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最終話 “檻”
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自宅に着き、芥川君を書斎に連れ込み、押し倒した。
「ふふ、僕は犀星君のものなんだから
もっと、乱暴に扱っていいんだよ」
痛がる様子も見せず妖艶に微笑みながら僕に腕を伸ばして来た。
「あんな、寛君や久米君や松岡君に見せびらかして
僕を文壇から追い出す気か!!
特に君と寛君は文壇の中心にいるんだ!!
僕なんて、君たちの一言であっという間に追い出せるだろう」
文学の寵児、天才作家。
芥川君は同じ文学を嗜む者の中でも頂点にいる存在だ。
僕や朔太郎君じゃ歯が立たない。
「僕が犀星君を文壇から追い出す訳ないじゃないか。
それに、今、ここにいるのは<作家・芥川龍之介>でも
<詩人・室生犀星>でもないただの、愛し合う男二人だけだよ」
「屁理屈を言わないでくれ!!」
「僕はね、犀星君という<座敷牢>に閉じ込められたい罪人なんだよ。
誰にも理解されなくていいし、僕はね、少し疲れてしまったんだよ……
名声も期待も……」
芥川君は全てを諦めきった目をしていた。
「だからね、犀星君という<座敷牢>に閉じ籠り
君のものとして、君の好きに扱ってほしいんだ」
「散々、酷いことをしておいて、どの口が言うんだという感じだが……
君は文壇になくてはならない人だ。
それなのに、僕の<慰み者>になりたいというのか?
僕の<座敷牢>に閉じ籠るということは
一生、表舞台に出られなくなるということだ」
「本望さ。<作家・芥川龍之介>として生きることに疲れたんだ。
期待通りの物を書けなければ糾弾され、期待通りの物を書けば
天才だ寵児だと持ち上げられる。
そんな世間に疲れてしまったんだよ。
だから、犀星君という<座敷牢>の中でゆっくりと眠りたいんだ……
犀星君に滅茶苦茶にされて、眠りたい」
「わかった、僕の<座敷牢>に閉じ込めてあげるよ。
ただし、<慰み者>じゃなく<寵愛>する<恋人>としてだ。
<座敷牢>の鍵は僕が持つ一本だけだ。
この家が、この書斎が、芥川君の、いや、<龍之介>の<座敷牢>だよ」
<龍之介>の着物を剥ぎ取り、
白磁の肌に噛みついた。
「ふふ、僕は犀星君のものなんだから
もっと、乱暴に扱っていいんだよ」
痛がる様子も見せず妖艶に微笑みながら僕に腕を伸ばして来た。
「あんな、寛君や久米君や松岡君に見せびらかして
僕を文壇から追い出す気か!!
特に君と寛君は文壇の中心にいるんだ!!
僕なんて、君たちの一言であっという間に追い出せるだろう」
文学の寵児、天才作家。
芥川君は同じ文学を嗜む者の中でも頂点にいる存在だ。
僕や朔太郎君じゃ歯が立たない。
「僕が犀星君を文壇から追い出す訳ないじゃないか。
それに、今、ここにいるのは<作家・芥川龍之介>でも
<詩人・室生犀星>でもないただの、愛し合う男二人だけだよ」
「屁理屈を言わないでくれ!!」
「僕はね、犀星君という<座敷牢>に閉じ込められたい罪人なんだよ。
誰にも理解されなくていいし、僕はね、少し疲れてしまったんだよ……
名声も期待も……」
芥川君は全てを諦めきった目をしていた。
「だからね、犀星君という<座敷牢>に閉じ籠り
君のものとして、君の好きに扱ってほしいんだ」
「散々、酷いことをしておいて、どの口が言うんだという感じだが……
君は文壇になくてはならない人だ。
それなのに、僕の<慰み者>になりたいというのか?
僕の<座敷牢>に閉じ籠るということは
一生、表舞台に出られなくなるということだ」
「本望さ。<作家・芥川龍之介>として生きることに疲れたんだ。
期待通りの物を書けなければ糾弾され、期待通りの物を書けば
天才だ寵児だと持ち上げられる。
そんな世間に疲れてしまったんだよ。
だから、犀星君という<座敷牢>の中でゆっくりと眠りたいんだ……
犀星君に滅茶苦茶にされて、眠りたい」
「わかった、僕の<座敷牢>に閉じ込めてあげるよ。
ただし、<慰み者>じゃなく<寵愛>する<恋人>としてだ。
<座敷牢>の鍵は僕が持つ一本だけだ。
この家が、この書斎が、芥川君の、いや、<龍之介>の<座敷牢>だよ」
<龍之介>の着物を剥ぎ取り、
白磁の肌に噛みついた。
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