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第二十八話 提案と土地探し❬芥川比呂志視点❭
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母さんとママや下の子どもたちが寝た後、
俺と父さんとパパで話すことになった。
「龍之介君、“皆”で暮らさないか?」
父さんはパパの言葉の意味を考えているようだった。
「芥川家と室生家なんて、分ける必要はないってことさ。
“一つ屋根の下”で全員で暮らそう。
龍之介君と文さんが“夫婦”であること、
僕と龍之介君が“恋人同士”であること、
僕ととみ子が“夫婦”であることも全て変わらない。
だけど、今のように二家を行き来するのは非効率だと思うんだ」
「確かに、今の室生家と芥川家は少々距離があるからね……
犀星君の言いたいことはわからないでもないけど
現実問題、都会じゃかなり手狭で土地も高い。
僕も犀星君も浪費癖はないから、
それなりの預金はあるだろうけど……」
「なら、郊外でもいいじゃないか。
子どもたちの学校や僕たちの仕事の都合上、
そこまで都会から離れず、でも静かで広い庭がある家。
龍之介君の要望は、都内への交通の便がいいことだろう?」
父さんの心の中を見抜いたようなパパの言葉に俺は笑った。
「電車かバスで一時間くらいの距離がいい」
父さんは東京の地図を開いて思案を始めた。
「奥多摩の方はどうだろうか?
あの辺りなら敷地も広いし、土地も安いけど」
パパが奥多摩を指すと父さんが首を傾げた。
「あまり、奥地だと通学と通勤に不便じゃないかい?」
今度はパパが父さんの言葉に納得したらしい。
「それもそうだね。う~ん、自然豊かで都内に近い場所……」
二人で地図とにらめっこしているパパと父さんを見ていた俺は
心の中に暖かいものが溢れた。
そして、つくづく、俺は幸せ者だと思った。
「比呂志君はどんな家がいい?」
まさか、俺の意見を訊かれるとは思わなかった。
「本を沢山、置ける部屋と父さんやパパたちみたいな書斎がほしいかな。
あ、朝子ちゃんは女の子だから、部屋を一人部屋にしてたげたい」
そう思ったのはクラスの女の子の話を聞いたからだった。
〘兄弟と同じ部屋だと着替えが恥ずかしい〙
〘化粧品の置き場がない〙
そんなことを言っていたからだ。
「年頃の女の子にはそれなりの思いがあるからね。
比呂志君は優しいお兄ちゃんだね」
パパの言葉が照れ臭くて俯いた。
「そんなこと、ないよ」
「いや、クラスの女の子の話を覚えていたのも、
家族のために“今”、思い出したことも比呂志が優しいからだよ。
まとめると。
郊外で庭付き。
・僕と犀星君と比呂志の書斎⦅いずれも本棚が置ける広さ⦆
・朝子ちゃんの一人部屋。
・比呂志と多加志の子ども部屋。
・“夫婦”の寝室。
って所かな」
父さんが書いた、箇条書きのメモ。
「これは、やっぱり、広い土地が必要だね。
安くて広い土地で交通の便がいいのは……府中辺りかな?」
パパの提案に父さんがまた、考える仕草をした。
「府中か……よし、週末に行ってみよう。
あの辺りなら自然も残っているし、価格も比較的安いしね」
父さんは地図にメモを挟んで畳んだ。
ーー
週末、“家族総出”で府中に向かった。
都会から少し離れただけでかなり長閑だ。
昨日の夜、父さんとパパは母さんとママに
家を建てて、“家族全員”で暮らしたと話した。
まず、不動産に行き来、条件に合う場所を何ヵ所か紹介してもらい
“家族全員”の意見が一致したのは三番目に紹介してもらった土地だった。
「ここなら、予算内で皆の条件に合った家が建てられそうだね」
パパは土地全体を見渡して言った。
「交通の便もよさそうだし、比呂志と多加志の小学校の通学にも
僕たちが出版社に行くのにもよさそうだ」
父さんもパパの隣に立って一緒に土地を見渡した。
俺と父さんとパパで話すことになった。
「龍之介君、“皆”で暮らさないか?」
父さんはパパの言葉の意味を考えているようだった。
「芥川家と室生家なんて、分ける必要はないってことさ。
“一つ屋根の下”で全員で暮らそう。
龍之介君と文さんが“夫婦”であること、
僕と龍之介君が“恋人同士”であること、
僕ととみ子が“夫婦”であることも全て変わらない。
だけど、今のように二家を行き来するのは非効率だと思うんだ」
「確かに、今の室生家と芥川家は少々距離があるからね……
犀星君の言いたいことはわからないでもないけど
現実問題、都会じゃかなり手狭で土地も高い。
僕も犀星君も浪費癖はないから、
それなりの預金はあるだろうけど……」
「なら、郊外でもいいじゃないか。
子どもたちの学校や僕たちの仕事の都合上、
そこまで都会から離れず、でも静かで広い庭がある家。
龍之介君の要望は、都内への交通の便がいいことだろう?」
父さんの心の中を見抜いたようなパパの言葉に俺は笑った。
「電車かバスで一時間くらいの距離がいい」
父さんは東京の地図を開いて思案を始めた。
「奥多摩の方はどうだろうか?
あの辺りなら敷地も広いし、土地も安いけど」
パパが奥多摩を指すと父さんが首を傾げた。
「あまり、奥地だと通学と通勤に不便じゃないかい?」
今度はパパが父さんの言葉に納得したらしい。
「それもそうだね。う~ん、自然豊かで都内に近い場所……」
二人で地図とにらめっこしているパパと父さんを見ていた俺は
心の中に暖かいものが溢れた。
そして、つくづく、俺は幸せ者だと思った。
「比呂志君はどんな家がいい?」
まさか、俺の意見を訊かれるとは思わなかった。
「本を沢山、置ける部屋と父さんやパパたちみたいな書斎がほしいかな。
あ、朝子ちゃんは女の子だから、部屋を一人部屋にしてたげたい」
そう思ったのはクラスの女の子の話を聞いたからだった。
〘兄弟と同じ部屋だと着替えが恥ずかしい〙
〘化粧品の置き場がない〙
そんなことを言っていたからだ。
「年頃の女の子にはそれなりの思いがあるからね。
比呂志君は優しいお兄ちゃんだね」
パパの言葉が照れ臭くて俯いた。
「そんなこと、ないよ」
「いや、クラスの女の子の話を覚えていたのも、
家族のために“今”、思い出したことも比呂志が優しいからだよ。
まとめると。
郊外で庭付き。
・僕と犀星君と比呂志の書斎⦅いずれも本棚が置ける広さ⦆
・朝子ちゃんの一人部屋。
・比呂志と多加志の子ども部屋。
・“夫婦”の寝室。
って所かな」
父さんが書いた、箇条書きのメモ。
「これは、やっぱり、広い土地が必要だね。
安くて広い土地で交通の便がいいのは……府中辺りかな?」
パパの提案に父さんがまた、考える仕草をした。
「府中か……よし、週末に行ってみよう。
あの辺りなら自然も残っているし、価格も比較的安いしね」
父さんは地図にメモを挟んで畳んだ。
ーー
週末、“家族総出”で府中に向かった。
都会から少し離れただけでかなり長閑だ。
昨日の夜、父さんとパパは母さんとママに
家を建てて、“家族全員”で暮らしたと話した。
まず、不動産に行き来、条件に合う場所を何ヵ所か紹介してもらい
“家族全員”の意見が一致したのは三番目に紹介してもらった土地だった。
「ここなら、予算内で皆の条件に合った家が建てられそうだね」
パパは土地全体を見渡して言った。
「交通の便もよさそうだし、比呂志と多加志の小学校の通学にも
僕たちが出版社に行くのにもよさそうだ」
父さんもパパの隣に立って一緒に土地を見渡した。
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