22 / 34
第二章 それぞれの願い
9.魔法の記憶
しおりを挟む
「あら、ここに古語の本もありますね」
本棚を確認すると古語にまつわる本も置かれている。
開いてみると、著者は大魔導士シンシアだった。
他にも大魔導士シンシアが書いた本がいくつか並んでおり、エドは彼女が書いた本を集めていたようだ。
(魔導士として、彼女に憧れを抱いているのかしら?)
それならいいのに、と醜い感情が独り言ちる。
恋愛感情でなければ、心が落ち着いてくれるはずなのに……。
昏い気持ちを抱きつつ本の内容に目を通していると、扉を叩く音が聞こえてきた。
「フィー、入りますよ」
エドの声だ。
慌てて本を戻していると、扉が開いてエドが部屋の中に入ってくる。
「おや、本を読んでいたのですか」
「……っ! か、勝手に読んですみません」
「謝る必要はありませんよ。ここにある本は暇つぶしに読んでください」
青い瞳が、机の上に広げられた本に視線を滑らせる。
銀色の美しい睫毛が伏せられ、その青い瞳に陰りが落ちた。
微かに、エドが微笑んだ気配がした。
「魔法を勉強していたのですね。ここに閉じ込めても授業は止めないので安心してくださいね」
エドが人差し指を動かせば、どこからともなく天鵞絨張りの長椅子が現れる。
驚いて見守っていると、目の前にエドの手が差し出された。
「おいで。授業を始めましょう」
躊躇ったのち、促された通りに手を取れば、やんわりとした力で引き寄せられる。
あっという間に、エドの膝の上にのせられた。後ろから抱きしめられるような体勢になり、心臓が早鐘を打ち続けている。
おまけにエドが体を屈めると首元に彼の髪が当たり、くすぐったさに似た感覚を覚えた。
「あの、わたしは子どもではないので膝の上に乗せなくても大丈夫です」
「いいえ、あなたが逃げないように捕まえているのです」
「!」
不意に手を取られ、指同士が絡められた。
困惑するわたしの耳元で、エドが悪魔のように低く甘い声で囁く。
「今日は初期魔法を教えましょう。物を浮かす簡単な魔法です。本棚の中に在るあの黒い革張りの日記帳を浮かせてここまで運んでください」
「そんな……いきなり言われてもできません」
ほとほと困り果てていると、頭に柔らかなものが押し当てられた。
ちゅっと聞こえてきた音に、否が応でも何をされたのか想像させられてしまう。
「あなたならできますよ。あの日記帳に意識を集中させてください。そして魔力を注ぎ込むのです」
こんな状況で集中するなんて無理な話だ。
それでも、あの本をここまで運ばない限りはこの状況から脱することができないと悟り、一生懸命集中した。
黒い革張りの本を見据え、体の中に在る魔力に働きかける。魔力を本に触れさせるよう意識をすると、本がゆっくりと動く。
少しずつ、じれったいくらいにゆっくりと本が出てきた。
「……さすがです。やはりあなたは――でも魔法が使えるのですね」
「え……?」
エドの呟きに気をとられてしまい、本に注がれていた魔力が途切れてしまう。
ぐらりと傾いた本を、エドが魔法で手繰り寄せる。
「フィー、この日記帳を開けてみてください」
「は、はい」
手渡された日記帳に取り付けられている金具に手をかけると、背後でエドが小さく息を呑んだ。
がちゃりと音をたてて開くと、そこには何も書かれていなかった。
「……何も書かれていない? あれだけ厳重に錠をかけていたのに白紙であるはずがありません。それとも……これは偽物なのでしょうか?」
エドの困惑した声が背後から聞こえてくる。
彼が本に手を伸ばすと、ばちりと音を立てて弾かれた。
つうっと、エドの指に赤い筋が走る。
「旦那様!」
「大丈夫です。傷口は浅いのですぐに塞がります。……だけどこの部屋を血で汚してはいけませんので、ドリスに手当してもらってきますね」
エドは片手でわたしを椅子の上に座らせると立ち上がる。
ふっと表情を和らげたかと思うと、わたしの目尻に唇を寄せた。
どうやら私は泣いていたらしい。
「すぐに戻ってきますからね」
あやすようにそう言って、部屋を出て行ってしまった。
「どうしてこの本はエドが触れると攻撃したのでしょう?」
大切なエドに怪我をさせた忌々しい本を睨みつける。
すると、本の頁が仄かに光った。
みるみるうちに文字が現れ、無地の頁を埋め尽くしていく。
(魔法で隠されていたの?)
最初から最後まで、先ほどは真っ新だった頁はどこも文字で埋め尽くされていた。
ふと、とある一頁が目に入る。
指を滑らせてその一文字一文字を辿った。
『――今日もまた、ダレンに求婚された。彼がどのように想ってくれていても、私は彼を異性として意識できない』
(まさかこの日記の持ち主は……大魔導士シンシア?)
他の頁を捲り、疑惑は確信へと変わった。
彼女の仕事や日々の生活についての日記が書かれている。
どの頁にもダレンのことが書かれており、いかに二人の距離が近かったのかを思い知らされた。
『――ダレンが私への求婚を国王に掛け合っているらしい。そのような事をしても、私の気持ちは変わらないというのに……』
ある日を境に、ダレンからの求婚についての記述が多くなった。
そして、酷くインクが滲んでいる頁に辿り着いた。
『――ついに私は国王陛下と相談して、ダレンを王国魔導士団に所属させることにした。破門することなるが、ダレンの将来を想えばこうするしかない。あの子は天才で、私の後を継ぐ大魔導士になるべき人間なのだから、こうするしかないのだ』
そこには大魔導士シンシアの決意と嘆きが綴られていた。
読んでいると何故か、じんわりと目頭が熱くなる。
「……どうしてでしょう? こんなに涙があふれるなんて……」
拭っても拭っても、涙は止まってくれなかった。
本棚を確認すると古語にまつわる本も置かれている。
開いてみると、著者は大魔導士シンシアだった。
他にも大魔導士シンシアが書いた本がいくつか並んでおり、エドは彼女が書いた本を集めていたようだ。
(魔導士として、彼女に憧れを抱いているのかしら?)
それならいいのに、と醜い感情が独り言ちる。
恋愛感情でなければ、心が落ち着いてくれるはずなのに……。
昏い気持ちを抱きつつ本の内容に目を通していると、扉を叩く音が聞こえてきた。
「フィー、入りますよ」
エドの声だ。
慌てて本を戻していると、扉が開いてエドが部屋の中に入ってくる。
「おや、本を読んでいたのですか」
「……っ! か、勝手に読んですみません」
「謝る必要はありませんよ。ここにある本は暇つぶしに読んでください」
青い瞳が、机の上に広げられた本に視線を滑らせる。
銀色の美しい睫毛が伏せられ、その青い瞳に陰りが落ちた。
微かに、エドが微笑んだ気配がした。
「魔法を勉強していたのですね。ここに閉じ込めても授業は止めないので安心してくださいね」
エドが人差し指を動かせば、どこからともなく天鵞絨張りの長椅子が現れる。
驚いて見守っていると、目の前にエドの手が差し出された。
「おいで。授業を始めましょう」
躊躇ったのち、促された通りに手を取れば、やんわりとした力で引き寄せられる。
あっという間に、エドの膝の上にのせられた。後ろから抱きしめられるような体勢になり、心臓が早鐘を打ち続けている。
おまけにエドが体を屈めると首元に彼の髪が当たり、くすぐったさに似た感覚を覚えた。
「あの、わたしは子どもではないので膝の上に乗せなくても大丈夫です」
「いいえ、あなたが逃げないように捕まえているのです」
「!」
不意に手を取られ、指同士が絡められた。
困惑するわたしの耳元で、エドが悪魔のように低く甘い声で囁く。
「今日は初期魔法を教えましょう。物を浮かす簡単な魔法です。本棚の中に在るあの黒い革張りの日記帳を浮かせてここまで運んでください」
「そんな……いきなり言われてもできません」
ほとほと困り果てていると、頭に柔らかなものが押し当てられた。
ちゅっと聞こえてきた音に、否が応でも何をされたのか想像させられてしまう。
「あなたならできますよ。あの日記帳に意識を集中させてください。そして魔力を注ぎ込むのです」
こんな状況で集中するなんて無理な話だ。
それでも、あの本をここまで運ばない限りはこの状況から脱することができないと悟り、一生懸命集中した。
黒い革張りの本を見据え、体の中に在る魔力に働きかける。魔力を本に触れさせるよう意識をすると、本がゆっくりと動く。
少しずつ、じれったいくらいにゆっくりと本が出てきた。
「……さすがです。やはりあなたは――でも魔法が使えるのですね」
「え……?」
エドの呟きに気をとられてしまい、本に注がれていた魔力が途切れてしまう。
ぐらりと傾いた本を、エドが魔法で手繰り寄せる。
「フィー、この日記帳を開けてみてください」
「は、はい」
手渡された日記帳に取り付けられている金具に手をかけると、背後でエドが小さく息を呑んだ。
がちゃりと音をたてて開くと、そこには何も書かれていなかった。
「……何も書かれていない? あれだけ厳重に錠をかけていたのに白紙であるはずがありません。それとも……これは偽物なのでしょうか?」
エドの困惑した声が背後から聞こえてくる。
彼が本に手を伸ばすと、ばちりと音を立てて弾かれた。
つうっと、エドの指に赤い筋が走る。
「旦那様!」
「大丈夫です。傷口は浅いのですぐに塞がります。……だけどこの部屋を血で汚してはいけませんので、ドリスに手当してもらってきますね」
エドは片手でわたしを椅子の上に座らせると立ち上がる。
ふっと表情を和らげたかと思うと、わたしの目尻に唇を寄せた。
どうやら私は泣いていたらしい。
「すぐに戻ってきますからね」
あやすようにそう言って、部屋を出て行ってしまった。
「どうしてこの本はエドが触れると攻撃したのでしょう?」
大切なエドに怪我をさせた忌々しい本を睨みつける。
すると、本の頁が仄かに光った。
みるみるうちに文字が現れ、無地の頁を埋め尽くしていく。
(魔法で隠されていたの?)
最初から最後まで、先ほどは真っ新だった頁はどこも文字で埋め尽くされていた。
ふと、とある一頁が目に入る。
指を滑らせてその一文字一文字を辿った。
『――今日もまた、ダレンに求婚された。彼がどのように想ってくれていても、私は彼を異性として意識できない』
(まさかこの日記の持ち主は……大魔導士シンシア?)
他の頁を捲り、疑惑は確信へと変わった。
彼女の仕事や日々の生活についての日記が書かれている。
どの頁にもダレンのことが書かれており、いかに二人の距離が近かったのかを思い知らされた。
『――ダレンが私への求婚を国王に掛け合っているらしい。そのような事をしても、私の気持ちは変わらないというのに……』
ある日を境に、ダレンからの求婚についての記述が多くなった。
そして、酷くインクが滲んでいる頁に辿り着いた。
『――ついに私は国王陛下と相談して、ダレンを王国魔導士団に所属させることにした。破門することなるが、ダレンの将来を想えばこうするしかない。あの子は天才で、私の後を継ぐ大魔導士になるべき人間なのだから、こうするしかないのだ』
そこには大魔導士シンシアの決意と嘆きが綴られていた。
読んでいると何故か、じんわりと目頭が熱くなる。
「……どうしてでしょう? こんなに涙があふれるなんて……」
拭っても拭っても、涙は止まってくれなかった。
1
あなたにおすすめの小説
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のない、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
転生者と忘れられた約束
悠十
恋愛
シュゼットは前世の記憶を持って生まれた転生者である。
シュゼットは前世の最後の瞬間に、幼馴染の少年と約束した。
「もし来世があるのなら、お嫁さんにしてね……」
そして、その記憶を持ってシュゼットは転生した。
しかし、約束した筈の少年には、既に恋人が居て……。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
死にキャラに転生したけど、仲間たちに全力で守られて溺愛されています。
藤原遊
恋愛
「死ぬはずだった運命なんて、冒険者たちが全力で覆してくれる!」
街を守るために「死ぬ役目」を覚悟した私。
だけど、未来をやり直す彼らに溺愛されて、手放してくれません――!?
街を守り「死ぬ役目」に転生したスフィア。
彼女が覚悟を決めたその時――冒険者たちが全力で守り抜くと誓った!
未来を変えるため、スフィアを何度でも守る彼らの執着は止まらない!?
「君が笑っているだけでいい。それが、俺たちのすべてだ。」
運命に抗う冒険者たちが織り成す、異世界溺愛ファンタジー!
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる