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二章~アシル・クローシャー編~
30 転生者⑥
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エリアス様は、ぼくにもクレールにも「今、私と家族でいてくれることが嬉しい」と二人まとめて抱きしめてくれた。
「私は母が亡くなってから、ずっと気を張っていなければならなかった。嫡男として、このベルクール家を支えていく立場として、全ての責任を背負っていた。弱味を見せるなど以ての外。この部屋で一人になる時だけ、深く呼吸ができた。しかし……」
そこまで喋ると、エリアス様はぼくとクレールの頬に順番にキスをした。
「お前たちの前では、自然体でいられる。それは二人が私にそうさせてくれているからだ。周りから褒められるほど、気を遣われるほど、プレッシャーは重くのしかかる。しかしそんな壁を乗り越えていかなければならないと、鼓舞してきた。でも今は、アシルとクレールが、私を本当の私にしてくれる」
エリアス様は続ける。
「クレール、君は本当の自分を認めてほしいと言ったね。今まで、今日の日のために頑張ってきたであろう姿を、私もアシルも見守ってきた。一人で目標のために頑張り続けるのは、辛いことの方が多かったはずだ。それでも君は人知れず努力し続けた。それを認めずに父親とは言えない。アシルを助け、私たちの子供になってくれた。君に感謝するのは私たちの方だ。そうだろう?」
クレールはエリアス様の胸に顔を押し当て、肩を震わせた。
その背中を撫でる。
「本当のことを言うのが怖いのも、理解してあげられる」と、エリアス様は自嘲気味にフォローを入れる。
クレールは声が詰まって喋れない様子だった。
エリアス様を見上げると、自然と目が合う。自分も素直にならないといけないと思った。
「ぼくも、エリアス様とクレールの家族になれて幸せです」
もっと沢山伝えたい事があったが、今はこれが精一杯。
それでも「ありがとう」と返してくれた。
クレールが泣き止むまで、思い出話をして過ごした。
難産だった事や、無事出産して誰よりもライリーが感動のあまり号泣して、ロラにあやしてもらっていた事、クレールの成長や誕生日のお祝い、お父様の寵愛ぶり。
この六年間で沢山の思い出ができた。
「エリアスお父様、お願いがあります」
泣き止んだクレールが、突然顔を上げた。エリアス様もぼくもなんだろうと、クレールの顔を見る。
「僕、弟が欲しいです!」
「え? な、なんで、今!?」
慌てたのはぼくだった。
エリアス様は至って冷静に対応している。
「ヴィクトール様と一緒に遊べたのが、楽しかったんです。いつもライリーたちが遊び相手になってくれていますが、お茶会をしても大人ばかりですし……ヴィクトール様は遠いところに住んでいてなかなか会えないですし、それに……それに……」
「クレール、私たちもちょうど兄弟の話をしていたんだ。私に弟がいたのを覚えているね?」
「はい、キリアン様ですよね」
「そうだ。彼はアシルにも前世の君にも酷いことをしてしまったが、それでも私は憎み切れてはいない。どうか改心していて欲しいと今でも願っている。それに、振り返ってみてやはり兄弟という存在はかけがえのないものだと思うのだ。君にもその経験をさせてあげたいと思っている」
「でもね、子供は欲しいと思ってできるものじゃないから……」
エリアス様の後にぼくが続く。
オメガ性の高いぼくでも、クレールを産んでから六年もの間、子供を授かっていない。
それは本当に神様にしか、わからない事だ。
「しかし、努力はしよう。クレールのためにもね」
エリアス様の言葉に、ぼくは顔を背けて頬を染めたのだった。
「私は母が亡くなってから、ずっと気を張っていなければならなかった。嫡男として、このベルクール家を支えていく立場として、全ての責任を背負っていた。弱味を見せるなど以ての外。この部屋で一人になる時だけ、深く呼吸ができた。しかし……」
そこまで喋ると、エリアス様はぼくとクレールの頬に順番にキスをした。
「お前たちの前では、自然体でいられる。それは二人が私にそうさせてくれているからだ。周りから褒められるほど、気を遣われるほど、プレッシャーは重くのしかかる。しかしそんな壁を乗り越えていかなければならないと、鼓舞してきた。でも今は、アシルとクレールが、私を本当の私にしてくれる」
エリアス様は続ける。
「クレール、君は本当の自分を認めてほしいと言ったね。今まで、今日の日のために頑張ってきたであろう姿を、私もアシルも見守ってきた。一人で目標のために頑張り続けるのは、辛いことの方が多かったはずだ。それでも君は人知れず努力し続けた。それを認めずに父親とは言えない。アシルを助け、私たちの子供になってくれた。君に感謝するのは私たちの方だ。そうだろう?」
クレールはエリアス様の胸に顔を押し当て、肩を震わせた。
その背中を撫でる。
「本当のことを言うのが怖いのも、理解してあげられる」と、エリアス様は自嘲気味にフォローを入れる。
クレールは声が詰まって喋れない様子だった。
エリアス様を見上げると、自然と目が合う。自分も素直にならないといけないと思った。
「ぼくも、エリアス様とクレールの家族になれて幸せです」
もっと沢山伝えたい事があったが、今はこれが精一杯。
それでも「ありがとう」と返してくれた。
クレールが泣き止むまで、思い出話をして過ごした。
難産だった事や、無事出産して誰よりもライリーが感動のあまり号泣して、ロラにあやしてもらっていた事、クレールの成長や誕生日のお祝い、お父様の寵愛ぶり。
この六年間で沢山の思い出ができた。
「エリアスお父様、お願いがあります」
泣き止んだクレールが、突然顔を上げた。エリアス様もぼくもなんだろうと、クレールの顔を見る。
「僕、弟が欲しいです!」
「え? な、なんで、今!?」
慌てたのはぼくだった。
エリアス様は至って冷静に対応している。
「ヴィクトール様と一緒に遊べたのが、楽しかったんです。いつもライリーたちが遊び相手になってくれていますが、お茶会をしても大人ばかりですし……ヴィクトール様は遠いところに住んでいてなかなか会えないですし、それに……それに……」
「クレール、私たちもちょうど兄弟の話をしていたんだ。私に弟がいたのを覚えているね?」
「はい、キリアン様ですよね」
「そうだ。彼はアシルにも前世の君にも酷いことをしてしまったが、それでも私は憎み切れてはいない。どうか改心していて欲しいと今でも願っている。それに、振り返ってみてやはり兄弟という存在はかけがえのないものだと思うのだ。君にもその経験をさせてあげたいと思っている」
「でもね、子供は欲しいと思ってできるものじゃないから……」
エリアス様の後にぼくが続く。
オメガ性の高いぼくでも、クレールを産んでから六年もの間、子供を授かっていない。
それは本当に神様にしか、わからない事だ。
「しかし、努力はしよう。クレールのためにもね」
エリアス様の言葉に、ぼくは顔を背けて頬を染めたのだった。
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