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エピローグ
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奏美も生まれ、長屋では 手狭になったため、思いきって一軒家を購入した。
僕ととみ子の子である朝子と朝巳はそれぞれ、家を出ていたため、新しい家には、家長の僕ととみ子、龍之介君と結依人と奏美の五人で暮らすことになった。
「二十年前、龍之介君と“再会”した時は本当に驚いたよ。
あの日は龍之介君の“命日”だったから、
白昼夢でも見てるのかと思った……」
新居の縁側に龍之介君と並んで座りながら話している。
「そうだね、僕も“生き返る”とは思ってなかったし、
ましてや、“男”なのに“妊娠”や“出産”まで……
結依人と奏美は間違いなく 僕が“産んだ”犀星君の子だ。
ねぇ犀星君、奏美ももうすぐ一歳だし、今夜は抱いてほしい」
「わかった。
たまには、“避妊”しよう」
家族が増えるのは嬉しいけど 龍之介君の身体に負担が かかりすぎるのもよくない。
「僕はまた、家族が増えてもいいよ?
犀星君は嫌?」
「嫌なわけじゃないけど、 龍之介君は“男性”なのに “妊娠”や“出産”ができる身体だから、負担が大きいと思うんだ……
僕は今度こそ、龍之介君と一緒に年を取りたいんだよ」
二十年前、龍之介君が自害したと知った時の喪失感は 二度と味わいたくない。
「ありがとう、犀星君。
なら、今夜は“避妊”、お願いしようかな」
「わかった」
龍之介君の手を握りながら 庭を元気に走り回る結依人を見て この幸せが続くことを願った。
「犀星君、僕は“生き返った”というより “やり直し”の機会をもらったんだと思う。
“生き返って”最初に会ったのが犀星君だったのも 意味があったんだと思う。
僕は犀星君と“生き直す”ためだと思った。
犀星君ととみ子さん、それから結依人と奏美。
新しい家族と新しい家で 過ごせることが何よりの喜びだから……
結依人と奏美が生まれたのも、 僕の願望が神様には筒抜けだったのかも」
「それは、どういう意味だい?」
龍之介君の願望?
「実はね、僕は自害する前から 密かに犀星君の子を産めたらよかったのにって思ってたんだ」
まさか、龍之介君がそんなに前から、 僕との子を望んでいたなんて……
「同性同士で子ができないのは わかっていても、“想像の中”では 何度も夢を見ていたんだ」
「龍之介君はずるいな……
そんな話しをされたら、 “避妊”しようと言ったばかりなのに 撤回したくなってしまう……」
「犀星君の思ままに抱いていいんだよ。
“避妊”も犀星君の気分で決めていいからね。
僕は、犀星君の“奥さん”なんだから “旦那さん”の意志を尊重したいんだ」
龍之介君が従順過ぎる……
「なら、やっぱり 今夜は“避妊”しない ってことでいいかい?
もう一人、ほしいんだ。
龍之介君の負担が 大きいのはわかってるけど、産んでくれるかい?」
「もちろん。
⟦犀星君の仰せのままに⟧」
悪戯っぽい笑みを浮かべて 耳元で囁かれた言葉に 僕は龍之介君を思い切り抱き締めた。
「⟦あんまり、僕を煽らないで……⟧」
あまり、煽られると
制御できなくなってしまう。
「わざと、煽ってるんだよ。
犀星君の子を“産める”のは
僕にとって、誇りで名誉なことなんだから……
愛してるよ、犀星君」
僕はとみ子と龍之介君という
二人の“奥さん”に一生、勝てないと思った。
「僕も愛してるよ、龍之介君」
“生き直し”を許された
龍之介君と今度こそ、
最後は瞬間まで生きて行こうと誓った。
僕ととみ子の子である朝子と朝巳はそれぞれ、家を出ていたため、新しい家には、家長の僕ととみ子、龍之介君と結依人と奏美の五人で暮らすことになった。
「二十年前、龍之介君と“再会”した時は本当に驚いたよ。
あの日は龍之介君の“命日”だったから、
白昼夢でも見てるのかと思った……」
新居の縁側に龍之介君と並んで座りながら話している。
「そうだね、僕も“生き返る”とは思ってなかったし、
ましてや、“男”なのに“妊娠”や“出産”まで……
結依人と奏美は間違いなく 僕が“産んだ”犀星君の子だ。
ねぇ犀星君、奏美ももうすぐ一歳だし、今夜は抱いてほしい」
「わかった。
たまには、“避妊”しよう」
家族が増えるのは嬉しいけど 龍之介君の身体に負担が かかりすぎるのもよくない。
「僕はまた、家族が増えてもいいよ?
犀星君は嫌?」
「嫌なわけじゃないけど、 龍之介君は“男性”なのに “妊娠”や“出産”ができる身体だから、負担が大きいと思うんだ……
僕は今度こそ、龍之介君と一緒に年を取りたいんだよ」
二十年前、龍之介君が自害したと知った時の喪失感は 二度と味わいたくない。
「ありがとう、犀星君。
なら、今夜は“避妊”、お願いしようかな」
「わかった」
龍之介君の手を握りながら 庭を元気に走り回る結依人を見て この幸せが続くことを願った。
「犀星君、僕は“生き返った”というより “やり直し”の機会をもらったんだと思う。
“生き返って”最初に会ったのが犀星君だったのも 意味があったんだと思う。
僕は犀星君と“生き直す”ためだと思った。
犀星君ととみ子さん、それから結依人と奏美。
新しい家族と新しい家で 過ごせることが何よりの喜びだから……
結依人と奏美が生まれたのも、 僕の願望が神様には筒抜けだったのかも」
「それは、どういう意味だい?」
龍之介君の願望?
「実はね、僕は自害する前から 密かに犀星君の子を産めたらよかったのにって思ってたんだ」
まさか、龍之介君がそんなに前から、 僕との子を望んでいたなんて……
「同性同士で子ができないのは わかっていても、“想像の中”では 何度も夢を見ていたんだ」
「龍之介君はずるいな……
そんな話しをされたら、 “避妊”しようと言ったばかりなのに 撤回したくなってしまう……」
「犀星君の思ままに抱いていいんだよ。
“避妊”も犀星君の気分で決めていいからね。
僕は、犀星君の“奥さん”なんだから “旦那さん”の意志を尊重したいんだ」
龍之介君が従順過ぎる……
「なら、やっぱり 今夜は“避妊”しない ってことでいいかい?
もう一人、ほしいんだ。
龍之介君の負担が 大きいのはわかってるけど、産んでくれるかい?」
「もちろん。
⟦犀星君の仰せのままに⟧」
悪戯っぽい笑みを浮かべて 耳元で囁かれた言葉に 僕は龍之介君を思い切り抱き締めた。
「⟦あんまり、僕を煽らないで……⟧」
あまり、煽られると
制御できなくなってしまう。
「わざと、煽ってるんだよ。
犀星君の子を“産める”のは
僕にとって、誇りで名誉なことなんだから……
愛してるよ、犀星君」
僕はとみ子と龍之介君という
二人の“奥さん”に一生、勝てないと思った。
「僕も愛してるよ、龍之介君」
“生き直し”を許された
龍之介君と今度こそ、
最後は瞬間まで生きて行こうと誓った。
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