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未来の息子が生まれましたが、
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しおりを挟む「うしっ!」
やっと行く気になったのか気合を入れたエイデンが起き上がる。それに倣って私も上体を起こした。
「秒で終わらせてくる。あ、あとまだ休みはいいわ。明日もなんか予定入ってたし。」
「…。」
エイデンの発言にそういうところなんだよなぁと、苦笑する。面倒なことや理不尽なことが大嫌いな彼。でも、なんだかんだ責任感が強くて頼られたら断れない。だからこうやってイヤイヤと駄々をこねて自分の中の不満やうっぷんを昇華しないとやってられないのだろう。頑張り屋なエイデンだから私は毎回甘やかしてしまうのだ。
キラキラと外観を遮断していた壁が消え、元の救護室の風景へと変わった。時間さえも止めていたのか、たたらを踏むように一斉に動き出した人々。本当に、我が旦那ながらエイデンという魔導士には舌を巻く。そして、驚いた表情を見せる組合員に「あ、」と声を漏らしたエイデンはなんてことないかのように皆に宣った。
「……というか、お前ら弱すぎねぇ?あんな雑魚相手にそんなに負傷してんの?」
「「「ヒッ…!」」」
「………今度、みっちりしごくから。」
「…。」
全員の顔から血の気が引いたのが目に見えて分かる。
「じゃぁ、気を付けて帰れよ。」と私の頬にキスを落として姿を消したエイデン。静まり返る救護室。
尊敬している旦那様なのだが、この空気をどうしてくれるんだ!と心の中で叫んだのはしょうがないだろう。
いたたまれなくなった私は救護室に居る全員を一気に治療した。
「じ、じゃぁ、カトリーヌ先輩、お邪魔しましたっ!私帰りますね!」
「……久しぶりに見ても、本当、なんていうか…。」
「え?何ですか?」
そして周りの視線から逃げるように壁や床などを見ながらあははと笑顔で救護室のドアへと一直線に歩み寄る。
「何でもないよ…。助かった。気を付けて帰りな。」
「はいっ!先輩もお気をつけてっ!!」
ピシャッと思いのほか大きな音を立て閉まったドアに自分でも驚いたが、謝るためにドアを開ける度胸もなく、そのまま私は救護室を後にした。
「…ありえない…。こんな大人数を、一気に…?…カトリーヌ、あの子何者なの…?」
「……後輩のソフィア・デュ・シメオン、…組合長の嫁ですよ…。……ほんと、ムカつくことに、なんだかんだエイデンとお似合いなんですよね…。」
逃げる様に救護室から立ち去ったソフィアに、カトリーヌらの会話など聞こえるはずも無かった。
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