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三章〜クレール・ベルクール編〜
13 エリアスお父様、本当に楽しんでいらしたのですね……
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「お断りの返事を断るとは、どういうことですか!? エリアスお父様」
研究室にはベータと偽っているものの、マルティネス王子は僕がオメガだと知っている。
マルティネス家にはアルファしかおらず、こちらから断った理由も正当なものであり、アルファの中にオメガが混じればどんなに危険かということは考えずとも察しがつくだろう。
しかも一人息子のヴィクトール様もアルファなのだ。
いくら子供の頃に兄弟のように仲が良かったとはいえ、僕が隣国に引っ越す頃には十八歳。ヴィクトール様は十六歳になっている。もう一人前の大人になり、昔と同じではいられないことくらい、簡単に想像できるだろう。
それを踏まえた上で、僕をマルティネス邸で住めというならば、何か他の理由があるのかと思うが別段そういうことでもないらしい。
「日頃から世話になっているから、何か恩返しがしたいとのことなんだ。私からも一度白紙にしてほしいと頼んではみたが、マルティネス王子は引く気配はない。昔からクレールを大層気に入ってくれていたし、ヴィクトール様との光景は今でも鮮明に思い出せると、会う度話題になるほどだからね。隣国へクレールが来るともなれば、何かしたくてたまらないのだろう」
「でも、二年も先の話なのに……」
「そのうち向こうの考えも変わるかもしれないから、しばらく様子をみよう」
エリアスお父様が、僕の気持ちを汲んでくれたのは嬉しかった。
元々、マルティネス王子との繋がりができたことからお父様も隣国へと行く機会が増え、向こうにも屋敷を構えたいと、譲ってもらった土地があるそうだ。
その土地が偶々、研究室から程近い場所にあり、そこに僕が住めば、お父様が隣国に行った際にも便利がいいと考えていたと言った。
「僕もそれがいいと思います。ところでノアとノランはどうなりましたか? もし本当に編入するとなれば、その屋敷で一緒に生活を送るのでしょうか?」
エリアスお父様はこの質問に対し、ふふ……と笑った。
「さぁ、それはどうだろうか。今の所、どちらも私を納得させられていないけどね」
「エリアスお父様、相手は十歳の子供ですよ? あまり意地悪しないでくださいね?」
「相手は子供だが、気持ちは本物だ。ならば私も本気で相手をしようと考えている。ノランは少し口が立つようになってきた。ノアは無口ながらも人一倍意思が強い。どちらも面白い」
本当に楽しんでいるのには驚かされる。声を出して笑いながら「次はなんと言ってくるだろうか」なんて言っている。
いつしかエリアスお父様を負かすくらい、雄弁になって欲しいのだとか。
「お父様!! そのおかげであの二人は僕への執着が増しています。あまり彼らを煽らないでください。それに、本当に子供みんなが隣国へ行ってしまえば、アシルお母様は寂しがります」
「それは大丈夫だ。アシルには私がついているからね」
「そうですけど……」
それ以上は何も言い返せなかった。
とりあえず、住まいの件は先延ばしにしてもらうようお願いしておいた。
研究室にはベータと偽っているものの、マルティネス王子は僕がオメガだと知っている。
マルティネス家にはアルファしかおらず、こちらから断った理由も正当なものであり、アルファの中にオメガが混じればどんなに危険かということは考えずとも察しがつくだろう。
しかも一人息子のヴィクトール様もアルファなのだ。
いくら子供の頃に兄弟のように仲が良かったとはいえ、僕が隣国に引っ越す頃には十八歳。ヴィクトール様は十六歳になっている。もう一人前の大人になり、昔と同じではいられないことくらい、簡単に想像できるだろう。
それを踏まえた上で、僕をマルティネス邸で住めというならば、何か他の理由があるのかと思うが別段そういうことでもないらしい。
「日頃から世話になっているから、何か恩返しがしたいとのことなんだ。私からも一度白紙にしてほしいと頼んではみたが、マルティネス王子は引く気配はない。昔からクレールを大層気に入ってくれていたし、ヴィクトール様との光景は今でも鮮明に思い出せると、会う度話題になるほどだからね。隣国へクレールが来るともなれば、何かしたくてたまらないのだろう」
「でも、二年も先の話なのに……」
「そのうち向こうの考えも変わるかもしれないから、しばらく様子をみよう」
エリアスお父様が、僕の気持ちを汲んでくれたのは嬉しかった。
元々、マルティネス王子との繋がりができたことからお父様も隣国へと行く機会が増え、向こうにも屋敷を構えたいと、譲ってもらった土地があるそうだ。
その土地が偶々、研究室から程近い場所にあり、そこに僕が住めば、お父様が隣国に行った際にも便利がいいと考えていたと言った。
「僕もそれがいいと思います。ところでノアとノランはどうなりましたか? もし本当に編入するとなれば、その屋敷で一緒に生活を送るのでしょうか?」
エリアスお父様はこの質問に対し、ふふ……と笑った。
「さぁ、それはどうだろうか。今の所、どちらも私を納得させられていないけどね」
「エリアスお父様、相手は十歳の子供ですよ? あまり意地悪しないでくださいね?」
「相手は子供だが、気持ちは本物だ。ならば私も本気で相手をしようと考えている。ノランは少し口が立つようになってきた。ノアは無口ながらも人一倍意思が強い。どちらも面白い」
本当に楽しんでいるのには驚かされる。声を出して笑いながら「次はなんと言ってくるだろうか」なんて言っている。
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「お父様!! そのおかげであの二人は僕への執着が増しています。あまり彼らを煽らないでください。それに、本当に子供みんなが隣国へ行ってしまえば、アシルお母様は寂しがります」
「それは大丈夫だ。アシルには私がついているからね」
「そうですけど……」
それ以上は何も言い返せなかった。
とりあえず、住まいの件は先延ばしにしてもらうようお願いしておいた。
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