【完結】公爵様を寝取った悪役令息に転生しましたが、子供が産まれるので幸せになるために、この事件解決させていただきます。

亜沙美多郎

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三章〜クレール・ベルクール編〜

64 僕たちの天使

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 その声は力強く、まさに生命の誕生に相応しい。抱き上げた先生が手早く処置し、助手に渡す。
「クレール様、とってもお上手でしたよ。赤ちゃんもとっても元気ですね」
 医師が額を拭いながら満面の笑みを見せた。

「男の子ですよ。抱っこしてあげてください」
 助手の人が、腕枕になるよう、赤ちゃんを隣に寝させてくれた。
 僕の腕に包まれた瞬間、赤ちゃんは泣き止み、じっと見つめているように感じた。

「僕の……」
 力み過ぎて力が入らない反対の手で、頬をくすぐってみる。すると何となく、赤ちゃんが笑った気がした。

 まだ見えてないよね? でも、なんだか周りをぐるりと見渡しているようだ。
「気になるね。景色が急に変わったんだもんね」
 話しかけると、微笑んでくれて
いるようだ。
 僕は「お疲れ様。よく頑張ってくれました」と、赤ちゃんの頬にキスをした。

 こんなに小さいのに、生きていると感じる。ヴィクトール様は、この子を見てなんと名付けてくれるだろう。早く、会って欲しい。

 赤ちゃんに夢中で、ドアが開いたのに気付いていなかった。

「クレール、お疲れ様」
 愛しい人の声で気が付いた。一人ずつ……と言われたのか、気遣ってくれているのか、他の人達は入室しなかった。

「ヴィクトール様。赤ちゃんが頑張ってくれたおかげです。顔を、見てあげてください」
 腕の中にいる、小さな天使は既に寝息を立てて眠っていた。
 ヴィクトール様は「あぁ」と息を漏らし、自分の口元を抑え、頷いた。
「私たちの……」  
「僕たちの、息子です」
 ヴィクトール様が震えている。感動のあまり、泣き出しそうなのを耐えているのだ。

「君に……君と同じ、金の髪だ」
「そうですね。顔はヴィクトール様に似ている気がします」
 二人で、赤ちゃんを観察する。ついさっきまで、お腹にいたのが不思議だ。狭かっただろう。僕のお腹の中は。

 ヴィクトール様はとても慎重になり、赤ちゃんにおそるおそる手を伸ばした。

「─── ジェイド。ジェイドという名前はどうだ? ジェイド・マルティネス」

「ジェイド・マルティネス……」
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