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【〜No8〜】

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その日の夜、ブラットリーはマリアールを連れて、リリアーナの元にやって来た。
そしてブラッドリーは、マリアールの背中に手をあてて、そっと押した。
するとマリアールは、目に涙を溜めて震えながら一歩前に出た。

「あっ…あの…パヴェル嬢…そっ、その……」

その先が言えないマリアールを見て、ブラッドリーは優しくマリアールに声をかけた。

「マリアール、私も一緒にパヴェル嬢に詫びるから、きちんと自分の口で謝罪出来るだろう?」

そうブラッドリーに、言われたマリアールは堪えきれずに、涙をポロポロと流しながら、リリアーナに頭を下げた。

「ごめんなさい…。わっ…私の思い違いで、貴方に暴力を振るってしまったわ…。こんな大怪我をするなんて、思ってなくて…。うっうっ…。
本当に…ごめんなさい…うっうっ…。」

泣きながら頭を下げて、謝罪を口にしたマリアールの肩を抱き寄せながら、ブラットリーもリリアーナに謝罪した。

「パヴェル嬢…今回マリアールのしたことは、身勝手で許される事ではないが、正式にパヴェル家に謝罪文を送くらせて貰うし、君の怪我が治るまで、我が家が責任を持って治療させて貰うので、謝罪を受けて貰えないだろうか…」

そう言って格下の男爵令嬢に、頭を下げたマリアールとブラットリーを見て、リリアーナは慌てて二人に、頭を上げる様に伝えた。

「あの…あの…っ!!頭を上げて下さいませ。私は謝罪を受け取りました。
ですから、もう気にしないで下さい。
それと、我が家に謝罪文を送らないで下さい。そんな事をされたら、かえって両親が心配しますので、ご遠慮申し上げます」

「嫌!!それでは、私達の気がすまない…」

「あのぉ…それでしたらお言葉に甘えて、歩けるようになるまで、ここでお世話になっても、宜しいですか?実際、この足で寮に戻るのは大変なので…」

「勿論だ。歩けるようになるまでと言わずに、卒業までここから学園に、通ってもいいんだよ?」

「いえ!!そこまでしてもらう必要は御座いません!!私は、静かに学園生活を終えて、領地に帰りたいので、目立つことは避けたいのです。ですから、数日ご面倒をお掛けしますが、宜しくお願いします」

リリアーナはそう言って、頭を下げた。
ブラッドリーは、不満げではあったが、リリアーナの気持ちを汲んでくれた。

だが、その日からリリアーナは、豪華な食事と至れり尽くせりな生活を送る事になり、何かとブラッドリーが、プレゼントを持って、何度も部屋に訪れる様になっていた。

「あの…パルファージュ様、毎回こんな高価なプレゼントは、受け取れません。私には頂く理由はないのですから…」

「リリアーナ、何度も言っているだろう?パルファージュ様だなんて、呼ばずにブラッドリーと呼んでくれと。それにプレゼントは気にする程の物ではないさ…。
だからせめてこれだけでも、受け取って欲しいんだ。これは、魔石を埋め込んであるブレスレットで、アミュレットでもあるんだよ。
リリアーナが、怪我をしないように身に着けてていて欲しい」

「パルファージュ様…ですが…」

「ほら、またパルファージュ様と言ったね?仕方がないから、ブラットリーと呼べるまで練習だな♪」

そう言ってブラッドリーは、リリアーナを抱き上げてソファーに移動した。
そして膝の上に乗せて座ると、リリアーナの腕にブレスレットを嵌めた。
そのブレスレットは二連になっていて、小さなサファイア色の魔石がびっしり連なり輪になっていた。

(いやいや!!とっても綺麗で素敵だけど、こんなに魔石がぐるりと輪になって…。一体値段は、いくらなの?!この小さな一粒でも高価なのに、二連?!無理無理、怖くて身に着けてなんかいられないわ!! 早く外して返さなきゃ…)

「んっ?あれ…?外れない…」

「あぁ…、私にしか外せないようにしてあるから、外せないよ?」

「ええっ?!一日中着けたままですか?こんな高価な物を?あの…お願いですから、外して下さいパルファージュ様…」

リリアーナは焦りながら、ブラッドリーの目の前に腕を差し出して、外してくれるよう頼んだが、腕を掴まれてその手に(チュッ)と口づけをされてしまった。

「名を呼べるようになるまで、口づけだな…」

そう言って身体を抱きしめられて、唇を奪われた。

(また、魔力補給…。
ブラッドリー様は責任感が強すぎるわ。
毎回部屋に来る度に、私にキスをしてくるけど、怪我の為とはいえ、そんなに頻繁に魔力を補給しないと駄目なのかしら?
私が何度も気を失ったのだって、病弱のせいではなくブラッドリー様だからなのに…。
こんなに情熱的なキスをされたら、体は熱くなるし、子宮はきゅんきゅんしてしまうけど、これは単なる治療の一種なのよね…。
はぁ…なんだか切ないなぁ…。嬉しいはずなのに、悲しくなる…。贅沢な悩みよね…)

「リリアーナ…口づけしながら考えごとかい?」

急にブラッドリーが、口づけをやめて、不機嫌そうな顔で尋ねてきたので、リリアーナは思わず下を向き、ぽつり本音を口にしてしまった。

「…っ…いえ…治療の為とはいえ、度々お手を煩わせて、申し訳ないと思って…。お陰様で、もう痛みはないですから、明日にでも寮に戻ります。ですから魔力補給も、もう必要ありませんよ?」
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