2 / 6
2
しおりを挟む
リュゼリア王宮の朝は、王都とは比べものにならないほど静かで、どこか優雅だった。
鳥のさえずり、柔らかな風、そして窓から差し込む陽光。
そんな中、私はまだ慣れない王妃候補としての生活を始めていた。
「リリアーナ様、今日の王妃教育の予定は、午前に外交儀礼、午後は舞踏指導、夜には陛下との晩餐会がございます」
侍女長のマリアが淡々と予定を告げる。
……ふぅ。思っていたよりもずっと大変。
でも、これしきで音を上げるつもりはなかった。
なにせ、今の私は――“王に選ばれた女”なのだから。
「外交儀礼、か。君ならすぐに覚えるだろう」
講義の合間、レオネル陛下がふらりと部屋を訪れた。
昼間だというのに、黒衣の軍装姿で、相変わらず威厳に満ちている。
けれど、その金の瞳は私を見た途端、ふっと柔らかくなるのだから、反則だ。
「陛下……授業の途中ですのに」
「君が真剣な顔をしていると、つい見に来たくなるんだ」
その一言で、心臓が跳ねる。
周囲の侍女たちが顔を赤らめてそっと退出していくのが分かる。
「……困りますわ、そんなことを仰っては」
「困らせるのが趣味なんだ」
彼がからかうように微笑む。
そういう時の陛下は、王というよりも、ただ一人の“男性”だ。
「ところで、昨日言っていた話……覚えているか?」
昨日――そう、あの夜。
「私が君を選んだ本当の理由を話す」と言っていた。
私はゆっくりと頷く。
「……はい。お聞きしたいです」
レオネル陛下の瞳が、ほんの少しだけ陰った。
「では、場所を変えよう」
案内されたのは、王宮の最奥にある“銀の間”と呼ばれる場所だった。
磨き抜かれた白銀の壁面、静謐な空気、そして――中央に飾られた、一枚の古い絵画。
そこには、私に瓜二つの女性が描かれていた。
「……この方は?」
「五百年前、リュゼリアを救った聖女エルシア・リュゼリア。初代王の妃でもあった女性だ」
聖女――?
でも、どうしてその絵を私に見せるのだろう。
「驚かないでくれ。君は……彼女の血を引いている」
「……え?」
思わず声を失った。
だが、レオネル陛下は静かに続ける。
「かつて、聖女の血筋は王家によって保護されていた。だが、数百年の時を経て、記録は途絶えた。……しかし、君の魔力反応を見た時、確信したんだ。君の中に“聖女の力”が眠っていると」
聖女の力……?
私が、そんな……?
「信じられないかもしれないが、君があの王都で“選ばれなかった”理由は、それでも説明がつく。君の中の力を見抜けず、ただ表面だけを見た愚か者たちが、君を手放した」
陛下の声が、低く熱を帯びていく。
「だから私は、君を選んだ。運命の再来として、そして――一人の女性として」
その言葉に、胸が高鳴る。
私の中に、そんな力があるなんて信じられない。
けれど、レオネル陛下の真剣な瞳を見ると、疑うことなどできなかった。
「……陛下。もし本当にそのような力があるのなら、私は、それを貴国のために使いたいと思います」
「リリアーナ……君は、いつもそうやって自分より他人を優先するのだな」
彼の手が、そっと私の頬に触れた。
その優しさが、痛いほどに温かい。
だが、王妃候補の道は、決して平坦ではなかった。
「王妃候補? あんな異国の令嬢が?」
「聖女の血筋だと? 冗談も大概にしろ」
貴族たちの中には、私の存在を快く思わぬ者も多かった。
特に、王の従兄である宰相ジルベルト侯爵は、露骨に私を敵視していた。
「リリアーナ殿。王妃になるおつもりなら、まず“出自”を明確にされてはいかがかな?」
「私の家系はエルヴェン公爵家に連なります。記録はすべて揃っておりますわ」
「ふん、だが公爵家とはいえ、今は没落寸前だと聞く。血よりも力の時代ですよ」
その言葉に、周囲の貴族たちが笑い声を上げた。
けれど、私は一歩も引かなかった。
「ええ、確かに力は大切ですわ。ですが――本当に強い者は、他人を見下すことで己を誇るような真似はなさらないでしょう」
一瞬で場が静まり返った。
ジルベルト侯爵の顔が、見る見る赤く染まる。
――痛快だった。
その後、陛下が現れ、まるで庇うように私の隣に立った。
「私の妃に対して無礼は許さぬ。彼女の言葉こそが真理だ」
ざまあみろ、という言葉を飲み込むのに苦労したほどだ。
日が経つにつれ、レオネル陛下との距離は少しずつ縮まっていった。
公務の合間に交わす何気ない会話、夜の庭園での散歩――そのどれもが、私の心を確実に侵食していった。
「リリアーナ。君は、王妃になったら何がしたい?」
「そうですね……誰もが、出自や血筋ではなく、“努力”で評価される国を作りたいです」
「……君らしいな」
陛下がふっと笑い、私の手を取る。
「私も、その理想を共に実現したいと思う。だから――どうか、私の傍にいてくれ」
「……はい」
気づけば、夜風が頬を撫でていた。
近づいた距離、触れた指先。
何も言えなくなるほど、心が熱くなる。
――だが、その静寂を破る報せが届いたのは、翌日のことだった。
「報告です! 隣国アルシオンより使者が……!」
その名を聞いた瞬間、全身が凍りついた。
アルシオン――私がかつて婚約していた王子、ルーク殿下の国だ。
まさか……。
「陛下、どうなさいますか?」
「通せ」
重い扉が開き、入ってきたのは見覚えのある従者たち。
その中心に立つのは、紛れもなく――ルーク殿下本人だった。
「久しいな、リリアーナ」
その声を聞くだけで、心の奥にあの日の屈辱が蘇る。
だが、私はもうあの頃の私ではない。
「これはこれは。ルーク殿下。まさか、わざわざご挨拶に来てくださるとは」
「……私は、君に謝罪するために来た」
その場がざわめいた。
けれど私は、冷ややかに微笑んだ。
「謝罪、ですか? 今さら?」
「私は……間違っていた。君を失ってから気づいたんだ。君の知恵も、優しさも、すべてが必要だったと」
滑稽だった。
彼は今さら後悔の言葉を並べ、私に許しを乞う。
けれど、その背後には焦りと打算が見えていた。
――おそらく、私が“隣国の王妃候補”となったことを知っての行動だろう。
しかし、私が何か言うより先に、レオネル陛下がゆっくりと立ち上がった。
「王太子ルーク殿下。貴殿の言葉は理解した。だが、我が妃に不快な思いをさせたことは、決して軽くはない」
その声には冷たい威厳が宿っていた。
ルーク殿下は顔を引きつらせ、必死に頭を下げる。
「も、もちろん、そのつもりは……!」
「二度と彼女に近づかぬこと。それが謝罪の証だ」
ルーク殿下の顔が青ざめる。
私はただ、静かに一礼した。
「陛下、ありがとうございます」
「当然のことだ。君を侮辱する者は、誰であろうと許さない」
レオネル陛下が私を見るその瞳に、ただひとつの強い感情が宿っていた。
――独占。
それは冷徹さよりも、むしろ甘やかな支配のように感じられた。
その夜。
王宮のバルコニーで、私はひとり風に当たっていた。
ルーク殿下の言葉が頭をよぎる。
そして、陛下の瞳も――。
「……私、どうしてこんなに……」
胸の鼓動が早い。
ただ陛下のそばにいるだけで、呼吸が乱れる。
そんな私の背に、ふいに温もりが触れた。
「こんな時間まで起きているとは、君らしくないな」
「レオネル……陛下……」
「ルークのことを考えていたか?」
「……少しだけ。でも、もう何も感じません」
私の言葉に、陛下は満足げに微笑む。
そして、そっと囁いた。
「ならいい。君の心は、すべて私のものだ」
唇が触れる寸前――風がふわりと吹き抜けた。
夜空には、満天の星。
けれど、私の胸に灯る光は、それよりも強く輝いていた。
――そして翌朝。
王妃候補の私に、ある知らせが届いた。
「リリアーナ様。王都アルシオンから新たな書簡が届きました」
開封すると、そこには見慣れた筆跡。
だが、書かれていたのは――
『リリアーナ・エルヴェン。お前は我が国の“禁忌の血”に関わる存在だ。
聖女の血筋を隠していた罪により、拘束を求める。』
……まさか。
今度は、王妃になる前に“罪人”にされようとしている?
私の指先が震えた。
レオネル陛下の瞳が鋭く光る。
「……どうやら、向こうは本気で仕掛けてきたようだな」
そして、静かに言った。
「リリアーナ。――戦う覚悟はあるか?」
私は息を呑み、ゆっくりと頷いた。
「はい。もう、逃げません。あの国にも、過去にも」
陛下の手が、強く私の手を握る。
その瞬間、運命の歯車が静かに回り始めた。
鳥のさえずり、柔らかな風、そして窓から差し込む陽光。
そんな中、私はまだ慣れない王妃候補としての生活を始めていた。
「リリアーナ様、今日の王妃教育の予定は、午前に外交儀礼、午後は舞踏指導、夜には陛下との晩餐会がございます」
侍女長のマリアが淡々と予定を告げる。
……ふぅ。思っていたよりもずっと大変。
でも、これしきで音を上げるつもりはなかった。
なにせ、今の私は――“王に選ばれた女”なのだから。
「外交儀礼、か。君ならすぐに覚えるだろう」
講義の合間、レオネル陛下がふらりと部屋を訪れた。
昼間だというのに、黒衣の軍装姿で、相変わらず威厳に満ちている。
けれど、その金の瞳は私を見た途端、ふっと柔らかくなるのだから、反則だ。
「陛下……授業の途中ですのに」
「君が真剣な顔をしていると、つい見に来たくなるんだ」
その一言で、心臓が跳ねる。
周囲の侍女たちが顔を赤らめてそっと退出していくのが分かる。
「……困りますわ、そんなことを仰っては」
「困らせるのが趣味なんだ」
彼がからかうように微笑む。
そういう時の陛下は、王というよりも、ただ一人の“男性”だ。
「ところで、昨日言っていた話……覚えているか?」
昨日――そう、あの夜。
「私が君を選んだ本当の理由を話す」と言っていた。
私はゆっくりと頷く。
「……はい。お聞きしたいです」
レオネル陛下の瞳が、ほんの少しだけ陰った。
「では、場所を変えよう」
案内されたのは、王宮の最奥にある“銀の間”と呼ばれる場所だった。
磨き抜かれた白銀の壁面、静謐な空気、そして――中央に飾られた、一枚の古い絵画。
そこには、私に瓜二つの女性が描かれていた。
「……この方は?」
「五百年前、リュゼリアを救った聖女エルシア・リュゼリア。初代王の妃でもあった女性だ」
聖女――?
でも、どうしてその絵を私に見せるのだろう。
「驚かないでくれ。君は……彼女の血を引いている」
「……え?」
思わず声を失った。
だが、レオネル陛下は静かに続ける。
「かつて、聖女の血筋は王家によって保護されていた。だが、数百年の時を経て、記録は途絶えた。……しかし、君の魔力反応を見た時、確信したんだ。君の中に“聖女の力”が眠っていると」
聖女の力……?
私が、そんな……?
「信じられないかもしれないが、君があの王都で“選ばれなかった”理由は、それでも説明がつく。君の中の力を見抜けず、ただ表面だけを見た愚か者たちが、君を手放した」
陛下の声が、低く熱を帯びていく。
「だから私は、君を選んだ。運命の再来として、そして――一人の女性として」
その言葉に、胸が高鳴る。
私の中に、そんな力があるなんて信じられない。
けれど、レオネル陛下の真剣な瞳を見ると、疑うことなどできなかった。
「……陛下。もし本当にそのような力があるのなら、私は、それを貴国のために使いたいと思います」
「リリアーナ……君は、いつもそうやって自分より他人を優先するのだな」
彼の手が、そっと私の頬に触れた。
その優しさが、痛いほどに温かい。
だが、王妃候補の道は、決して平坦ではなかった。
「王妃候補? あんな異国の令嬢が?」
「聖女の血筋だと? 冗談も大概にしろ」
貴族たちの中には、私の存在を快く思わぬ者も多かった。
特に、王の従兄である宰相ジルベルト侯爵は、露骨に私を敵視していた。
「リリアーナ殿。王妃になるおつもりなら、まず“出自”を明確にされてはいかがかな?」
「私の家系はエルヴェン公爵家に連なります。記録はすべて揃っておりますわ」
「ふん、だが公爵家とはいえ、今は没落寸前だと聞く。血よりも力の時代ですよ」
その言葉に、周囲の貴族たちが笑い声を上げた。
けれど、私は一歩も引かなかった。
「ええ、確かに力は大切ですわ。ですが――本当に強い者は、他人を見下すことで己を誇るような真似はなさらないでしょう」
一瞬で場が静まり返った。
ジルベルト侯爵の顔が、見る見る赤く染まる。
――痛快だった。
その後、陛下が現れ、まるで庇うように私の隣に立った。
「私の妃に対して無礼は許さぬ。彼女の言葉こそが真理だ」
ざまあみろ、という言葉を飲み込むのに苦労したほどだ。
日が経つにつれ、レオネル陛下との距離は少しずつ縮まっていった。
公務の合間に交わす何気ない会話、夜の庭園での散歩――そのどれもが、私の心を確実に侵食していった。
「リリアーナ。君は、王妃になったら何がしたい?」
「そうですね……誰もが、出自や血筋ではなく、“努力”で評価される国を作りたいです」
「……君らしいな」
陛下がふっと笑い、私の手を取る。
「私も、その理想を共に実現したいと思う。だから――どうか、私の傍にいてくれ」
「……はい」
気づけば、夜風が頬を撫でていた。
近づいた距離、触れた指先。
何も言えなくなるほど、心が熱くなる。
――だが、その静寂を破る報せが届いたのは、翌日のことだった。
「報告です! 隣国アルシオンより使者が……!」
その名を聞いた瞬間、全身が凍りついた。
アルシオン――私がかつて婚約していた王子、ルーク殿下の国だ。
まさか……。
「陛下、どうなさいますか?」
「通せ」
重い扉が開き、入ってきたのは見覚えのある従者たち。
その中心に立つのは、紛れもなく――ルーク殿下本人だった。
「久しいな、リリアーナ」
その声を聞くだけで、心の奥にあの日の屈辱が蘇る。
だが、私はもうあの頃の私ではない。
「これはこれは。ルーク殿下。まさか、わざわざご挨拶に来てくださるとは」
「……私は、君に謝罪するために来た」
その場がざわめいた。
けれど私は、冷ややかに微笑んだ。
「謝罪、ですか? 今さら?」
「私は……間違っていた。君を失ってから気づいたんだ。君の知恵も、優しさも、すべてが必要だったと」
滑稽だった。
彼は今さら後悔の言葉を並べ、私に許しを乞う。
けれど、その背後には焦りと打算が見えていた。
――おそらく、私が“隣国の王妃候補”となったことを知っての行動だろう。
しかし、私が何か言うより先に、レオネル陛下がゆっくりと立ち上がった。
「王太子ルーク殿下。貴殿の言葉は理解した。だが、我が妃に不快な思いをさせたことは、決して軽くはない」
その声には冷たい威厳が宿っていた。
ルーク殿下は顔を引きつらせ、必死に頭を下げる。
「も、もちろん、そのつもりは……!」
「二度と彼女に近づかぬこと。それが謝罪の証だ」
ルーク殿下の顔が青ざめる。
私はただ、静かに一礼した。
「陛下、ありがとうございます」
「当然のことだ。君を侮辱する者は、誰であろうと許さない」
レオネル陛下が私を見るその瞳に、ただひとつの強い感情が宿っていた。
――独占。
それは冷徹さよりも、むしろ甘やかな支配のように感じられた。
その夜。
王宮のバルコニーで、私はひとり風に当たっていた。
ルーク殿下の言葉が頭をよぎる。
そして、陛下の瞳も――。
「……私、どうしてこんなに……」
胸の鼓動が早い。
ただ陛下のそばにいるだけで、呼吸が乱れる。
そんな私の背に、ふいに温もりが触れた。
「こんな時間まで起きているとは、君らしくないな」
「レオネル……陛下……」
「ルークのことを考えていたか?」
「……少しだけ。でも、もう何も感じません」
私の言葉に、陛下は満足げに微笑む。
そして、そっと囁いた。
「ならいい。君の心は、すべて私のものだ」
唇が触れる寸前――風がふわりと吹き抜けた。
夜空には、満天の星。
けれど、私の胸に灯る光は、それよりも強く輝いていた。
――そして翌朝。
王妃候補の私に、ある知らせが届いた。
「リリアーナ様。王都アルシオンから新たな書簡が届きました」
開封すると、そこには見慣れた筆跡。
だが、書かれていたのは――
『リリアーナ・エルヴェン。お前は我が国の“禁忌の血”に関わる存在だ。
聖女の血筋を隠していた罪により、拘束を求める。』
……まさか。
今度は、王妃になる前に“罪人”にされようとしている?
私の指先が震えた。
レオネル陛下の瞳が鋭く光る。
「……どうやら、向こうは本気で仕掛けてきたようだな」
そして、静かに言った。
「リリアーナ。――戦う覚悟はあるか?」
私は息を呑み、ゆっくりと頷いた。
「はい。もう、逃げません。あの国にも、過去にも」
陛下の手が、強く私の手を握る。
その瞬間、運命の歯車が静かに回り始めた。
21
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の私、計画通り追放されました ~無能な婚約者と傾国の未来を捨てて、隣国で大商人になります~
希羽
恋愛
「ええ、喜んで国を去りましょう。――全て、私の計算通りですわ」
才色兼備と謳われた公爵令嬢セラフィーナは、卒業パーティーの場で、婚約者である王子から婚約破棄を突きつけられる。聖女を虐げた「悪役令嬢」として、満座の中で断罪される彼女。
しかし、その顔に悲壮感はない。むしろ、彼女は内心でほくそ笑んでいた――『計画通り』と。
無能な婚約者と、沈みゆく国の未来をとうに見限っていた彼女にとって、自ら悪役の汚名を着て国を追われることこそが、完璧なシナリオだったのだ。
莫大な手切れ金を手に、自由都市で商人『セーラ』として第二の人生を歩み始めた彼女。その類まれなる才覚は、やがて大陸の経済を揺るがすほどの渦を巻き起こしていく。
一方、有能な彼女を失った祖国は坂道を転がるように没落。愚かな元婚約者たちが、彼女の真価に気づき後悔した時、物語は最高のカタルシスを迎える――。
とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】
社交界を賑わせた婚約披露の茶会。
令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。
「真実の愛を見つけたんだ」
それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。
愛よりも冷たく、そして美しく。
笑顔で地獄へお送りいたします――
『お前とは結婚できない』と婚約破棄されたので、隣国の王に嫁ぎます
ほーみ
恋愛
春の宮廷は、いつもより少しだけざわめいていた。
けれどその理由が、わたし——エリシア・リンドールの婚約破棄であることを、わたし自身が一番よく理解していた。
「エリシア、君とは結婚できない」
王太子ユリウス殿下のその一言は、まるで氷の刃のように冷たかった。
——ああ、この人は本当に言ってしまったのね。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
ワザとダサくしてたら婚約破棄されたので隣国に行きます!
satomi
恋愛
ワザと瓶底メガネで三つ編みで、生活をしていたら、「自分の隣に相応しくない」という理由でこのフッラクション王国の王太子であられます、ダミアン殿下であらせられます、ダミアン殿下に婚約破棄をされました。
私はホウショウ公爵家の次女でコリーナと申します。
私の容姿で婚約破棄をされたことに対して私付きの侍女のルナは大激怒。
お父様は「結婚前に王太子が人を見てくれだけで判断していることが分かって良かった」と。
眼鏡をやめただけで、学園内での手の平返しが酷かったので、私は父の妹、叔母様を頼りに隣国のリーク帝国に留学することとしました!
虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を
柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。
みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。
虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
婚約破棄?はい、どうぞお好きに!悪役令嬢は忙しいんです
ほーみ
恋愛
王国アスティリア最大の劇場──もとい、王立学園の大講堂にて。
本日上演されるのは、わたくしリリアーナ・ヴァレンティアを断罪する、王太子殿下主催の茶番劇である。
壇上には、舞台の主役を気取った王太子アレクシス。その隣には、純白のドレスをひらつかせた侯爵令嬢エリーナ。
そして観客席には、好奇心で目を輝かせる学生たち。ざわめき、ひそひそ声、侮蔑の視線。
ふふ……完璧な舞台準備ね。
「リリアーナ・ヴァレンティア! そなたの悪行はすでに暴かれた!」
王太子の声が響く。
婚約破棄されたら兄のように慕っていた家庭教師に本気で口説かれはじめました
鳥花風星
恋愛
「他に一生涯かけて幸せにしたい人ができた。申し訳ないがローズ、君との婚約を取りやめさせてほしい」
十歳の頃に君のことが気に入ったからと一方的に婚約をせがまれたローズは、学園生活を送っていたとある日その婚約者であるケイロンに突然婚約解消を言い渡される。
悲しみに暮れるローズだったが、幼い頃から魔法の家庭教師をしてくれている兄のような存在のベルギアから猛烈アプローチが始まった!?
「ずっと諦めていたけれど、婚約解消になったならもう遠慮はしないよ。今は俺のことを兄のように思っているかもしれないしケイロンのことで頭がいっぱいかもしれないけれど、そんなこと忘れてしまうくらい君を大切にするし幸せにする」
ローズを一途に思い続けるベルギアの熱い思いが溢れたハッピーエンドな物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる