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第二話 新たな奇跡
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季節は巡り、龍之介君が生き返ってから一年経った、
ある日、龍之介君が体調を崩した。
「大丈夫かい?」
「うん……」
食事もまともに摂れずにいる。
「龍之介さんの症状は “つわり”に似ているわね」
とみ子の指摘に僕も龍之介君も目を見開いた。
「“つわり”って、僕は男だよ……
妊娠はできないよ……」
龍之介君が慌てて否定するけど、僕も、
薄々、そんな気がしていた。
「ちょっとごめんね」
布団に座っている 龍之介君の額に手を当てると
少し、微熱があるみたいだった。
「もう少し、様子を見てみないと確信はないけど、
もし、龍之介君が僕の子を 宿しているなら嬉しい」
食の好みが変わったり、 ある匂いに敏感になったりと
龍之介君の症状は“つわり”で間違いないと確信した。
「本当に僕が犀星君の子を……
とみ子さんは……」
「あら、私は嬉しいわ。
男の子かしら? 女の子かしら?
どちらでも、きっと可愛いわね」
とみ子ならそう言うと思った。
「そうとわかれば、龍之介さんのご飯は別に作らないとね」
心なしかとみ子は楽しそうだ。
その日の夜、とみ子は おにぎり二個とりんご、 それから、白湯を乗せたお盆てもったきた。
「無理に全部食べなくても 大丈夫ですから、少しずつ食べてくださいね」
とみ子は部屋の端に座り
見守っている。
「美味しい……」
龍之介君は少しずつ、ゆっくりとおにぎりを箸で小さく
崩しながら食べている。
「はい、白湯も飲んで」
僕は白湯の入った湯飲みを
龍之介君に渡した。
「ありがとう、犀星君」
それから数ヶ月、
酷いつわりもなく、
安定期に入った。
日に日に、大きくなる
龍之介君のお腹を見て
僕は仕事に精を出した。
家族が増えるなら出費も増える。
そして、僕はあらかじめ
調べておいた病院に連絡を入れ、早めの準備をした。
死人で男性で妊娠なんて
本来ならあり得ないことだから、病院も念入りに調べ
口外しないように言っておいた。
ーー
帝王切開で生まれた僕と龍之介君の子は男の子だった。
「元気な男の子ですよ」
看護師さんが取り上げた
赤ん坊を龍之介君に渡した。
「可愛い……
目元は犀星君似だね」
「口元は龍之介君似だよ」
赤ん坊も龍之介君も元気になり、
一週間後、室生家に帰ってきた。
ある日、龍之介君が体調を崩した。
「大丈夫かい?」
「うん……」
食事もまともに摂れずにいる。
「龍之介さんの症状は “つわり”に似ているわね」
とみ子の指摘に僕も龍之介君も目を見開いた。
「“つわり”って、僕は男だよ……
妊娠はできないよ……」
龍之介君が慌てて否定するけど、僕も、
薄々、そんな気がしていた。
「ちょっとごめんね」
布団に座っている 龍之介君の額に手を当てると
少し、微熱があるみたいだった。
「もう少し、様子を見てみないと確信はないけど、
もし、龍之介君が僕の子を 宿しているなら嬉しい」
食の好みが変わったり、 ある匂いに敏感になったりと
龍之介君の症状は“つわり”で間違いないと確信した。
「本当に僕が犀星君の子を……
とみ子さんは……」
「あら、私は嬉しいわ。
男の子かしら? 女の子かしら?
どちらでも、きっと可愛いわね」
とみ子ならそう言うと思った。
「そうとわかれば、龍之介さんのご飯は別に作らないとね」
心なしかとみ子は楽しそうだ。
その日の夜、とみ子は おにぎり二個とりんご、 それから、白湯を乗せたお盆てもったきた。
「無理に全部食べなくても 大丈夫ですから、少しずつ食べてくださいね」
とみ子は部屋の端に座り
見守っている。
「美味しい……」
龍之介君は少しずつ、ゆっくりとおにぎりを箸で小さく
崩しながら食べている。
「はい、白湯も飲んで」
僕は白湯の入った湯飲みを
龍之介君に渡した。
「ありがとう、犀星君」
それから数ヶ月、
酷いつわりもなく、
安定期に入った。
日に日に、大きくなる
龍之介君のお腹を見て
僕は仕事に精を出した。
家族が増えるなら出費も増える。
そして、僕はあらかじめ
調べておいた病院に連絡を入れ、早めの準備をした。
死人で男性で妊娠なんて
本来ならあり得ないことだから、病院も念入りに調べ
口外しないように言っておいた。
ーー
帝王切開で生まれた僕と龍之介君の子は男の子だった。
「元気な男の子ですよ」
看護師さんが取り上げた
赤ん坊を龍之介君に渡した。
「可愛い……
目元は犀星君似だね」
「口元は龍之介君似だよ」
赤ん坊も龍之介君も元気になり、
一週間後、室生家に帰ってきた。
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