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第十話 君を守る言葉
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翌日、教室に入った瞬間、空気の異変に気づいた。
ざわざわとした囁き。
すぐに耳に飛び込んできたのは、
信じられない言葉だった。
「聞いた? 璃羅ちゃん、
売名で真人君と婚約したんだって」
「やっぱりね~。
アイドル科ってイメージ商売だから」
「不良と噂の真人君を利用して“話題作り”か」
(……なに、それ……!)
体の芯が冷えていく。
顔を上げられずに席に着いたけど、
背中に無数の視線が突き刺さってくる。
――私が、真人君を利用している?
(違う……! そんなの、絶対に違う……!)
けれど声にならなかった。
喉が塞がれて、ただ俯くしかできなかった。
昼休み。
廊下でまた同じ噂を耳にしたとき、
不意に低い声が響いた。
『誰がそんなこと言った』
振り返ると、そこに真人君がいた。
真っ直ぐな眼差しで、周囲の生徒を見据えている。
『璃羅が俺を利用してる? ふざけんなよ』
ざわつく空気が一瞬で凍りついた。
『婚約は俺が望んで決めたことだ。
璃羅は何ひとつ俺を利用なんかしてねぇ』
声は低く、けれど一切の迷いがなかった。
『売名なんてくだらねぇ理由じゃない。
俺は璃羅が好きだから一緒にいる。
それ以外の理由なんかあるかよ』
息を呑む音があちこちから漏れる。
誰もが想定していなかった“正面からの否定”。
その場にいた誰も、言葉を返せなかった。
真人君は最後に一瞥をくれて、
私の手を取った。
『行くぞ』
そのまま強く引かれて歩き出す。
彼の手の温もりに、涙がこぼれそうになった。
(……あぁ、私……守られてる)
噂なんかに負けないくらい、
真人君の言葉は力強かった。
だけど、背中越しに感じた空気は冷たいまま。
――噂は消えたわけじゃない。
むしろ、彼の言葉によって
誰かの反感をさらに買った気がしてならなかった。
(……これで終わらない。
また何かが起きる……)
璃羅の胸には、不安の影が深く沈んでいった。
ざわざわとした囁き。
すぐに耳に飛び込んできたのは、
信じられない言葉だった。
「聞いた? 璃羅ちゃん、
売名で真人君と婚約したんだって」
「やっぱりね~。
アイドル科ってイメージ商売だから」
「不良と噂の真人君を利用して“話題作り”か」
(……なに、それ……!)
体の芯が冷えていく。
顔を上げられずに席に着いたけど、
背中に無数の視線が突き刺さってくる。
――私が、真人君を利用している?
(違う……! そんなの、絶対に違う……!)
けれど声にならなかった。
喉が塞がれて、ただ俯くしかできなかった。
昼休み。
廊下でまた同じ噂を耳にしたとき、
不意に低い声が響いた。
『誰がそんなこと言った』
振り返ると、そこに真人君がいた。
真っ直ぐな眼差しで、周囲の生徒を見据えている。
『璃羅が俺を利用してる? ふざけんなよ』
ざわつく空気が一瞬で凍りついた。
『婚約は俺が望んで決めたことだ。
璃羅は何ひとつ俺を利用なんかしてねぇ』
声は低く、けれど一切の迷いがなかった。
『売名なんてくだらねぇ理由じゃない。
俺は璃羅が好きだから一緒にいる。
それ以外の理由なんかあるかよ』
息を呑む音があちこちから漏れる。
誰もが想定していなかった“正面からの否定”。
その場にいた誰も、言葉を返せなかった。
真人君は最後に一瞥をくれて、
私の手を取った。
『行くぞ』
そのまま強く引かれて歩き出す。
彼の手の温もりに、涙がこぼれそうになった。
(……あぁ、私……守られてる)
噂なんかに負けないくらい、
真人君の言葉は力強かった。
だけど、背中越しに感じた空気は冷たいまま。
――噂は消えたわけじゃない。
むしろ、彼の言葉によって
誰かの反感をさらに買った気がしてならなかった。
(……これで終わらない。
また何かが起きる……)
璃羅の胸には、不安の影が深く沈んでいった。
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