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第三章 アイラ・ドゥ・ライラックの悲恋
前回までのあらすじ
しおりを挟む『竜王の聖女と紅の卵』という話を知ってるだろうか。竜王の谷で、国を護る竜王という厄介な存在の世話をしていた竜王の聖女、公爵令嬢ルミナス・ヘイストスが第一王子ジュリアスに婚約破棄を言い渡され、隣国の騎士に拾われて復讐劇を始める…。ザマァ系と呼ばれるWEB小説のセオリーをふんだんに使ったライトノベルだ。
なんでいきなり小説の紹介をしたんだって?それはこの世界とこの小説が切ってもきれない関係にあるからだ。
第三王子ジュリアスことオレは、ルミナスに婚約破棄を言い渡すその瞬間、朧げな前世の記憶を取り戻した。前世、Web小説で散々見た光景、報復を受け死にたくなかったオレは咄嗟に恋人アンジュ・カトゥルヌス男爵令嬢とルミナスとオレで話し合いの場を設けることにした。
ルミナスは男だった。男なのに婚約?なんで?と思いながらも話し合いを進めると、アンジュがオレに麻薬の類を盛ってたことがわかり捕まった。
アンジュの家を調べると出るわ出るわ謎の影。己を勇者と名乗り邪智暴虐の限りを尽くした誠哉君。その名の通り彼は生粋の日本人。愛読書は『竜王の聖女と紅の卵』。つまりこの世界は小説ファンの誠哉にとって親の顔より見た世界な訳だ。誠哉は原作を再現しようとした。竜王の聖女を手籠にするためにカトゥルヌス男爵を作りアンジュをオレにあてがった。
しかしここは『竜王の聖女と紅の卵』の設定と大分変わっていたし、キャラクターごとに意思が芽生えていた。(この世界を何回も繰り返した神様は小説とはまた違った展開を欲しがった)
剣と魔法はあるけれど、ここは現実。ストーリー通りの展開は一切しなかった。
ルミナスとオレは婚前前に…その…。性交渉をして結ばれて。卵を産んだし、その卵から新たな竜王が生まれた。誠哉も知らないニューカマー、我が子であり、竜王であるリリーナ、オレとルミナス、そして心を入れ替えたアンジュの四人で、誠哉を迎え撃とうとした…。
さてもう一度言おう、ここは剣と魔法はあれど現実、ストーリー道りに話は進まないんだ。
誠哉は原作再現のためにマッチを使って火をつけようとした…。昔のマッチは扱いを雑にするとすぐ引火する。彼はマッチ箱を乱暴に懐に入れ、事故が起こった。服に着火し燃え広がり怯えてパニックになって……火を消してやったら、失禁失神。
小説のようなドラマチックな戦闘なんぞ何一つなく、お縄についたわけである。
ここは小説をもとにしたものの、リアル。諸悪の根源が居なくなれば、みんな幸せに暮らしましたーーなんてなるはずもなく…。
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