室生犀星の後悔

華愁

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番外編 ①もう一度“家族全員” で。❬芥川龍之介視点❭

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犀星君の葬儀の喪主は僕・芥川龍之介が務めた。  
   
朝子ちゃん、朝巳、比呂志に多加志、
そして、也寸志は  犀星君の葬儀に参列した。

「パパはママに会えたかな」

朝子ちゃんが呟いた。

「そうだね、とみ子さんも犀星君を待っただろうから
きっと、今頃、天国で再会してるかもしれないね」

僕は朝子ちゃんの頭を撫でながら答えた。

「お父さん、ありがとう。

でも、もっと、パパとママと一緒にいたかったな」

その言葉に胸がぎゅっと締め付けられる。

病室で最期、僕の手を握ったまま
息を引き取った犀星君。

葬儀は恙無く終わり、家に帰ってきた。

「今日は、皆、泊まっていきな」

そう言ったのは、半分は僕が寂しかったから。

「そうだな、寂しがり屋の父さんのために泊まってくよ」

わざと、おどけて言ったのは比呂志だった。

「今日は夜通し、パパとママの話しをしよう」

朝巳も寂しさを紛らわすように明るい声で言った。

僕たちは“普通”ではなかったけど、
家の中が明るく、楽しかったのは
犀星君ととみ子さんのおかげだったと思う。

優しくて、穏やかで寛容で。

今、葬儀を終えたばかりだというのに
もう、犀星君に会いたくなった……

「父さん、俺たちがいるからって
泣くのを我慢しなくていい」

相変わらずの比呂志の観察眼には脱帽だ。

僕は涙腺が決壊したように
子どもたちの前で泣いた。

「やっぱり、我慢してたんだね。

父さんは昔からそういう所、あるよね」

比呂志が笑みを浮かべながら言う。

朝子ちゃんと朝巳も、
じっと僕の手を握ってくれている。

多加志と也寸志も、控えめながら
そっと肩に手を置いた。

ひとしきり泣いた後、夜通し、
皆で犀星君ととみ子さんの話しをした。

思い出話しは尽きなかった。

襖の外が白み始めた頃、全員で眠りについた。

久しぶりに“家族全員”が揃った日だった。

数年後、僕も二人のもとに行くのだけれど、
この時はまだ知らない。
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