水晶様の隠された過去。そして、自分に一体何ができるのか…。私の頭の中は、ぐるぐると様々な想いが駆け巡っていた。
「綾織様、その『神力の源泉』は、どこにあるんですか?」
気づけば、私はそう口にしていた。
「私…水見里の巫女として、何かできることがあるかもしれないんです。ううん、何かしたいんです!」
綾織様は、私の真剣な眼差しに少し驚いたように目を丸くしたけれど、すぐに優しい微笑みを浮かべてくれた。
「そうね…萩乃さんのその清らかで真っ直ぐな力なら、あるいは…。でも、源泉の周辺は今、あまり良くない気が渦巻いているの。正直、とても危険かもしれないわ」
「萩乃、お前には無理だ。危険すぎる」
今まで黙って私たちの会話を聞いていた水晶様が、静かに、けれどきっぱりとした口調で私を制しようとする。
「無理かどうかは、やってみないと分かりません!」私は水晶様を真っ直ぐに見つめ返した。「水晶様、私はもう、ただ後ろで守られているだけの存在じゃ嫌なんです! 水晶様の隣に立って、妻として、そして巫女として、一緒に戦いたいんです!」
(そうだ! 前回の水見里の干ばつの時だって、私の涙が、水晶様の心を動かして、奇跡を起こしたんだから! 今回だって、きっと、何かできるはずなんだから!)
私の必死の訴えに、水晶様も綾織様も、一瞬言葉を失ったように黙り込んだ。
水晶様は、何かを深く考えるようにしばらく私を見つめた後、ふっと息を吐き、そして…ほんの少しだけ、困ったような、それでいて愛おしさが滲むような、複雑な表情を浮かべた。
「……分かった。そこまで言うのなら、止めはしない。だが、絶対に私の指示に寸分違わず従え。そして、少しでも危険を感じたら、何があってもすぐに引き返す。それが条件だ」
「はいっ! ありがとうございます、水晶様!」
やった! これで、私も戦える! …かもしれない!
「決まりね!」綾織様が、ぱんと手を叩いた。「それじゃあ、私たちの次の目的地は、神域の心臓部、『神力の源泉』よ! ちょっと、いえ、かなり遠いし、道中何があるか分からないけど、三人で力を合わせれば、きっと大丈夫よね!」
こうして、私たちは、神域全体の危機と、水晶様の過去の謎が絡み合う、物語の核心へと足を踏み出すことになったのだ。
神力の源泉…。一体どんな場所なんだろう? そして、水晶様の過去に隠された「禁足地」の秘密って、一体…?
私の胸は、不安と、ほんの少しの期待と、そして大きな決意で、ドキドキと高鳴っていた。
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