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二章~アシル・クローシャー編~
29 転生者⑤
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「君がクレールに転生したと気づいたのは何時だったのだ?」
「生まれて間も無い頃です」
クレールの言葉に、エリアス様は目を瞠った。「まさか、そんな……」クレールには届かないほどの掠れた声だった。
「ただ、意識はあっても体の機能は赤ちゃんと同じ。成長は人並みに苦労しました。でも、僕がエリアス様とアシルに本当のことを打ち明けられる日を心待ちにして、勉学に励みました。そして、しっかりと自分の言葉で伝えられる一番早いタイミングで、二人に打ち明けようと思っていたのです」
「アシルは何時聞いたのだ?」
「発情期に入る前でした。パーティーも控えているし、ぼくは自分の発情期も突然酷くなるので、ゆっくり話ができるよう、二人で段取りを決めました」
「……そうか」
エリアス様の口数が減っている。
全てを一気に話しすぎたかもしれない。しかし、エリアス様は気になる事があったようだ。
「ならば、私とアシルが番になれたのは何故なんだ?」
「それは、エリアス様が頸を噛むあの瞬間は、アシルに戻っていたからなんです」
あの時どうしてぼくがぼくに戻ったのか、いまだに謎のままだ。
でもきっと、エリアス様と番になりたいという強い気持ちが、奇跡を起こしたんじゃないのかと、二人で話し合ったと伝える。
「———信じて、くれますか?」
「信じるも何も。アシルとクレールが私に嘘を言うとは思えない。ここ最近、アシルの様子も気がかりだったしね」
「それは……クレールが自分でエリアス様に真実を伝えたいと言うので、せめてぼくが段取りくらい取りたいと思っていたのですが、全然上手くいかなくて……」
「なるほど、一生懸命で不器用な君も、私にとっては可愛らしい」
「それは、嬉しくありません。ぼくも母になったのだから、少しくらいクレールの手助けがしたかったのです」
空回っていたぼくを見て楽しむなんて……そんな余裕すらない自分が悔しいと口を尖らせた。
そんなぼくを慈しむ瞳で見つめたエリアス様は、その後、クレールに手を伸ばし「おいで」と言った。
クレールはソファから立ち、エリアス様の腕に抱かれる。
「何故、本当のことを言おうと思ったのだ? 秘密にしておいても、君に損はないだろう?」
「エリアス様も、本当のことを教えてくださったので。アシルお母様に、発情誘発剤を飲ませたのかと僕が口を滑らせた時、エリアスお父様だって誤魔化すことはできた。本当は知らないままいて欲しかったと言った。それでも、真相の全てを聞かせてくれた。あの涙は本物だった。だから、今僕は、エリアスお父様を信じていられるんです。あの時から……僕のことも信じてほしいと思っていました。誰かに僕の本当の存在を認めてもらいたかった」
コーキは言いたいことを伝えられて安心したのか、徐々にクレールへと戻っていった。
転生者だと打ち明けても抱きしめてくれるエリアス様の膝に座り、凭れかかった。
「クレール、私は感謝している。産まれてきてくれたことを」
「生まれて間も無い頃です」
クレールの言葉に、エリアス様は目を瞠った。「まさか、そんな……」クレールには届かないほどの掠れた声だった。
「ただ、意識はあっても体の機能は赤ちゃんと同じ。成長は人並みに苦労しました。でも、僕がエリアス様とアシルに本当のことを打ち明けられる日を心待ちにして、勉学に励みました。そして、しっかりと自分の言葉で伝えられる一番早いタイミングで、二人に打ち明けようと思っていたのです」
「アシルは何時聞いたのだ?」
「発情期に入る前でした。パーティーも控えているし、ぼくは自分の発情期も突然酷くなるので、ゆっくり話ができるよう、二人で段取りを決めました」
「……そうか」
エリアス様の口数が減っている。
全てを一気に話しすぎたかもしれない。しかし、エリアス様は気になる事があったようだ。
「ならば、私とアシルが番になれたのは何故なんだ?」
「それは、エリアス様が頸を噛むあの瞬間は、アシルに戻っていたからなんです」
あの時どうしてぼくがぼくに戻ったのか、いまだに謎のままだ。
でもきっと、エリアス様と番になりたいという強い気持ちが、奇跡を起こしたんじゃないのかと、二人で話し合ったと伝える。
「———信じて、くれますか?」
「信じるも何も。アシルとクレールが私に嘘を言うとは思えない。ここ最近、アシルの様子も気がかりだったしね」
「それは……クレールが自分でエリアス様に真実を伝えたいと言うので、せめてぼくが段取りくらい取りたいと思っていたのですが、全然上手くいかなくて……」
「なるほど、一生懸命で不器用な君も、私にとっては可愛らしい」
「それは、嬉しくありません。ぼくも母になったのだから、少しくらいクレールの手助けがしたかったのです」
空回っていたぼくを見て楽しむなんて……そんな余裕すらない自分が悔しいと口を尖らせた。
そんなぼくを慈しむ瞳で見つめたエリアス様は、その後、クレールに手を伸ばし「おいで」と言った。
クレールはソファから立ち、エリアス様の腕に抱かれる。
「何故、本当のことを言おうと思ったのだ? 秘密にしておいても、君に損はないだろう?」
「エリアス様も、本当のことを教えてくださったので。アシルお母様に、発情誘発剤を飲ませたのかと僕が口を滑らせた時、エリアスお父様だって誤魔化すことはできた。本当は知らないままいて欲しかったと言った。それでも、真相の全てを聞かせてくれた。あの涙は本物だった。だから、今僕は、エリアスお父様を信じていられるんです。あの時から……僕のことも信じてほしいと思っていました。誰かに僕の本当の存在を認めてもらいたかった」
コーキは言いたいことを伝えられて安心したのか、徐々にクレールへと戻っていった。
転生者だと打ち明けても抱きしめてくれるエリアス様の膝に座り、凭れかかった。
「クレール、私は感謝している。産まれてきてくれたことを」
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