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第三話 判決の時間です
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翌々日、室生家の居間に河越風骨先生・恭・犀さん、そして僕が集まった。
「初めまして、芥川龍之介です。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく、芥川君。
話は犀星と恒藤君から聞いている。
犀星、よく気づいた」
「七年も裁判所勤務していたんですからわかりますよ、風骨先生。
それに、愛する人を守りたいと思うのは普通のことですよ」
犀さんは僕の手を優しく握ってくれた。
「その借用書は利息制限法を大幅に超過しているのは明らかな上に、
この、脅迫紛いの文言は公序良俗違反だ。
本来なら、遺産放棄ができたはずなんだが、何もわからない芥川君を言いくるめたんだろう。
文士なんて生き物は私や犀星、恒藤君のよう
に直接法曹界に携わるか、君たちの友人の菊地寛君のような
実業家でないかぎり、法律など知らない者が殆んどだ。
私たちに任せておきなさい」
ーー
一週間後、とある旅館の大広間には生家の新原家、
養家の芥川家、そして、河越風骨先生と恭と犀さん、
そして僕がいた。
高利貸しの件は恭が直ぐに解決してくれた。
「どうも皆さん、お集まりいただき恐縮です」
恭の下からの物言いに両家の親族はにやにやと笑っている。
「笑っていられるのも今のうちですよ。
それから、龍之介、江口はお前を辱しめろとそこにいる新原家の実父に金を渡されたと吐いた」
新たに告げられた真実に閃輝暗点とは違う目眩を覚えた。
「へぇ? 拾い親なんて自分勝手な理由で養子に出しといて、更に息子を売るとはね……作家なのに、呆れ過ぎて言葉が出て来ないよ、全く。
河越先生・恭、僕は今、この場をもって、芥川家からも新原家からも離縁することを宣言し、これまでの不当に搾取されて来た金銭の返還を求む。
応じなければ、告訴し法廷で争っても構わない」
僕には味方がいる。
「な、龍之介、お前、親を捨てるのか!?」
「親? 僕を跡取りという枠に嵌めたかったかどうかは置いといて、百歩譲って芥川家の養父母と伯母には
幼少期に育ててもらったし、大学も行かせてくれたから
まだ、いいが、新原家は生家というだけで僕に金の無心と
本来、拒否権があった借金の肩代わりを押し付けておいてまだ親だと言い張るのかい?」
「そんな簡単に、血縁関係を法で切れるわけないだろう!!」
「新原さん、あなたは何もわかっていない。
あなたが江口に金を渡し、龍之介君を辱しめるように頼んだことは立派な犯罪なんだよ。
強要罪の教唆、および名誉毀損。
さらに、実の息子を性的虐待の対象として売ったとなれば、
公序良俗に反する著しい不法行為だ。
それから、血縁なんてものはただの記号であって
個人を縛るものではない」
犀さんは普段からは考えられないほどの地を這うような声色で告げた。
「僕らはどちらでも構わない、今すぐに全額返還と離縁の書類に署名するか、法廷で争い、世間の晒し者にされるか
好きな方を選ぶといい」
追い討ちをかけるような恭の言葉に両家は書類に署名した。
「初めまして、芥川龍之介です。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく、芥川君。
話は犀星と恒藤君から聞いている。
犀星、よく気づいた」
「七年も裁判所勤務していたんですからわかりますよ、風骨先生。
それに、愛する人を守りたいと思うのは普通のことですよ」
犀さんは僕の手を優しく握ってくれた。
「その借用書は利息制限法を大幅に超過しているのは明らかな上に、
この、脅迫紛いの文言は公序良俗違反だ。
本来なら、遺産放棄ができたはずなんだが、何もわからない芥川君を言いくるめたんだろう。
文士なんて生き物は私や犀星、恒藤君のよう
に直接法曹界に携わるか、君たちの友人の菊地寛君のような
実業家でないかぎり、法律など知らない者が殆んどだ。
私たちに任せておきなさい」
ーー
一週間後、とある旅館の大広間には生家の新原家、
養家の芥川家、そして、河越風骨先生と恭と犀さん、
そして僕がいた。
高利貸しの件は恭が直ぐに解決してくれた。
「どうも皆さん、お集まりいただき恐縮です」
恭の下からの物言いに両家の親族はにやにやと笑っている。
「笑っていられるのも今のうちですよ。
それから、龍之介、江口はお前を辱しめろとそこにいる新原家の実父に金を渡されたと吐いた」
新たに告げられた真実に閃輝暗点とは違う目眩を覚えた。
「へぇ? 拾い親なんて自分勝手な理由で養子に出しといて、更に息子を売るとはね……作家なのに、呆れ過ぎて言葉が出て来ないよ、全く。
河越先生・恭、僕は今、この場をもって、芥川家からも新原家からも離縁することを宣言し、これまでの不当に搾取されて来た金銭の返還を求む。
応じなければ、告訴し法廷で争っても構わない」
僕には味方がいる。
「な、龍之介、お前、親を捨てるのか!?」
「親? 僕を跡取りという枠に嵌めたかったかどうかは置いといて、百歩譲って芥川家の養父母と伯母には
幼少期に育ててもらったし、大学も行かせてくれたから
まだ、いいが、新原家は生家というだけで僕に金の無心と
本来、拒否権があった借金の肩代わりを押し付けておいてまだ親だと言い張るのかい?」
「そんな簡単に、血縁関係を法で切れるわけないだろう!!」
「新原さん、あなたは何もわかっていない。
あなたが江口に金を渡し、龍之介君を辱しめるように頼んだことは立派な犯罪なんだよ。
強要罪の教唆、および名誉毀損。
さらに、実の息子を性的虐待の対象として売ったとなれば、
公序良俗に反する著しい不法行為だ。
それから、血縁なんてものはただの記号であって
個人を縛るものではない」
犀さんは普段からは考えられないほどの地を這うような声色で告げた。
「僕らはどちらでも構わない、今すぐに全額返還と離縁の書類に署名するか、法廷で争い、世間の晒し者にされるか
好きな方を選ぶといい」
追い討ちをかけるような恭の言葉に両家は書類に署名した。
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