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一章~伊角光希編~
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キリアン様と一悶着あったものの、穏やかな時間を過ごして夜はエリアス様の部屋に庭で採ったりんごを届けに行った。
「もうそんな時期か。子供の頃はキリアンと一緒に良く食べていた」
「今日、ロラとガゼボでお茶をしたんです。その時にあまりにも美味しそうに実っていたので、僕もいただきました」
エリアス様なナプキンでりんごの皮を丁寧に拭き、一つを僕に渡してくれた。
「一緒に食べよう」
エリアス様は侍女にハーブティーを淹れるよう、声をかける。一口齧ると「今年は格別甘い」と言って喜んでくれた。
続いて僕も一口齧る。
「ん?」
なんとなく、昼間食べた味と違う気が……。
『コーキ、吐き出して!!』
アシルが叫んだ。
咄嗟に目の前にあった皿の中にぺっと吐いた。
『このりんご、発情誘発剤が盛られてる』
僕が食べた物の味はアシルにも伝わっているようで、僅かに感じ取った薬品の匂いがあの日、パーティーで飲んだドリンクを思い出させたようだ。
「どうした、アシル!?」
エリアス様が動揺している。
本当のことを言えば、大事になってしまう。それでも嘘をつくのか?
犯人はキリアン様だ。
早速、僕を追い出す攻撃を始めたのか。
『コーキ、本当のことを言えばエリアス様が……』
分かっている。僕から声を出せないのが辛いところだが、僕もアシルと同感だ。
キリアン様の名前を出したところで、信じてもらえるかも分からない。
ことを荒立てないのが賢明な判断と言える。
「ゴホッ……ごめんさない。咽せてしまって……ゴホッ」
「ゆっくりお茶を飲むといい」
タイミングよく侍女が運んでくれたハーブティーをゆっくり飲んだ。
「このりんご、僕のは部屋に持って帰ります」
幸い疑われずに済んだ。
この屋敷に住んでいるΩは僕だけ。
βやαが発情誘発剤を飲んだところで無意味だ。
キリアン様は、僕がりんごを採りに行くと察して薬を盛ったのだろう。
テキトーに幾つかのりんごに発情誘発剤を盛ったかもしれない。
ガゼボで食べた時はなんともなかった。
今、見事に当たりを引いてしまったということだ。
妊娠が判明した直ぐの性行で、流産でも狙ったのだろうか。
それとも再び騒ぎを起こさせて厄介者のレッテルを貼りたかったか。
薬を使えば、ちょっとやそっとのヒートでは治らないと知っているんだ。
もしかしてアンナ様の指示で?
ネガティブな考えに頭が支配される。
だめだ、アシルが怯えている。
落ち着かないと……。
アシルのトラウマをぶり返してしまった。
今後はもっと警戒しないといけない。
「もうそんな時期か。子供の頃はキリアンと一緒に良く食べていた」
「今日、ロラとガゼボでお茶をしたんです。その時にあまりにも美味しそうに実っていたので、僕もいただきました」
エリアス様なナプキンでりんごの皮を丁寧に拭き、一つを僕に渡してくれた。
「一緒に食べよう」
エリアス様は侍女にハーブティーを淹れるよう、声をかける。一口齧ると「今年は格別甘い」と言って喜んでくれた。
続いて僕も一口齧る。
「ん?」
なんとなく、昼間食べた味と違う気が……。
『コーキ、吐き出して!!』
アシルが叫んだ。
咄嗟に目の前にあった皿の中にぺっと吐いた。
『このりんご、発情誘発剤が盛られてる』
僕が食べた物の味はアシルにも伝わっているようで、僅かに感じ取った薬品の匂いがあの日、パーティーで飲んだドリンクを思い出させたようだ。
「どうした、アシル!?」
エリアス様が動揺している。
本当のことを言えば、大事になってしまう。それでも嘘をつくのか?
犯人はキリアン様だ。
早速、僕を追い出す攻撃を始めたのか。
『コーキ、本当のことを言えばエリアス様が……』
分かっている。僕から声を出せないのが辛いところだが、僕もアシルと同感だ。
キリアン様の名前を出したところで、信じてもらえるかも分からない。
ことを荒立てないのが賢明な判断と言える。
「ゴホッ……ごめんさない。咽せてしまって……ゴホッ」
「ゆっくりお茶を飲むといい」
タイミングよく侍女が運んでくれたハーブティーをゆっくり飲んだ。
「このりんご、僕のは部屋に持って帰ります」
幸い疑われずに済んだ。
この屋敷に住んでいるΩは僕だけ。
βやαが発情誘発剤を飲んだところで無意味だ。
キリアン様は、僕がりんごを採りに行くと察して薬を盛ったのだろう。
テキトーに幾つかのりんごに発情誘発剤を盛ったかもしれない。
ガゼボで食べた時はなんともなかった。
今、見事に当たりを引いてしまったということだ。
妊娠が判明した直ぐの性行で、流産でも狙ったのだろうか。
それとも再び騒ぎを起こさせて厄介者のレッテルを貼りたかったか。
薬を使えば、ちょっとやそっとのヒートでは治らないと知っているんだ。
もしかしてアンナ様の指示で?
ネガティブな考えに頭が支配される。
だめだ、アシルが怯えている。
落ち着かないと……。
アシルのトラウマをぶり返してしまった。
今後はもっと警戒しないといけない。
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