165 / 235
三章〜クレール・ベルクール編〜
14 高等部卒業
しおりを挟む
高等部へ通っている間、僕のオメガ性は強くなる気配はなく、洸希として生きていた時と同じような生活を送った。
それが逆に良かったのか、周りにオメガだとバレないまま卒業を迎えることができた。
同級生からは、僕とイザックが揃ってルベルーノ研究室に入ると知り、誰からも羨ましがられた。
「卒業おめでとう、クレール」
「ありがとうございます、アシルお母様」
「セレモニー、とても良かったよ」
「はい、とても緊張しましたけれどいい思い出になりました」
卒業セレモニーで僕は卒業生代表として、全校生徒や保護者が見守る中、謝辞を読ませてもらったのだ。
実に平穏に過ごした日々。
もっと色んな生徒と友達になる努力をしておけば良かったと、そこは後悔しているが、それでも振り返ってみれば充実した学校生活だったと思う。
ベルクール家だけで卒業祝いのパーティーをしてもらった。
エリアスお父様は色んな人を呼んで盛大に行いたかったようだが、隣国への引っ越しの日が近いこともあり、断念した。
そして、ノアとノランはと言うと……。
「編入を許す条件が、寮に入れだなんて!! 今も納得がいきませんけど」
「ノラン、でもお兄ちゃまと一緒に行けることになったから」
「そりゃそうですけど。ま、休日には会えますし。ね? クレールお兄様」
「そうだね。でも二人ともよくエリアスお父様を説得できましたね」
正直、エリアスお父様が許可を出すとは思っていなかった。
だからノランが編入を許してくれたと報告にきた時は、誰よりも僕が一番驚いた。
エリアスお父様は、交渉の内容はなんでも良かったのだと後になって話す。最後まで諦めないか、それだけが許可を出すかどうかの判断基準だったらしい。
「二年という長い期間、途中で諦めたならこのまま今の学校に通えばいい。別に勉強などどこにいてもできる。それが今の学校でも隣国の学校でも拘る必要はない。例え理由がどうであれ、それが頑張る糧になるなら、私は最初から反対をする気はなかった」
平然と言ってのけたエリアスお父様に、ノアとノランは肩透かしを喰らっていた。
そりゃ、なんと言えばお父様が許してくれるのか、そればかりを考えて過ごしたこの二年。それが「内容など、どうでもいい」と言われ、悔しがるノランの表情は、この先ずっと忘れないだろう。
僕はエリアスお父様が建てた屋敷に新しく雇った使用人と共に過ごす。
お父様も、隣国に来る際にアシルお母様も連れて来られるようになったと喜んでいる。
弟たちは寮に入るが、外泊許可ももらえるらしい。
「寮なら安全だし、僕も気兼ねなく働けます」
「別に、クレールお兄様が帰って来るまでは使用人たちも沢山いますし、大丈夫なのに……」
「それは甘えすぎです。僕はこれからきっと、日付を跨いで帰る日も出てきます。使用人だってしっかりと体を休めなければ働けません」
「……すみませんでした。でも、クレールお兄様。どうか私たちとの約束は守ってくださいね」
約束とは、お互いの休日には必ず会うというもの。
「そりゃ僕だって、これだけ毎日一緒に過ごしていたのですから。本当はずっと一緒にいたいくらいなんですからね」
「お兄ちゃま、お引っ越しの日までは一緒に寝ましょう」
「そうだね。そうしましょう」
弟たちにお願いされると断れない。
この二人は、二年もの間エリアスお父様から鍛え抜かれただけあって、甘えるのも更に上手くなっているように感じる。
でもこの屋敷での生活もあと五日ほど。
そう思うと、少し名残惜しい。
それが逆に良かったのか、周りにオメガだとバレないまま卒業を迎えることができた。
同級生からは、僕とイザックが揃ってルベルーノ研究室に入ると知り、誰からも羨ましがられた。
「卒業おめでとう、クレール」
「ありがとうございます、アシルお母様」
「セレモニー、とても良かったよ」
「はい、とても緊張しましたけれどいい思い出になりました」
卒業セレモニーで僕は卒業生代表として、全校生徒や保護者が見守る中、謝辞を読ませてもらったのだ。
実に平穏に過ごした日々。
もっと色んな生徒と友達になる努力をしておけば良かったと、そこは後悔しているが、それでも振り返ってみれば充実した学校生活だったと思う。
ベルクール家だけで卒業祝いのパーティーをしてもらった。
エリアスお父様は色んな人を呼んで盛大に行いたかったようだが、隣国への引っ越しの日が近いこともあり、断念した。
そして、ノアとノランはと言うと……。
「編入を許す条件が、寮に入れだなんて!! 今も納得がいきませんけど」
「ノラン、でもお兄ちゃまと一緒に行けることになったから」
「そりゃそうですけど。ま、休日には会えますし。ね? クレールお兄様」
「そうだね。でも二人ともよくエリアスお父様を説得できましたね」
正直、エリアスお父様が許可を出すとは思っていなかった。
だからノランが編入を許してくれたと報告にきた時は、誰よりも僕が一番驚いた。
エリアスお父様は、交渉の内容はなんでも良かったのだと後になって話す。最後まで諦めないか、それだけが許可を出すかどうかの判断基準だったらしい。
「二年という長い期間、途中で諦めたならこのまま今の学校に通えばいい。別に勉強などどこにいてもできる。それが今の学校でも隣国の学校でも拘る必要はない。例え理由がどうであれ、それが頑張る糧になるなら、私は最初から反対をする気はなかった」
平然と言ってのけたエリアスお父様に、ノアとノランは肩透かしを喰らっていた。
そりゃ、なんと言えばお父様が許してくれるのか、そればかりを考えて過ごしたこの二年。それが「内容など、どうでもいい」と言われ、悔しがるノランの表情は、この先ずっと忘れないだろう。
僕はエリアスお父様が建てた屋敷に新しく雇った使用人と共に過ごす。
お父様も、隣国に来る際にアシルお母様も連れて来られるようになったと喜んでいる。
弟たちは寮に入るが、外泊許可ももらえるらしい。
「寮なら安全だし、僕も気兼ねなく働けます」
「別に、クレールお兄様が帰って来るまでは使用人たちも沢山いますし、大丈夫なのに……」
「それは甘えすぎです。僕はこれからきっと、日付を跨いで帰る日も出てきます。使用人だってしっかりと体を休めなければ働けません」
「……すみませんでした。でも、クレールお兄様。どうか私たちとの約束は守ってくださいね」
約束とは、お互いの休日には必ず会うというもの。
「そりゃ僕だって、これだけ毎日一緒に過ごしていたのですから。本当はずっと一緒にいたいくらいなんですからね」
「お兄ちゃま、お引っ越しの日までは一緒に寝ましょう」
「そうだね。そうしましょう」
弟たちにお願いされると断れない。
この二人は、二年もの間エリアスお父様から鍛え抜かれただけあって、甘えるのも更に上手くなっているように感じる。
でもこの屋敷での生活もあと五日ほど。
そう思うと、少し名残惜しい。
161
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした
水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」
公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。
婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。
しかし、それは新たな人生の始まりだった。
前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。
そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。
共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。
だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。
彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。
一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。
これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。
痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる