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一章~伊角光希編~
8 オメガ同士
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僕とアシルはすっかり仲良くなった。
Ω同士というのもあると思う。
それに実際のアシルと話をして、悪役令息なんかじゃないと分かっただけでも、僕にとってはかなり大きな収穫だ。
アシルの人の良さは、直ぐに証明された。
僕がこの体から出る方法が分からないと言うと、ここにいて良いと言ってくれたのだ。
「邪魔じゃないのか?」と尋ねると『むしろ、いて欲しい』と言う。
一人は心細いと。
それはそうだ。現状、侍女たちからは冷ややかな視線が浴びせられ、いつどんな虐遇にあうかなど予測不能。
味方はエリアス様しかいないし、そのエリアス様は激務でゆっくり話をする時間もなかなか取れない。
僕は今のところ、アシルの一番の理解者になれるような気さえする。
自分の命は一度捨てた。もしもこの先、アシルの体から僕が消えたとて、そこに未練はない。
それでも、その時までにこの謎は解決しておきたいと考える。
これからを生きるアシルのためにも。
「そういえば、僕とアシルは交代できないのかな?」
フッと思った。
アシルの意識が戻ったのならば、せめてアシルが前面に出てこられないのかと。
今、アシルとして喋っているのは僕だ。アシルは体の中で声を出しても周りには聞こえていない。
『やり方が分からないから、どうしようもない』とアシルが言う。
そして今はこのままで良いと続けて言った。
「自分の体なのに?」
『コーキに守ってもらえてる気がするから』
「僕はそんなに強くないよ」
二人して笑う。
異世界に来て、初めて自然に笑えた。
その時、ドアをノックしてロラが入室すると同時に、僕を見て悲鳴を上げた。
そういえば床に横たわったままだ。
「アシル様!! いかがなさいましたか!?」
「すまないロラ。抑制剤の副作用がキツくて、眩暈を起こして倒れたまま眠ってしまっていたんだ」
咄嗟に嘘を吐いた。
「直ぐにお助けします」
ロラは僕を軽々と抱き上げると、ベッドに寝かせてくれた。
とても力持ちだと、感心する。
どうやらロラは僕の部屋を出た後、外出していたらしく、僕が発狂したのも何も知らない様子であった。
部屋で暴れた跡があったが、倒れる際に落としてしまったようだと言い訳した。
これだけの物が床に散乱したなら、それだけでも相当な音が響いただろうが、侍女たちは気付いてもいない様子だったとロラは言う。
僕は「そう」とだけ返事をし、それ以上は何も言わなかった。
ロラは怪我がなくて良かったと安堵したが、心配してくれている言葉の中に、エリアス様に叱られなくて済むという意味が半分混じっているように感じられた。
侍女たちからは、とことん僕を無視すると突きつけられたも同然。
半日近く大理石で倒れていた僕の体はすっかり冷えてしまっていた。
その夜、僕は高熱に魘された。
きっとアシルの意識が蘇ったことで、体がそれに耐えているのか、適応しようとしているのか、とにかくその辺の異変が原因になっているように思える。
熱は次の日も下がることなく、一日中魘された。
エリアス様が帰るのは明日。
体の中で、アシルがエリアス様を求めているのをなんとなく感じ取った。
Ω同士というのもあると思う。
それに実際のアシルと話をして、悪役令息なんかじゃないと分かっただけでも、僕にとってはかなり大きな収穫だ。
アシルの人の良さは、直ぐに証明された。
僕がこの体から出る方法が分からないと言うと、ここにいて良いと言ってくれたのだ。
「邪魔じゃないのか?」と尋ねると『むしろ、いて欲しい』と言う。
一人は心細いと。
それはそうだ。現状、侍女たちからは冷ややかな視線が浴びせられ、いつどんな虐遇にあうかなど予測不能。
味方はエリアス様しかいないし、そのエリアス様は激務でゆっくり話をする時間もなかなか取れない。
僕は今のところ、アシルの一番の理解者になれるような気さえする。
自分の命は一度捨てた。もしもこの先、アシルの体から僕が消えたとて、そこに未練はない。
それでも、その時までにこの謎は解決しておきたいと考える。
これからを生きるアシルのためにも。
「そういえば、僕とアシルは交代できないのかな?」
フッと思った。
アシルの意識が戻ったのならば、せめてアシルが前面に出てこられないのかと。
今、アシルとして喋っているのは僕だ。アシルは体の中で声を出しても周りには聞こえていない。
『やり方が分からないから、どうしようもない』とアシルが言う。
そして今はこのままで良いと続けて言った。
「自分の体なのに?」
『コーキに守ってもらえてる気がするから』
「僕はそんなに強くないよ」
二人して笑う。
異世界に来て、初めて自然に笑えた。
その時、ドアをノックしてロラが入室すると同時に、僕を見て悲鳴を上げた。
そういえば床に横たわったままだ。
「アシル様!! いかがなさいましたか!?」
「すまないロラ。抑制剤の副作用がキツくて、眩暈を起こして倒れたまま眠ってしまっていたんだ」
咄嗟に嘘を吐いた。
「直ぐにお助けします」
ロラは僕を軽々と抱き上げると、ベッドに寝かせてくれた。
とても力持ちだと、感心する。
どうやらロラは僕の部屋を出た後、外出していたらしく、僕が発狂したのも何も知らない様子であった。
部屋で暴れた跡があったが、倒れる際に落としてしまったようだと言い訳した。
これだけの物が床に散乱したなら、それだけでも相当な音が響いただろうが、侍女たちは気付いてもいない様子だったとロラは言う。
僕は「そう」とだけ返事をし、それ以上は何も言わなかった。
ロラは怪我がなくて良かったと安堵したが、心配してくれている言葉の中に、エリアス様に叱られなくて済むという意味が半分混じっているように感じられた。
侍女たちからは、とことん僕を無視すると突きつけられたも同然。
半日近く大理石で倒れていた僕の体はすっかり冷えてしまっていた。
その夜、僕は高熱に魘された。
きっとアシルの意識が蘇ったことで、体がそれに耐えているのか、適応しようとしているのか、とにかくその辺の異変が原因になっているように思える。
熱は次の日も下がることなく、一日中魘された。
エリアス様が帰るのは明日。
体の中で、アシルがエリアス様を求めているのをなんとなく感じ取った。
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