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第二話 “歪な関係”は加速していく
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路地裏で無理やり蹂躙した日から数日、
僕は一歩も家から出なかった。
「犀星さん、芥川さんがお見えよ」
とみ子の言葉に心臓が跳ねた。
芥川君は何で!!
「わかった、書斎に通してくれ」
平常心を装いながらとみ子に返事をした。
「わかりました」
とみ子が玄関に向かう足音を聞きながら
文机に突っ伏した。
「犀星君」
書斎に入って来た芥川君は背後から抱き着いて来た。
「離れろ」
命令口調で言うと芥川君は真逆の行動をした。
「嫌だよ、僕はもう、犀星君のものだから
好きに扱ってくれていいんだよ。
壊したいなら粉々になるまで壊せばいい。
獣のようにというなら野生動物のように
理性なんて棄てればいい。
犀星君の好きなようにすればいいんだよ。
とみ子さんに聞こえるように
大きな声で啼こうか?
壊すくらいに僕を抱き潰して黙らせるか
僕が大きな声で犀星君への愛を
とみ子さんに伝えるか、
犀星君の選択肢は二つだよ」
もはや選択肢など、初めからなかった。
「いいだろう、そのわり、
芥川君が奥さんに疑われるように
沢山、痕を残すからな」
「構わないさ、僕の肌の色が見えなくなるくらい痕を残して……はい、どうぞ」
芥川君は数日前の路地裏と同じで
自ら、僕に全てをさらけ出した。
僕は衝動的に芥川君の首筋に歯を立てた。
「ふ、ぁ、犀星君、もっと僕に
“所有”の証を付けて。
明日ね、高校から一緒の寛や久米君、松岡譲君と集まる約束をしているんだ」
「なら、彼らの前で立てないくらいに腰を砕いてやろう。後悔するなよ」
僕は畳に芥川君を押し倒し
膝を割り開いて容赦なく最奥を貫き
何度も突き上げた。
「ぁぁん、ぁ、ぁ、気持ちいい……
ふふ、今日も沢山出たね、温かい……ありがとう」
ほぼ、一方的に蹂躙されて礼をいうのは
芥川君だけだろう。
とりあえず、とみ子が
お茶を持って来る前に終わらせた。
ーー
芥川君の帰宅後、
とみ子に聞かれていたことを知る。
「犀星さんと芥川さんが“恋仲”だったなんて知らなかったわ」
夕飯の支度をしながら事も無げに言った
とみ子の言葉に夕刊を落としそうになった。
「芥川さんは可愛らし声で啼くのね」
「……聞いていたのかい?」
まさか、とみ子に聞かれていたとは……
「すまない、僕はとみ子を裏切った。
離婚したいなら、
明日にでも市役所に行って来るよ」
「離婚だなんて飛躍し過ぎよ」
とみ子は味噌汁の味噌を溶きながら
くすくすと笑った。
「僕は芥川君を、男を、抱いたといえば
聞こえはいいが一方的に蹂躙したんだよ。
人としても、とみ子の夫としても
最低なことをしたんだよ!!」
僕は泣き叫んでいた。
「あらあら」
とみ子は味噌汁の火を止めて
僕の方に来て抱き締めた。
「今、僕に触れないでくれ」
「私は犀星さんが最低なんて思わないし、
戸越しに聞こえて来た芥川さんの声は
苦しそうではなかったもの。
むしろ、犀星さんに抱かれることを
喜んでいるような声だったわ。
私も“文学者”よ。
犀星さんの心の内を文章で
まとめましょうか?
そうね、〘僕は芥川君に恋慕していることに気付いた。
どうすれば、彼は僕を嫌い離れていくだろうか?
凌辱して恐怖心を植え付ければ
僕を嫌って、一生、近付かないだろう〙って
思っていんでしょう?
でも、それは裏目に出た。
私は二人が愛し合うことを咎めないわ。
芥川さんのあの恍惚として
艶やかな声が出るのは犀星さんが
触れた時だけでしょう?
明日、ちゃんと、歩けているといいのだけれど」
とみ子はまた、くすくすと笑って
台所に戻り、夕飯の準備を再開した。
翌日、僕はそわそわしていた。
「そんなにそわそわするなら
様子を見に行ったらどうかしら?
私の予想だと芥川さんは犀星さんに
付けられた痕をわざと
見せびらかしているんじゃないかしら」
「いくらなんでも、それはないだろう!!
僕に蹂躙され、辱しめられた痕だぞ!?」
一瞬だけ想像してしまった。
学友たちに僕が付けた歯形や痕を
わざと見せびらかしている様を。
「様子を見に行ってくる」
「行ってらっしゃい」
とみ子は僕を笑顔で送り出した。
僕は一歩も家から出なかった。
「犀星さん、芥川さんがお見えよ」
とみ子の言葉に心臓が跳ねた。
芥川君は何で!!
「わかった、書斎に通してくれ」
平常心を装いながらとみ子に返事をした。
「わかりました」
とみ子が玄関に向かう足音を聞きながら
文机に突っ伏した。
「犀星君」
書斎に入って来た芥川君は背後から抱き着いて来た。
「離れろ」
命令口調で言うと芥川君は真逆の行動をした。
「嫌だよ、僕はもう、犀星君のものだから
好きに扱ってくれていいんだよ。
壊したいなら粉々になるまで壊せばいい。
獣のようにというなら野生動物のように
理性なんて棄てればいい。
犀星君の好きなようにすればいいんだよ。
とみ子さんに聞こえるように
大きな声で啼こうか?
壊すくらいに僕を抱き潰して黙らせるか
僕が大きな声で犀星君への愛を
とみ子さんに伝えるか、
犀星君の選択肢は二つだよ」
もはや選択肢など、初めからなかった。
「いいだろう、そのわり、
芥川君が奥さんに疑われるように
沢山、痕を残すからな」
「構わないさ、僕の肌の色が見えなくなるくらい痕を残して……はい、どうぞ」
芥川君は数日前の路地裏と同じで
自ら、僕に全てをさらけ出した。
僕は衝動的に芥川君の首筋に歯を立てた。
「ふ、ぁ、犀星君、もっと僕に
“所有”の証を付けて。
明日ね、高校から一緒の寛や久米君、松岡譲君と集まる約束をしているんだ」
「なら、彼らの前で立てないくらいに腰を砕いてやろう。後悔するなよ」
僕は畳に芥川君を押し倒し
膝を割り開いて容赦なく最奥を貫き
何度も突き上げた。
「ぁぁん、ぁ、ぁ、気持ちいい……
ふふ、今日も沢山出たね、温かい……ありがとう」
ほぼ、一方的に蹂躙されて礼をいうのは
芥川君だけだろう。
とりあえず、とみ子が
お茶を持って来る前に終わらせた。
ーー
芥川君の帰宅後、
とみ子に聞かれていたことを知る。
「犀星さんと芥川さんが“恋仲”だったなんて知らなかったわ」
夕飯の支度をしながら事も無げに言った
とみ子の言葉に夕刊を落としそうになった。
「芥川さんは可愛らし声で啼くのね」
「……聞いていたのかい?」
まさか、とみ子に聞かれていたとは……
「すまない、僕はとみ子を裏切った。
離婚したいなら、
明日にでも市役所に行って来るよ」
「離婚だなんて飛躍し過ぎよ」
とみ子は味噌汁の味噌を溶きながら
くすくすと笑った。
「僕は芥川君を、男を、抱いたといえば
聞こえはいいが一方的に蹂躙したんだよ。
人としても、とみ子の夫としても
最低なことをしたんだよ!!」
僕は泣き叫んでいた。
「あらあら」
とみ子は味噌汁の火を止めて
僕の方に来て抱き締めた。
「今、僕に触れないでくれ」
「私は犀星さんが最低なんて思わないし、
戸越しに聞こえて来た芥川さんの声は
苦しそうではなかったもの。
むしろ、犀星さんに抱かれることを
喜んでいるような声だったわ。
私も“文学者”よ。
犀星さんの心の内を文章で
まとめましょうか?
そうね、〘僕は芥川君に恋慕していることに気付いた。
どうすれば、彼は僕を嫌い離れていくだろうか?
凌辱して恐怖心を植え付ければ
僕を嫌って、一生、近付かないだろう〙って
思っていんでしょう?
でも、それは裏目に出た。
私は二人が愛し合うことを咎めないわ。
芥川さんのあの恍惚として
艶やかな声が出るのは犀星さんが
触れた時だけでしょう?
明日、ちゃんと、歩けているといいのだけれど」
とみ子はまた、くすくすと笑って
台所に戻り、夕飯の準備を再開した。
翌日、僕はそわそわしていた。
「そんなにそわそわするなら
様子を見に行ったらどうかしら?
私の予想だと芥川さんは犀星さんに
付けられた痕をわざと
見せびらかしているんじゃないかしら」
「いくらなんでも、それはないだろう!!
僕に蹂躙され、辱しめられた痕だぞ!?」
一瞬だけ想像してしまった。
学友たちに僕が付けた歯形や痕を
わざと見せびらかしている様を。
「様子を見に行ってくる」
「行ってらっしゃい」
とみ子は僕を笑顔で送り出した。
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