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第一章 婚約破棄断罪イベント
断罪イベ当日のことである
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「お前は愛しいアンジュを虐げた!お前との、婚約は……」
くらり、と目の前が歪む。あ、あれ?なんだこのフリフリ衣装?!なんだこの左腕にしなだれかかる化粧の濃い勘違いドレス女!オレはスーツ着て電車に揺られてたはず……。
「ジュリアス様、どうかなさいました?さぁ、早くルミナスとの婚約を解消して私と王家を継ぎましょう?」
女が胸を押し付けて上目遣いでこちらを見つめる。うっわぁ。わざとらしい。香水臭い!合コンで嫌に絡まれたことを思い出させる。誰か助けて、と周りを見渡すと人!人!人!会食か何かなのか、グラスを持ち、扇を持ったドレス姿の女や、タキシード姿の男たちがヒソヒソと話し合っている。
なにこれ?なんか見たことあるよ。Web小説の断罪イベとかいうやつじゃない?こう、異世界転生恋愛ものの、悪役令嬢に転生してーみたいなやつ。最近流行ってるジャンルだったよね。えっ、ていうことは、オレも死んで転生しちゃったってこと?しかも王子様側に?ヤバくない?今の旬はザマァ系だ。王子に言い寄ってきた女が嘘つきで令嬢側はなにもしてなかったのに冤罪をかけられるやつ。そして王子から婚約破棄を叩きつけられ復讐劇…みたいな。
やばいやばいやばい!何で今記憶を取り戻すかな?もうほぼ口から答えが出てきてんじゃん!婚約破棄寸前じゃん!ダメだって!この女が正しくいじめられてたなら、ここで止まるのは裏切りだし申し訳ないけど、確かないじめの証拠ってあるんですか?!オレにはこの図太いケバケバ金髪ドリルが虐められる玉には見えないんだが……?
今のオレには、オレがジュリアス様って呼ばれてて、アンジュって女が好きだったことと、王族であることと、ルミナスって人と婚約破棄を言い出してる途中ってことしかわかんない。周りの様子を伺おう。聞き耳!
ージュリアス様って第三王子だろう?
ーああ、それに第一王子が来月皇太子になるはずだが…。
ールミナス様、婚約破棄されてしまうのかしら。あることないこと吹き込んで、男爵の位のくせにあんなに馴れ馴れしく…許せないわ…。
おっ、なんか言ってる。外野の言葉を察するに、このケバ女は王妃になりたくてオレに嘘を吹き込んでたみたい?そんな曲がったこと許されねぇな!
「ルミナス、ルミナス。こんな公の場で、このようなことを話してしまって、申し訳ない。君に恥をかかせてしまった。アンジュはこう言っていたが、君がそういうことをした証拠を教えてもらってないんだ。アンジュとルミナスとオ…私で、別室で話をしないか?」
日本人の頃の記憶ではなく、ジュリアスだった頃の記憶を呼び戻しながら、ルミナスを探す。
うーん、ジュリアスの最近の記憶はアンジュの事ばっかだな。学園で教科書を破られたー!って泣くアンジュの背を撫でた記憶しか思い出せない。ルミナスが誰かわからないまま、左腕の女を振り払いつつこちらにくるように促す。
「はい、ジュリアス殿下の仰せのままに…」
ルミナスと呼ばれたその人は、銀髪碧眼の男だった。
……ん?なんで?
くらり、と目の前が歪む。あ、あれ?なんだこのフリフリ衣装?!なんだこの左腕にしなだれかかる化粧の濃い勘違いドレス女!オレはスーツ着て電車に揺られてたはず……。
「ジュリアス様、どうかなさいました?さぁ、早くルミナスとの婚約を解消して私と王家を継ぎましょう?」
女が胸を押し付けて上目遣いでこちらを見つめる。うっわぁ。わざとらしい。香水臭い!合コンで嫌に絡まれたことを思い出させる。誰か助けて、と周りを見渡すと人!人!人!会食か何かなのか、グラスを持ち、扇を持ったドレス姿の女や、タキシード姿の男たちがヒソヒソと話し合っている。
なにこれ?なんか見たことあるよ。Web小説の断罪イベとかいうやつじゃない?こう、異世界転生恋愛ものの、悪役令嬢に転生してーみたいなやつ。最近流行ってるジャンルだったよね。えっ、ていうことは、オレも死んで転生しちゃったってこと?しかも王子様側に?ヤバくない?今の旬はザマァ系だ。王子に言い寄ってきた女が嘘つきで令嬢側はなにもしてなかったのに冤罪をかけられるやつ。そして王子から婚約破棄を叩きつけられ復讐劇…みたいな。
やばいやばいやばい!何で今記憶を取り戻すかな?もうほぼ口から答えが出てきてんじゃん!婚約破棄寸前じゃん!ダメだって!この女が正しくいじめられてたなら、ここで止まるのは裏切りだし申し訳ないけど、確かないじめの証拠ってあるんですか?!オレにはこの図太いケバケバ金髪ドリルが虐められる玉には見えないんだが……?
今のオレには、オレがジュリアス様って呼ばれてて、アンジュって女が好きだったことと、王族であることと、ルミナスって人と婚約破棄を言い出してる途中ってことしかわかんない。周りの様子を伺おう。聞き耳!
ージュリアス様って第三王子だろう?
ーああ、それに第一王子が来月皇太子になるはずだが…。
ールミナス様、婚約破棄されてしまうのかしら。あることないこと吹き込んで、男爵の位のくせにあんなに馴れ馴れしく…許せないわ…。
おっ、なんか言ってる。外野の言葉を察するに、このケバ女は王妃になりたくてオレに嘘を吹き込んでたみたい?そんな曲がったこと許されねぇな!
「ルミナス、ルミナス。こんな公の場で、このようなことを話してしまって、申し訳ない。君に恥をかかせてしまった。アンジュはこう言っていたが、君がそういうことをした証拠を教えてもらってないんだ。アンジュとルミナスとオ…私で、別室で話をしないか?」
日本人の頃の記憶ではなく、ジュリアスだった頃の記憶を呼び戻しながら、ルミナスを探す。
うーん、ジュリアスの最近の記憶はアンジュの事ばっかだな。学園で教科書を破られたー!って泣くアンジュの背を撫でた記憶しか思い出せない。ルミナスが誰かわからないまま、左腕の女を振り払いつつこちらにくるように促す。
「はい、ジュリアス殿下の仰せのままに…」
ルミナスと呼ばれたその人は、銀髪碧眼の男だった。
……ん?なんで?
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