紫の蛹

星川過世

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プロローグ

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 隣のクラスに、美少年がいる。高校生に少年、という言葉を使うのはやや不適切にも思えるが、彼を見たらそう表現せざるを得ない。

 華奢な体つきとまだ幼さの残る中性的な顔立ち、儚げな雰囲気。

 暑苦しい男子校において、彼はある種アイドル的な人気を博する有名人だった。いわゆる男子校の姫というやつとはまた違う、高嶺の存在。しかしそんなことはどこ吹く風、彼は誰とも親しく関わろうとしない。浮世離れした雰囲気を持っていて、色々と目立つ。しかしいい意味で。そんな存在だ。

 なんにせよ、何から何まで平凡な俺、春川創介は、彼、氷室伶とは接点を持つことなく卒業してゆくだろうと思っていた。
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