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番外編 ②―① 芥川龍之介と芥川比呂志の回帰❬芥川龍之介視点❭
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目が覚めると、田端の長屋だった。
僕はがばっと布団から起きた。
なんで……
とみ子さんの葬儀も犀星君の葬儀も知っている。
犀星君は最期、僕の手を握って、息をを引き取った。
犀星君の葬儀の後、家族全員で二人の思い出話しをして眠ったことも覚えている。
混乱する頭を整理していると、比呂志が入ってきて
衝撃的なことを言った。
「父さん“パパ”の所に行こう」
比呂志が “パパ”と呼ぶのは犀星君しかいない。
「比呂志、覚えて……」
そうか、これが“前世”の記憶なら
あの頃の犀星君はどんな思いを抱えていたのだろう。
「全部、覚えてるよ。
文学賞を受賞したことも、落選した応募者に
襲われて“パパ”が庇ってくれたことも、
府中郊外の大きな家で皆で暮らしたことも
“ママ”の葬儀も“パパ”の葬儀も……」
僕は無言で比呂志を抱き締めた。
だけど、僕は不安だった。
犀星君に告白してまた“恋人”になってくれるのだろうかとか、
また、とみ子さんが許してくれるだろうかとか
思考は“否定”の方ばかりに向いてしまう。
「きっと、“パパ”も“ママ”も待ってるよ」
比呂志に背中を押されて、二人で犀星君の家に向かった。
数件先がやたらと長く感じ、室生家に着いて、
戸を叩いた。
「“龍之介君”と比呂志君? おはよう」
若かりし頃の犀星君を目の当たりにして、
僕は泣いてしまって、犀星君の“呼び方”に気付いていなかった。
「“パパ”、おはよう」
比呂志は、なんの躊躇いもなく犀星君を“パパ”と呼んだ。
「比呂志!!」
犀星君の記憶があるのかわからない段階でその呼び方は危険だと思った。
「あらまぁ、玄関ではなく家の中で話したどうかしら?
“龍之介さん”、“比呂志君”」
とみ子さんの呼び方に僕は硬直しかけた……
「“ママ”、おはよう」
「おはよう、“比呂志君”。
皆で朝ごはんを食べましょう」
朝食後、僕たちは懐かしい室生家の居間で話しをした。
「“久しぶりだね”、龍之介君・比呂志君。
そんなに不安そうな顔しないで、ね?」
犀星君は泣きそうな顔をした僕を抱き締めて
口付けをした。
「ん、んん……犀……星……君。
とみ子さんと比呂志の前で……」
犀星君が僕に口付けをしても驚かないとみ子さんを見て確信した、
犀星君ととみ子さんも“回帰”しているのだと。
更に、深い口付けをされ、終える頃には全身の力が抜け、
倒れかけた僕を犀星君が膝枕してくれた。
「犀星君の温もり、落ち着く」
「思う存分、甘えてくれていいからね」
頭を撫でる手の温もりと優しい声に誘われて僕は無意識に目を瞑った。
「龍之介さん・比呂志君、お帰りなさい」
とみ子さんの声に、胸の奥が熱くなる。
あの日、もう二度と会えないと思っていた人たちが、
こうして目の前に揃っている……
現実なのに夢のようだった。
「今日は泊まっていきなよ。⟦龍之介君を抱きたい⟧」
犀星君の熱を帯びた声で耳元で囁かれ、ドキッとした。
「わかった……〚僕も抱いてほしい〛」
僕は犀星君にギュッと抱き着いた。
「やっぱり、父さんがパパに甘えてると俺は安心する」
僕は嬉しさと恥ずかしさで犀星君の胸に顔をうずめた。
「俺の本音は、また、あの大きい家で“家族全員”で暮らしたいんだ」
比呂志の言葉にとみ子さんが笑った。
「そうね、だけど、それには、龍之介さんの奥さんで
比呂志君の実母の文さんにも話さなくてはね」
そう、芥川家と室生家、“家族全員”で暮らすには
僕の妻・文の理解がないと実現できない。
「母さんか……俺が説得する!!」
比呂志の意気込みに僕と犀星君は苦笑した。
「善は急げっていうし、芥川家に行こう。
ママ、行ってきます」
比呂志はとみ子さんそう言って室生家の玄関を閉めた。
僕は比呂志の手を取り、犀星君もその隣に立った。
三人で田端の街を抜け、芥川家のある通りに
向かう道すがら、僕は緊張と不安で胸が高鳴った。
「母さん!!」
芥川家に帰ってくると比呂志は也寸心をあやしていた文を呼んだ。
「帰ってきたのね、龍之介、比呂志……
あら、室生さんもご一緒で」
犀星君は文に頭を下げた。
「おはようございます、文さん。
今日は少し、お話ししたくて……」
犀星君が改まって真剣な声色で話し出した。
「驚かれるかもしれませんが……」
一度言葉を切り、僕を見たから頷いた。
「龍之介君と僕は“恋人同士”なんです」
文が目を見開き、息を飲んだ。
「え、室生さんと龍之介が恋人同士……?」
驚くのも無理はない。
「僕は犀星君を愛してるし、犀星君も僕を愛してくれているんだ」
「一つ訊いてもいいかしら? 室生さんの奥さんのとみ子さんは?」
そこ、気になるよね。
「とみ子さんは認めてくれているよ」
“前世”でも認めてくれていた。
「俺も父さんも“前世”を覚えてるんだ。
母さんには悪いと思うけど、父さんが“パパ”に
甘えてる時が俺は一番、落ち着くんだ。
“作家・芥川龍之介”でも“父親の芥川龍之介”でもなく
“ただの、芥川龍之介”として、
“パパ”に甘えてる時は自然体だから」
文は比呂志の言葉に目を細め、少し俯いて沈黙した。
やがて顔を上げると、僕をまっすぐに見つめた。
「龍之介が自然体でいられる場所があるのはいいことだと思うけど、
妻としては複雑だわ……」
僕は文の言葉に胸が痛んだ。
わかっている、これは文に対する“裏切り”だ。
それでも、僕は犀星君ととみ子さんといると
全ての重圧から解放される感覚になる。
僕の弱さも愚痴もぐちゃぐちゃな感情も全て受け止めてくれる
二人にどうしても甘えたくなる。
「文、僕は君を裏切っているんだと思う。
けど、僕が文の夫で比呂志と多加志と也寸志の
父親であることはかわらない」
“両方”を愛したいなんて、矛盾していて
我が儘なことはわかってるけど、僕は犀星君を
愛してるし、抱かれたいとも思ってる。
「けして、“芥川家”という僕自身の家族を
蔑ろにしているわけじゃないし、
文を信頼していないわけじゃないんだ……」
もちろん、文のことは妻として、比呂志や多加志や也寸志の母親として
信頼しているけど、愚痴や弱音を吐くことは躊躇してしまう。
「僕は文に弱さを“見せない”んじゃなくて“見られたくない”んだ……
だけど、僕にとっては犀星君もとみ子さんも朝子ちゃんも朝巳も
みんな、家族の一員なんだよ」
“前世”で子供たちは“五人兄弟”という認識だった。
「俺は朝子ちゃんと朝巳を本当の妹と弟だと思ってる」
比呂志は懐かしむように少し遠くを見て、そう言った。
「前世、父さんとパパと三人で書いた詩があったでしょう?」
懐かしいな。
「【朝の木漏れ日の中、小さな小鳥が囀ずっている】」
名もない詩の出だしを比呂志が諳じた。
「【その囀ずりは、仲間を呼び、更に囀ずりは大きくなった】」
続きを犀星君が。
「【大きな囀ずりは森の奥まで届き、他の動物たちも目覚める】」
そのまた続きを僕が。
「【花々も目覚め、鹿は水辺で水飲みをし
小動物たちも集まってきた】」
比呂志に戻り。
「【朝の森は小鳥の囀ずりや動物、花々が息づいている。また、一日が始まる】」
最後は犀星君が締めくくった。
「懐かしいね」
犀星君と二人で比呂志の頭を撫でた。
「前世文学賞に応募したきっかけは
この三人で書いた詩だった。
父さんやパパの力を借りずに、やってみたかったんだ。
受賞したのは嬉しかったけど……」
犀星君に大怪を
させてしまったことを気にしているのだろう。
「けど……俺のせいで“パパ”が怪我をした」
「比呂志君」
犀星君が、やさしい声で遮った。
「庇ったのは僕の意志だよ。
君が望んだから、ではなく、僕がそうしたかったんだ」
僕も頷いた。
「文学賞は老若男女も年齢も関係なく
ふるいにかける場所だ。
才能がなければ落選するし、才能があれば受賞する。
あそこは、そういう場所だ。
現に、僕も犀星君も幾度となく落選してきたけど、
それを糧によりよい作品を書こうと思って
書き続けたから、僕も犀星君も作家を生業として生きているんだよ。」
僕だって、犀星君だって、落選する度に落ち込んで
悔しい思いを糧にしてきた。
「だから、あの時、受賞した比呂志を襲ってきた男は
刃物を持ち出して、暴力に頼った時点で
人としても作家の端くれとしても終わってたんだよ」
僕はがばっと布団から起きた。
なんで……
とみ子さんの葬儀も犀星君の葬儀も知っている。
犀星君は最期、僕の手を握って、息をを引き取った。
犀星君の葬儀の後、家族全員で二人の思い出話しをして眠ったことも覚えている。
混乱する頭を整理していると、比呂志が入ってきて
衝撃的なことを言った。
「父さん“パパ”の所に行こう」
比呂志が “パパ”と呼ぶのは犀星君しかいない。
「比呂志、覚えて……」
そうか、これが“前世”の記憶なら
あの頃の犀星君はどんな思いを抱えていたのだろう。
「全部、覚えてるよ。
文学賞を受賞したことも、落選した応募者に
襲われて“パパ”が庇ってくれたことも、
府中郊外の大きな家で皆で暮らしたことも
“ママ”の葬儀も“パパ”の葬儀も……」
僕は無言で比呂志を抱き締めた。
だけど、僕は不安だった。
犀星君に告白してまた“恋人”になってくれるのだろうかとか、
また、とみ子さんが許してくれるだろうかとか
思考は“否定”の方ばかりに向いてしまう。
「きっと、“パパ”も“ママ”も待ってるよ」
比呂志に背中を押されて、二人で犀星君の家に向かった。
数件先がやたらと長く感じ、室生家に着いて、
戸を叩いた。
「“龍之介君”と比呂志君? おはよう」
若かりし頃の犀星君を目の当たりにして、
僕は泣いてしまって、犀星君の“呼び方”に気付いていなかった。
「“パパ”、おはよう」
比呂志は、なんの躊躇いもなく犀星君を“パパ”と呼んだ。
「比呂志!!」
犀星君の記憶があるのかわからない段階でその呼び方は危険だと思った。
「あらまぁ、玄関ではなく家の中で話したどうかしら?
“龍之介さん”、“比呂志君”」
とみ子さんの呼び方に僕は硬直しかけた……
「“ママ”、おはよう」
「おはよう、“比呂志君”。
皆で朝ごはんを食べましょう」
朝食後、僕たちは懐かしい室生家の居間で話しをした。
「“久しぶりだね”、龍之介君・比呂志君。
そんなに不安そうな顔しないで、ね?」
犀星君は泣きそうな顔をした僕を抱き締めて
口付けをした。
「ん、んん……犀……星……君。
とみ子さんと比呂志の前で……」
犀星君が僕に口付けをしても驚かないとみ子さんを見て確信した、
犀星君ととみ子さんも“回帰”しているのだと。
更に、深い口付けをされ、終える頃には全身の力が抜け、
倒れかけた僕を犀星君が膝枕してくれた。
「犀星君の温もり、落ち着く」
「思う存分、甘えてくれていいからね」
頭を撫でる手の温もりと優しい声に誘われて僕は無意識に目を瞑った。
「龍之介さん・比呂志君、お帰りなさい」
とみ子さんの声に、胸の奥が熱くなる。
あの日、もう二度と会えないと思っていた人たちが、
こうして目の前に揃っている……
現実なのに夢のようだった。
「今日は泊まっていきなよ。⟦龍之介君を抱きたい⟧」
犀星君の熱を帯びた声で耳元で囁かれ、ドキッとした。
「わかった……〚僕も抱いてほしい〛」
僕は犀星君にギュッと抱き着いた。
「やっぱり、父さんがパパに甘えてると俺は安心する」
僕は嬉しさと恥ずかしさで犀星君の胸に顔をうずめた。
「俺の本音は、また、あの大きい家で“家族全員”で暮らしたいんだ」
比呂志の言葉にとみ子さんが笑った。
「そうね、だけど、それには、龍之介さんの奥さんで
比呂志君の実母の文さんにも話さなくてはね」
そう、芥川家と室生家、“家族全員”で暮らすには
僕の妻・文の理解がないと実現できない。
「母さんか……俺が説得する!!」
比呂志の意気込みに僕と犀星君は苦笑した。
「善は急げっていうし、芥川家に行こう。
ママ、行ってきます」
比呂志はとみ子さんそう言って室生家の玄関を閉めた。
僕は比呂志の手を取り、犀星君もその隣に立った。
三人で田端の街を抜け、芥川家のある通りに
向かう道すがら、僕は緊張と不安で胸が高鳴った。
「母さん!!」
芥川家に帰ってくると比呂志は也寸心をあやしていた文を呼んだ。
「帰ってきたのね、龍之介、比呂志……
あら、室生さんもご一緒で」
犀星君は文に頭を下げた。
「おはようございます、文さん。
今日は少し、お話ししたくて……」
犀星君が改まって真剣な声色で話し出した。
「驚かれるかもしれませんが……」
一度言葉を切り、僕を見たから頷いた。
「龍之介君と僕は“恋人同士”なんです」
文が目を見開き、息を飲んだ。
「え、室生さんと龍之介が恋人同士……?」
驚くのも無理はない。
「僕は犀星君を愛してるし、犀星君も僕を愛してくれているんだ」
「一つ訊いてもいいかしら? 室生さんの奥さんのとみ子さんは?」
そこ、気になるよね。
「とみ子さんは認めてくれているよ」
“前世”でも認めてくれていた。
「俺も父さんも“前世”を覚えてるんだ。
母さんには悪いと思うけど、父さんが“パパ”に
甘えてる時が俺は一番、落ち着くんだ。
“作家・芥川龍之介”でも“父親の芥川龍之介”でもなく
“ただの、芥川龍之介”として、
“パパ”に甘えてる時は自然体だから」
文は比呂志の言葉に目を細め、少し俯いて沈黙した。
やがて顔を上げると、僕をまっすぐに見つめた。
「龍之介が自然体でいられる場所があるのはいいことだと思うけど、
妻としては複雑だわ……」
僕は文の言葉に胸が痛んだ。
わかっている、これは文に対する“裏切り”だ。
それでも、僕は犀星君ととみ子さんといると
全ての重圧から解放される感覚になる。
僕の弱さも愚痴もぐちゃぐちゃな感情も全て受け止めてくれる
二人にどうしても甘えたくなる。
「文、僕は君を裏切っているんだと思う。
けど、僕が文の夫で比呂志と多加志と也寸志の
父親であることはかわらない」
“両方”を愛したいなんて、矛盾していて
我が儘なことはわかってるけど、僕は犀星君を
愛してるし、抱かれたいとも思ってる。
「けして、“芥川家”という僕自身の家族を
蔑ろにしているわけじゃないし、
文を信頼していないわけじゃないんだ……」
もちろん、文のことは妻として、比呂志や多加志や也寸志の母親として
信頼しているけど、愚痴や弱音を吐くことは躊躇してしまう。
「僕は文に弱さを“見せない”んじゃなくて“見られたくない”んだ……
だけど、僕にとっては犀星君もとみ子さんも朝子ちゃんも朝巳も
みんな、家族の一員なんだよ」
“前世”で子供たちは“五人兄弟”という認識だった。
「俺は朝子ちゃんと朝巳を本当の妹と弟だと思ってる」
比呂志は懐かしむように少し遠くを見て、そう言った。
「前世、父さんとパパと三人で書いた詩があったでしょう?」
懐かしいな。
「【朝の木漏れ日の中、小さな小鳥が囀ずっている】」
名もない詩の出だしを比呂志が諳じた。
「【その囀ずりは、仲間を呼び、更に囀ずりは大きくなった】」
続きを犀星君が。
「【大きな囀ずりは森の奥まで届き、他の動物たちも目覚める】」
そのまた続きを僕が。
「【花々も目覚め、鹿は水辺で水飲みをし
小動物たちも集まってきた】」
比呂志に戻り。
「【朝の森は小鳥の囀ずりや動物、花々が息づいている。また、一日が始まる】」
最後は犀星君が締めくくった。
「懐かしいね」
犀星君と二人で比呂志の頭を撫でた。
「前世文学賞に応募したきっかけは
この三人で書いた詩だった。
父さんやパパの力を借りずに、やってみたかったんだ。
受賞したのは嬉しかったけど……」
犀星君に大怪を
させてしまったことを気にしているのだろう。
「けど……俺のせいで“パパ”が怪我をした」
「比呂志君」
犀星君が、やさしい声で遮った。
「庇ったのは僕の意志だよ。
君が望んだから、ではなく、僕がそうしたかったんだ」
僕も頷いた。
「文学賞は老若男女も年齢も関係なく
ふるいにかける場所だ。
才能がなければ落選するし、才能があれば受賞する。
あそこは、そういう場所だ。
現に、僕も犀星君も幾度となく落選してきたけど、
それを糧によりよい作品を書こうと思って
書き続けたから、僕も犀星君も作家を生業として生きているんだよ。」
僕だって、犀星君だって、落選する度に落ち込んで
悔しい思いを糧にしてきた。
「だから、あの時、受賞した比呂志を襲ってきた男は
刃物を持ち出して、暴力に頼った時点で
人としても作家の端くれとしても終わってたんだよ」
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