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第三章
駿の中ののぶ
しおりを挟む「んっ、な、なんだ」
突然、駿がいたところに眩い光が立ち昇った。
「道成、ごめん。俺、俺……。謝ったってゆるされることじゃないってわかっている。けど、ごめんとしか言えない。本当にごめん」
土下座をする男の子がいた。駿に似た感じだけど違う。あれは……。
「のぶ。おまえ、のぶなのか」
のぶって。
早苗の中にいる道成の母が呼びかける。
のぶは涙で頬を濡らしながら頷いた。
「道成の親友だった子よ。道成の胸に杭を打ち込んで腹を切り裂いた子よ」
道成の母にとって憎い相手のはずなのにどこか優し気で涙声になっていた。
なぜ、どうしてとの思いと同時に道成の母の気持ちが伝わってくる。早苗もまた涙してしまった。そんな中、のぶは光輝いていた。
「くそっ、まぶしい。まぶしすぎる」
「俺をそのナイフで刺せ。俺はすでに死んでいるがそれで俺の魂は二度と生まれ変わることはできないだろう。だから刺せ」
のぶの身体に纏う光が少しずつ萎んでいく。
「そうか、望み通りにしてやろう。今度はおまえが生け贄となるのだな」
とぐろを巻く真っ黒な蛇が笑ったように見えた。道成の腕に真っ黒な蛇が絡みつき振り上げられた。のぶの頭上に鈍く光るサバイバルナイフが。
「ダメ、そんなのダメ」
早苗の足は自然と動いていた。
「道成。あなたは優しい子でしょ。そんな酷いことしちゃダメ。のぶだってあなたを殺したくはなかったのよ。あなたは知らないでしょう。のぶの父が殺されたこと。母が殺されたこと。あなたを生け贄として捧げて殺さなければのぶの幼い妹も殺すと脅されていたことを知らないでしょう」
早苗を通して道成の母が叫ぶ。
道成は動きを止めてこっちに目を向けた。
『騙されるな。全部嘘だ。おまえは仇なす者を皆殺しにすればいいのだ。血だ。血がほしい。血祭りにするのだ。そうでなければ……』
真っ黒な蛇が赤い目を光らせて道成の耳元で囁いた。
そうでなければ、いったいなんだというのだろう。
道成は雄叫びをあげてサバイバルナイフをグッと握りしめてのぶを睨みつけた。
『殺せ、殺せ、殺せ』
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