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未来の息子が生まれましたが、

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 自分でも顔が真っ赤になっていることなど自覚している。自分で言っておいてすごく恥ずかしい。なんだこれ。顔を両手で隠しながらあー、だのうーだの言葉にならない発言をしている私に「ソフィアじゃなければ追い出してた」などと言う彼女は私の話をちゃんと聞いてくれるようで、「で?何があってそういう話になったの?」と尋ねてくる。
 言ってもいいものかと悩んだが、言わず中途半端にこんな訳も分からない相談されてもアニッサも困るだろうし、別にイリノスの魔法使いと親しいわけでもないから彼女らの肩を持たなくてもいいかと、先ほどの出来事を伝えた。














「…へぇ…、で、そのマウントとってくるイリノスの魔女に嫉妬したってわけね。」
「いや、マウントとってるかは…、」
「とってるでしょ。明らかに。褒められた、綺麗だって言われた、これからも仲良くしたいって言われた。本当にあいつがその女に言ったのかは定かじゃないけどね。」
「う~ん…、」
「それに、周りも輪になってソフィアに信じ込ませようとしているのが腹立つわ。本人が言うより周りが客観的に見てそうだったっていう情報は信憑性が高くなる。視線が熱いだの、愛おしそうだの、何を見て言ってんのか知らないけどね。バッカじゃないの。」

 なぜかその場にいた私よりも怒り心頭な様子のアニッサにたじろぐ。
 えーっと、私は何の話をしようとしていたんだっけ。

「で、でも、あの人たちは私がエイデンと結婚していること知らないからそういった会話をしたんだろうし…。」
「そこよそこ。そこからソフィアは間違ってるわ。なんでその女らがソフィアの事を知らないって前提で話してるわけ?」

 アニッサの発言に虚をつかれる。だって、彼らは私のことを知らないように話すから。『エイデンの妻』について。


「わざとでしょ。どうでもいいような相手に既婚の男から言い寄られているんだって話すると思う?初対面で?」


 …なるほど。うーん…、確かに、変、なのか?
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