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一章~伊角光希編~
7 パーティーの日の出来事
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『婚約発表パーティーの日、ぼくはあの日の事がどうしても釈然としなくて……』
「ヒートを起こしたっていう、あの事故?」
『そう。あの日は発情期が終わった直ぐ後で、とても落ち着いていたんだ。抑制剤も念のため、いつもより強いものを飲んでいた』
「いつもよりって、毎日飲んでるのも強いよね?」
この世界の薬の種類までは分からないが、僕はそれほどΩの性が強いわけではなかった。
発情期のヒートセックスの時でさえ、然程濡れなかった。
軽い薬しか飲んだこともなく、殆どβと変わらない生活を送っていたのを思い出す。
だからアシルが飲んでいるという薬を初めて服用した時、胃がキリキリと痛むほど強くて驚いた。更に強い抑制剤を飲んでヒートを起こすなど、確かに妙だ。
パーティーとはいえ、アシルの周りには目新しいαはいなかったと言う。というよりも、自分は側室。できるだけ目立たないよう心がけていた。
アンナ様を立てるため、常に壁際に立っていたと振り返る。
Ωだから理解してあげられるが、発情期の後は体調が回復することでメンタル的にも落ち着いている場合が多い。
オメガ性が弱い僕でもそうだった。アシルはもっと振り幅が大きいだろう。
その上、強い薬を飲んでいた。
余程相性のいいαが近寄らない限りは、ヒートを起こすなど考えられない。
「何か変わったことはなかったの?」
『それが……ぼくはお酒が飲めないんだけど、渡されたドリンクを飲んだ後、頭がクラクラしたんだ。その後、ヒートを起こして……』
「もしかして、そのドリンクのせいで?」
『誰かを疑いたくはないけれど、そうとしか考えられない。あのドリンクには、きっと発情誘発剤が入っていた』
酔ったからと言って、あんなにも体調が急変するのはアシル自身も違和感を感じたようだ。
しかし飲んだ後から気付いても無駄だ。
正気を取り戻した時には、アシルはエリアス様に抱かれた後。
アンナ様は婚約発表パーティーが中断され、相当お怒りだったと聞かされた。
そこからアンナ様とアシルの仲は決別したのだそう。
僕は、アシルとアンナ様は元々仲が悪いのかと思っていたが、それは違った。
むしろ、二人は本当の姉弟のように仲が良かったのだと言う。
「それは意外だった」
『ぼくは、エリアス様とアンナ様の仲睦まじいお姿を見るのが癒しだった。最初は、側室のお話も断っていたんだ。それでもエリアス様直々に申し込まれた時、断りきれなくて……』
やはり、本人と話ができて良かったと思う。
あのままだと、僕は人生で一番恨んだ人物になっていた。
「一つ聞きたいんだけど、アシルはこの子を産みたい?」
僕は産みたい……とは言わなかった。
アシルはきっと僕を気遣うだろうから。彼の本音を聞きたかった。
アシルは『産みたい』と即答した。
『相続権なんて、ぼくは欲しいと思わない。でも、エリアス様から運命の番だと言われて嬉しかったのも事実なんだ』
「と言うことは、アシルも本当はエリアス様が好きなんだ?」
『す……!! うん、そう……なんだ』
「なんで誤魔化すの? エリアス様も運命の番だって言ってるくらいだし、いいんじゃないの?」
『でも、側室でさえ誰かの恨みを買っちゃった。きっとパーティーを台無しにしたことで、罪を被せたかったんだよ。その上妊娠が発覚した後、アンナ様よりも先に子供を産むなんてって散々叱られた』
アシルさえ、その後エリアス様から自分を正妻にするとは言わないだろうと思っていたらしい。
ここから追放されるかと思っていたと付け加えた。
『ねぇ、コーキ。どうかお願いだ。ぼくはあの日の真実が知りたい』
「そうだね。きっとアシルは誰かにハメられたんだ。このままにしておけば、また狙われる可能性もある。二人で突き止めよう」
「ヒートを起こしたっていう、あの事故?」
『そう。あの日は発情期が終わった直ぐ後で、とても落ち着いていたんだ。抑制剤も念のため、いつもより強いものを飲んでいた』
「いつもよりって、毎日飲んでるのも強いよね?」
この世界の薬の種類までは分からないが、僕はそれほどΩの性が強いわけではなかった。
発情期のヒートセックスの時でさえ、然程濡れなかった。
軽い薬しか飲んだこともなく、殆どβと変わらない生活を送っていたのを思い出す。
だからアシルが飲んでいるという薬を初めて服用した時、胃がキリキリと痛むほど強くて驚いた。更に強い抑制剤を飲んでヒートを起こすなど、確かに妙だ。
パーティーとはいえ、アシルの周りには目新しいαはいなかったと言う。というよりも、自分は側室。できるだけ目立たないよう心がけていた。
アンナ様を立てるため、常に壁際に立っていたと振り返る。
Ωだから理解してあげられるが、発情期の後は体調が回復することでメンタル的にも落ち着いている場合が多い。
オメガ性が弱い僕でもそうだった。アシルはもっと振り幅が大きいだろう。
その上、強い薬を飲んでいた。
余程相性のいいαが近寄らない限りは、ヒートを起こすなど考えられない。
「何か変わったことはなかったの?」
『それが……ぼくはお酒が飲めないんだけど、渡されたドリンクを飲んだ後、頭がクラクラしたんだ。その後、ヒートを起こして……』
「もしかして、そのドリンクのせいで?」
『誰かを疑いたくはないけれど、そうとしか考えられない。あのドリンクには、きっと発情誘発剤が入っていた』
酔ったからと言って、あんなにも体調が急変するのはアシル自身も違和感を感じたようだ。
しかし飲んだ後から気付いても無駄だ。
正気を取り戻した時には、アシルはエリアス様に抱かれた後。
アンナ様は婚約発表パーティーが中断され、相当お怒りだったと聞かされた。
そこからアンナ様とアシルの仲は決別したのだそう。
僕は、アシルとアンナ様は元々仲が悪いのかと思っていたが、それは違った。
むしろ、二人は本当の姉弟のように仲が良かったのだと言う。
「それは意外だった」
『ぼくは、エリアス様とアンナ様の仲睦まじいお姿を見るのが癒しだった。最初は、側室のお話も断っていたんだ。それでもエリアス様直々に申し込まれた時、断りきれなくて……』
やはり、本人と話ができて良かったと思う。
あのままだと、僕は人生で一番恨んだ人物になっていた。
「一つ聞きたいんだけど、アシルはこの子を産みたい?」
僕は産みたい……とは言わなかった。
アシルはきっと僕を気遣うだろうから。彼の本音を聞きたかった。
アシルは『産みたい』と即答した。
『相続権なんて、ぼくは欲しいと思わない。でも、エリアス様から運命の番だと言われて嬉しかったのも事実なんだ』
「と言うことは、アシルも本当はエリアス様が好きなんだ?」
『す……!! うん、そう……なんだ』
「なんで誤魔化すの? エリアス様も運命の番だって言ってるくらいだし、いいんじゃないの?」
『でも、側室でさえ誰かの恨みを買っちゃった。きっとパーティーを台無しにしたことで、罪を被せたかったんだよ。その上妊娠が発覚した後、アンナ様よりも先に子供を産むなんてって散々叱られた』
アシルさえ、その後エリアス様から自分を正妻にするとは言わないだろうと思っていたらしい。
ここから追放されるかと思っていたと付け加えた。
『ねぇ、コーキ。どうかお願いだ。ぼくはあの日の真実が知りたい』
「そうだね。きっとアシルは誰かにハメられたんだ。このままにしておけば、また狙われる可能性もある。二人で突き止めよう」
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